俳優・窪塚俊介、満島真之介、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、村田雄浩が16日、東京・有楽町スバル座で映画『花筐/HANAGATAMI』(監督:大林宣彦/配給:新日本映画社)初日舞台あいさつを大林監督とともに開いた。
作家・檀一雄の純文学『花筐』をベースに大林監督が40年前に執筆した幻の脚本を映画化。大林監督が手がけた映画『この空の花』『野のなななのか』に続く作品で、余命宣告を受けながら完成させた大林宣彦的“戦争三部作”の締めを飾るものとなる。窪塚は主人公・榊山俊彦役を、俊彦に憧れを抱く並はずれた逞しい美少年・鵜飼を満島が、病に苦しむヒロイン・美那を矢作が演じている。
演出家・高畑勲監督の奥さんからもらったという花束を手に登壇した大林監督。本作へ戦争を知っている世代が知らない世代へという思いを込めていることを伝えるなかこだわりを語っていたが、窪塚も、「一言に自由に生きようと言っても、いまの時代だと何をしたらいいんだろうとか既成概念に縛られて生きれなかったりと、まずは自由に生きようというのが最速のタイミングだなって」と、縁を感じたのだとか。
一方、矢作は、それまで名前だけで活動していたのを名字も入れるようになったきかっけが、本作に起用され大林監督にあいさつに行った際に、愛のある“説教”に感銘を受けたからだといい「女優としても人間としても、大林監督に名付けて頂いて、この作品に矢作穂香として人生をやり直したような気持ちになりまして」と生まれ変わったという話。満島は大林監督から「映画の世界にいる幸せを存分に感じなさい。映画の世界にいるときは夢を作っているんだから」と言われ、自身がつまずきかけていた気持ちが晴れたと感謝のコメントも。
その大林監督の“薫陶”は窪塚も受けていたそうで、「年齢を聞かれたらいま36歳なんですが、大林監督から『18歳から80歳までと答えなさい』と。自分が演じられる実年齢を言いなさいと言われて」と、味のあるエピソードとともに明かし、笑いを誘った。
常磐も本作の題名が『花筐(はながたみ)』となっていることへ、読みが難しいのではと疑問があったらしいが、本作を世に出す事で世間に伝わると大林監督から諭され、「花筐という言葉がこの映画があれば伝わるんだというのを感じました」と、納得したという思い出もあった。
ほかの登壇者も1人1人があいさつをするごとに大林監督もエピソードを交えて付け加えるなど、大林組らしい雰囲気でのものになり、観客たちを楽しませた。その最後には、肺がんにより余命3ヶ月といわれながら、その余命宣告から1年以上にわたって生存できている現状を大林監督はユーモアたっぷりに語り、キャスト陣、観客たちから温かい拍手が飛び交う中、終演となっていた。
映画『花筐/HANAGATAMI』は16日から有楽町スバル座ほか全国順次公開!
※初稿にて人名を間違えて表記している箇所がございました。お詫びして訂正致します。