舞台『風都探偵 The STAGE』(脚本・演出:毛利亘宏)が29日、東京・池袋のサンシャイン劇場で開幕した。
2009年9月から2010年8月にかけ平成仮面ライダー第11作目として放送された『仮面ライダーW(ダブル)』。その正統続編として、2017年8月より『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載を開始し、累計発行部数240万部を超える人気作品となっているマンガ『風都探偵』(脚本 – 三条 陸 / 作画 – 佐藤まさき)。22年8月にはアニメ化もされた人気コンテンツが“舞台化”となった。
左翔太郎役として和田雅成、フィリップ役として木津つばさ、鳴海亜樹子役として生駒里奈、照井竜役として上野凱、ときめ役として能條愛未が出演するほか、なだぎ武が『仮面ライダーW』から刃野幹夫役を続投、『仮面ライダーW』で園咲霧彦役を演じた君沢ユウキが今作では万灯雪侍役を演じている。
以下、初日公演の公式レポート部分。
特撮実写ドラマ『仮面ライダーW』の正統続編としてマンガ『風都探偵』へ。そして『風都探偵』はアニメ化を果たし、いま、また舞台演劇へと「変身」を遂げた。舞台の上には、「風都」の風が確かに吹いていた。
和田雅成が演じる左翔太郎、木津つばさが演じるフィリップたち。舞台演劇という新たな表現媒体で、果たして役者たちは、それぞれのキャラクターにどのようなアプローチを試みるのか。
幕を開けた『風都探偵 The STAGE』には、その答えが示されていた。翔太郎やフィリップ、鳴海亜樹子、照井竜といった、ファンにはおなじみの人物たちは、和田雅成、木津つばさ、生駒里奈、上野凱という新たな役者の肉体を得て、活き活きと舞台上で躍動していた。それぞれのキャラクターのやりとりの妙からは、『仮面ライダーW』から続く作品世界自体の強度や奥深さを感じるとともに、今回の出演者たちが、それぞれのキャリアや感性を総動員して、長く愛されている登場人物たちに、新たな魅力を生み出そうとしている意気込みが、随所でうかがえた。その上で、役者本人も重ねてまた新たなキャラクターが生まれていた。
本作では、謎の美女・ときめが風都に現れ、さらに風都とつながっている別次元の世界の存在や、新たなる敵の出現が明らかになるストーリーが語られる。ときめは、『風都探偵』を象徴する存在で、生身の役者が演じるのは、今回の能條愛未が初めてである。もともと「日曜の朝」の番組には登場させづらいセクシーなビジュアルのキャラクターだったこともあり、これをどこまで「三次元化」できるかというのも焦点だったが、そのスタイルや、吐息がそのまま声になったかのような口調などで、独特の存在感を放つことに成功していた。その一方、実写ドラマから唯一の「続投」となったジンさんこと刃野刑事役のなだぎ武はそのポジションを最大限に活用し、確実に「笑い」を生んでいく。ドラマ版とは別の役柄=万灯雪侍へと「転生」した君沢ユウキもまた、「風都」を熟知する役者のひとりとして、本作の世界観を高い純度で、さらに新たに生まれたキャラクターを深く表現していた。
細かい手法の紹介は避けるが、舞台上ではハードボイルダー(バイク)が走り、仮面ライダーやドーパントの超能力が発揮され、風都から別次元の世界への行き来や、さまざまな風都の光景が映し出され表現されていた。
ドラマやマンガが持つテンポの良さを舞台でも再現、あるいは凌駕しようという工夫がいくつも凝らされ、原典を知るファンにとっても刺激的な演出が次々と披露されていく。誤解を恐れずに言ってしまえば、「大人向けのヒーローショー」として、本作は凄まじい完成度を見せてくれているのだ。もちろん、メインキャラクターを演じている役者たちのライブアクションもふんだんに用意されている。
終盤には、「ここまでやるか!」というほど、怒涛の展開が続く。純然たるエンターテインメント作品として、その妙味を、存分に味わっていただければと思う。
なお、終演後のカーテンコールでは、この初日が誕生日当日だった生駒里奈へ、キャストたちからサプライズでのお祝いが行われた。テレビ『仮面ライダーW』からのファンと公言している彼女にとって、初日が誕生日だったというのは、まさに「奇跡のめぐりあわせ」だったと言えよう。
■出演者コメント
○左翔太郎役 和田雅成
ここまで辿り着けたこと。
本当に嬉しく思います。
いつもとは違う形の舞台化に最初はどこを掴んで良いのか迷っていました。ですが、キャストの仲間達、スタッフのみなさまが自分を「風都探偵 The STAGE」の世界に引き込んでくれました。
みなさまの貴重な時間をこの舞台に向けてくださってありがとうございます。
誰よりも風都の街を愛し、みなさまの心に新しい風を吹かせられるよう尽力いたします。
○フィリップ役 木津つばさ
先ず、無事に開幕できることを大変嬉しく幸せに思います。
仮面ライダーになれるんだ、といつまで経っても慣れません。でもそれでもいい、憧れるという事が心から愛おしく素敵な事だと改めて気付かされております。
俳優、スタッフ、関わってくださっているみなさま全員が素敵なカンパニー、さらには舞台を通して、風都探偵の魅力を存分に伝えるべく原作へのリスペクトは勿論のこと、一人一人が作品に向き合って創り上げて参りました。
だからこそ誰一人欠けることなく、最後まで皆様に作品をお届けする事が、僕たちの願いであります。
全員がヒーロー、カンパニーの皆様とお客様と一つ一つを大切に、あの日あの時、僕の鼓動が高鳴ったあの言葉を胸に! “変身”がまた誰かの胸の鼓動を鳴らせるように!「風都探偵 The STAGE」ぜひ、最後まで劇場でお待ちしております!
