女優・井上真央と仲間由紀恵のW主演で話題を呼んでいる連続ドラマ『明日の約束』(フジテレビ系、火曜・午後9時~)で、1話で不可解な死を遂げてしまった生徒・吉岡圭吾を演じるのが、俳優・遠藤健慎(17)だ。
スクールカウンセラーの藍沢日向(井上)がその原因を探っていく過程で、吉岡の母親が子供に過干渉な“毒母”であったこと、学校にもイジメがあったのではないかなど、彼を取り巻く環境が徐々に明らかになっていく。
果たして、圭吾を死に追いやったモノは何なのか、誰なのか―――――いよいよクライマックスへ。ある意味主役のように強烈なインパクトを残す役としてレギュラー出演してきた3ヶ月間を振り返ってもらった。
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この役はオーディションではなく、面接形式で選ばれたという。「プロデューサーさんや監督さんに、僕が出演した過去の作品を見ていただいた上で、演技審査もなく、面接だけでしたので、手ごたえがあるなしではなく、自分が言ったことがよかったのか悪かったのかというレベルの問題でした。なので、面接が終わった後は、『本当にこれ、オレだめだな』と、思っていたので、出演が決まったという話が来たので、正直、驚いたのが最初の感想でした」と、まるで入社試験の面接のように、正解が分からない初めての体験に戸惑ったという。
面接の内容は、「最初は、趣味の話などでしたが、『役作りで普段からしていることは何ですか』と聞かれ、『台本の役に合っている人を観察する』と、答えたんですけど、後で考えたら、そこまでがっつりとはやっていないんですけど、その時は何かしら残さないといけない。ちょっとでも好印象を持ってもらいただかないと、と思って・・・。嘘ではないんですけど(笑)」と、とにかく役を勝ち取るのに必死だったことが伺える。
--ということは、普段でもドラマを見てて、役者さんの演技の観察やモノマネなんかもして演技の勉強をしているのだろうか?
「第1話の家庭訪問されるシーンで、井上さん、仲間さん、及川さんの大人3人に囲まれて、ひたすら答え続けるというシーンがあったんです。その時に、僕は小栗旬さんにずっと憧れ手いるんですけど、小栗さんは、プライベートやバラエティー番組だと、きょとんとしたしゃべり方をされる時があるんですね。それを見ていて、いつか役に使えると思っていたんです。淡々とした、かつ、そんなに流れるように言わないしゃべり方。悩んでいるような感じをヒントにさせてもらいました」。
それは、瞬間に想い浮かんだのかというと、「先に台本をいただいていたので、及川さん、井上さんがどういうしゃべりかたをなさるのかなと想像しました。お2人の過去の作品も見させていただいているので、それをもとに、こんな感じになるのかなぁと想像し、悩んでいるような話し方をすれば、ちょっとつながりが面白くなるんじゃないかと思いました」と、とても16歳とは思えない冷静な分析と対応力だ。
--初めての連ドラ、しかも井上真央、仲間由紀恵、及川光博ら実力者たちとの共演。なのに、1話で死ぬと聞いたときは、どんな感じでした?
「マネジャーさんから初めて電話をいただいた時、『物語のキーマンだけど1話で死ぬよ』っていわれて、えっ?死ぬんですか?それレギュラーですか?このあと、僕出るんですか?」と、頭の中はクエスチョンだらけ。ようやく、「2話で回想シーンが出るんですけども、こんな感じかとやっとわかりました。本当に、1話の時はわからなかったです」と、戸惑いの中での撮影だったという。
--クライマックスに向かって、気持ちを盛り上げて作っていくと思うのだが、先に死んで、あとは全部回想シーンというと、気持ちの持っていき方は大変だった?
「先に結論をやってから、過去のことをやると、どうしても結論に引っ張られ過ぎて、過去のことを無理やりつなげようとする。いかにも死にますみたいな表情やそぶりをだしてしまうと思ったので、一度、切り離して、ここはここで1シーンとして受け入れて、ひとつずつかたづけていこうと思ってやりました。
ただ、このシーンは圭吾の死に重大な事件だなと思ったら。例えば、2話で(田所)那美ちゃん(井頭愛美)にカバン渡すシーンは死とつながらないから普通に演じます。ただ、(長谷部)大翔(ひろと)先輩(金子大地)とたばこのことで揉めたときは、こんなのオレ自身が先輩とやったら、立場なくなるしつらいなと思って死に対する意識もちょっと上げてと、毎回考えながらじゃないとできなかったです。
--井上真央、仲間由紀恵、及川光博という実力者たちに囲まれての演技でしたが、何か吸収することはございましたか?。
「初めは先輩方の存在は怖かったんですけど。実際、現場は行ったら和気あいあいで、カメラが回っていないときは、気さくに話かけてくださる。でも、監督の声が掛かると、みなさんスイッチが入って、顔つきが変わるので。うわーすげーって!せっかく、自分もその現場にいるから便乗させてもらって、僕もスイッチ入って演じることができました。(特に、“毒母”役の仲間さんは)怖いです。カメラが回っていないときとのギャップがすごい。目ぢからがすごいある方ですし、内面から怖さが出るとはこういうことかと思いました。
また、監督から『シーンの途中からやって』と言われることがあるんですけど、それが僕のセリフから始まるときには、井上さんも、仲間さんも、及川さんも、ひとつ前から始められるんです。僕のことを気使ってとかじゃなくて、ご自身のことも含め、もちろん自分のことも考えていただき、ひとつ前から戻って演じられるんです。おかげで僕は演技に感情移入しやすいく、スムーズいくことが出来て、そういうのは、いつか僕が大人になって、先輩方がしてくださったことを出来たらと思いました」と、先輩役者さんたちの気遣いと共に、そのドラマの中にスムーズに入っていける方法を感じたという。
--単刀直入に、このドラマのような現実状況だったとしたら、自殺しますか?