○鳴海亜樹子役 生駒里奈
ついに幕が上がるのかと、ドキドキしています。
作品が完成に近づくたびに、これで大丈夫なのかなと不安に襲われながら今日を迎えました。
自分はともかく、最高にかっこいい「風都探偵」ができ上がったと思います。
仮面ライダーW、仮面ライダーアクセルのアクションがとにかくかっこいいです!!
そして刃野さんが最高ですね。
7割くらいはファンとして稽古を見て来ましたが、瞬きしたくないくらい、絵になる瞬間が沢山あります。
舞台装置やプロジェクションマッピングのかっこよさも含めてご覧ください!
○照井竜役 上野凱
待ちに待った、初日を無事に迎えられる事をとても嬉しく思います。
小学生の頃に思った、修学旅行の日を待つ子供時代を思い出します。
観に来て頂いたみなさまと一緒に、風都の街を探検する気持ちで臨みます!
僕たちを信じて、風都の世界を一緒に歩きましょう。
「風都探偵 The STAGE」思う存分楽しんでください!
劇場にてお待ちしています!
○ときめ役 能條愛未
無事に初日の幕が上がる事がどれだけ幸せで当たり前でない事なのか、私も悔しい思いをした経験があるからこそこの幸せをより噛み締めています。
全ての演出がつき、みなさまと一緒にお芝居を作り上げ、仮面ライダーのアクションを間近で観させていただき、ヒーローのカッコ良さやこの作品の面白さに私自身どんどん引き込まれていきました。
私が演じるときめは、どこか掴みどころがない難しい役どころではありましたが、お稽古を重ね自分の中のときめ成分を見つける事が出来たのではないかなと思っています。
舞台上にときめが存在していたと思っていただけるよう全力かつ丁寧に演じさせていただきます。
劇場でお待ちしております!
○刃野幹夫役 なだぎ武
私が最後に刃さんを演じたのが、V シネマの『仮面ライダーアクセル』の時だったらしく、そこから刃さんを演じるのが 11 年振りだそうです。11年のブランク、また刃さんを演じる事が出来るかな…と不安もありましたが、マッサージ器具(ツボ押し器)を片手に持った瞬間、一瞬にしてあの頃に戻れました。舞台は新たな風都の街。
相変わらずミステリアスで、人間臭い街です。原作の風都がそのまま舞台化されてるので、街の妖艶さやアクション、キャストの活躍を思う存分楽しんで頂けると思います。そんな風都でお待ちしております。
○万灯雪侍役 君沢ユウキ
12年前に感じたあの頃の懐かしい風を、稽古場で節々に感じました。
翔太郎のハーフボイルド、フィリップの冷静と情熱、亜樹子の天真爛漫さ、照井の寡黙な強さ、刃野さんの変わらなさ。
そんな彼らと出会ってしまった裏風都の万灯雪侍として、交差する表と裏の『運命』の物語の歯車を強力に回していきたいと思います。
舞台上、目の前で仮面ライダー達が闘う臨場感はまさに本物の迫力。ですが完成には最後の 1 ピースが足りません。それは劇場、いや、風都に皆様が目撃しに来てくださること。最高のスリリングをお約束します。必ず貴方を、美しく後悔させてあげましょう。
舞台『風都探偵 The STAGE』東京公演は29日から2023年1月15日までサンシャイン劇場にて、大阪公演は2023年1月19日から同25日まで梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演予定!
※記事内写真は(C)「風都探偵 The STAGE」製作委員会