「それは、役を理解するうえでも結構考えたんですけど、僕なら家を出ます。全部が全部同じ現状であったら、本当に死にたくなっているかもしれないですけど、死に対する恐怖も僕の中にはあるので、家を出てどうにか逃げ切って、どんな貧乏生活でも自分で生活を始めると思います。その環境にいたくないので、何とかして活路を開きます。ただ、吉岡圭吾の環境って想像つかないですし、周りにいないです。親が厳しいったって、そこまでするかって。なので、正直わからないです。想像もつかないです」
--遠藤さんの御両親は、どんな方ですか?
「やりたいことを応援してくれるタイプです。礼儀にはうるさいですけど。人前での態度。箸の持ち方は厳しいです。僕がご飯食べるときに左手を添えないと怒られます。部屋片づけないと終わりです(笑)。母親は、英語の塾の先生で、父親はその塾の経理をやってくれています」
--今後やってみたい役は?
「具体的過ぎるんですけど、ドSな若者科学者をやりたいです。警視庁に置かれた絶対機密の部署で、17歳の未成年の科学者が謎を解明していく。それこそ異常な殺人事件とか。波留さんが主演された連続ドラマ『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(2016年7月期、関西テレビ)みたいな感じです。僕が解剖していく科学者で、年上の新人女性刑事をこき使う。その方と恋が進展していくなど、いろいろ伏線があるんです」
--ずいぶん具体的ですねぇ。そのままに詰めていけば企画として成立するような。ところで、「ドSな若者科学者」ということで、タイプとしてはSな方なんですか?
「Sなほうです。友だちとかをイジるの好きなんで。マネジャーさんが携帯をイジっている時に電源を切ったり、友だちがゲームでガチャひこうしていると邪魔します」と、屈託なく笑う。いたずら好きな子供の部分があるそうで、マネジャーさんからは、『声がつぶれるからやめなさい』と言われるが、俳優・平泉成さんの「かぁさん、かぁさん」を声をつぶしてマネしているそうだ。
--勉強と仕事は両立できているのだろうか?
「学校には行けてます。その日の授業のノートを写真で送ってくれたり、テスト近いと、数学は一回の授業でないと追いつけなくなるので、教えてもらったりしています。何とかくらいついていってます。『(ドラマ)見たよ』って言ってくれるなど、先生も応援してくれてます。勉強でわからないところあれば、放課後に付いて教えてくれるなど、手厚い先生方多いです。
--遠藤健慎にとって学校とは?
「ドラマが始まってからの学校は、吉岡圭吾としては、役につながる勉強の場です。学園が部隊のドラマなので、学校でおきていることとかをみて、自分が考えたことを頭に残しておくと、後からドラマで出てきたときに、つなげられる。
僕としては一番休憩できる場所で、落ち付きます。勉強終わった後の休み時間が至福のときです。友だちと会えない間に、起きたことなどを埋め合わせる場です」
--今後のみどころ
「解決に近づいていきます。自分のやった悪い行いも出てくる。悪い行いと同時にひとつ。もう一回、圭吾が何でこんなことしたのというのがある。死の寸前で頭おかしかったんじゃないというシーンもでてきます。9話10話の解決につながっていく中で、圭吾の優しさを見てほしいです。ドラマ本体としては、圭吾が狂わせてしまった人たちが、最後どうなっていくのか見てほしいです」
--吉岡圭吾の視点から描いた、本当の主役でドラマを演ってみたいですか?
「1.5話スピンオフで最後の1日を少しやりましたけど、それは面白いですね。やっていただけるなら、ぜひやっていただきたいです。現場に来られなかった分も演りたいです」
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本当の最後の質問で、「今年振り返って漢字1字で」と、年末恒例の質問をすると、「2択です。光が見えてきたか進化した。1歩進んだか光が見えたか・・・1歩進んだので『進』で」と、16歳の少年の顔に戻る。
インタビュー中、とても16歳とは思えないほど、自己分析ができている。冷静で客観的に物事を考えられてインタビューの受け答えをしていることにビックリした。
しかし、学校の話やいたずら好きな部分など、プライベートの話になると、一転、喜々として楽しそうに話す。
背伸びをしない素の部分が、垣間見えたからこそ、プロデューサーと監督さんな面接して遠藤健慎という俳優を吉岡圭吾約に抜擢したのかもしれない。
2009年に芸能界入りした遠藤は、これまでCMやドラマ、映画など様々な作品に出演。2014年には、映画『ホットロード』で『三代目 J Soul Brothers』の登坂広臣(30)が演じた春山洋志の弟・強役で出演。2016年には第1回ジュブナイル脚本大賞を獲得した映画『がらくた』で主演。今年3月公開された映画『グッバイエレジー』では、井川道臣の中学時代(大人になってからは吉田栄作)を演じるなど、注目の俳優だ。