舞台『KINGDOM キングダム』(演出:山田和也)大千穐楽公演が11日、北海道・札幌文化芸術劇場hitaruで上演。全82公演を無事完走した。
漫画家・原泰久氏が2006年より『週刊ヤングジャンプ』で連載している作品。紀元前、春秋戦国時代を舞台に、2人の少年が時代の荒波にもまれながらも、友との約束のために、そして己の夢のために史上初の中華統一を目指す大人気コミックとなっている。これまでにも、さまざまなメディアミックスがされており、TVアニメ第4シリーズの放送、2019年4月からは実写映画化シリーズも上映されている。
昼の部において【信】三浦宏規 【嬴政・漂】牧島 輝 【河了貂】華 優希 【楊端和】
梅澤美波 【紫夏】石川由依が千穐楽を迎え、同日夜の部は【信】高野 洸 【嬴政・漂】小関裕太 【河了貂】川島海荷 【楊端和】美弥るりか 【紫夏】朴ろ美 【壁】有澤樟太郎 【成蟜】神里優希、【左慈】HAYATE 【バジオウ】元木聖也 【昌文君】小西遼生 【王騎】山口祐一郎とアンサンブルキャストが千穐楽を迎えることとなった。
今年2月5日に東京・帝国劇場で幕を開けた本公演。11日の公演は昼夜二公演生中継のライブ配信が行われ、スペシャルカーテンコールまでがノーカットで全国に届くものとなった。
ライブ配信では、稽古場から帝劇の舞台へ向かう面々を追ったミニメイキング映像の配
信からスタート。稽古場に立てこまれた本番同様のサイズのセットのなかで、豪快に繰り広げられる殺陣を愚直に、入念に稽古し続けるキャストたちの姿が窺えるものとなった。
昼の部のカーテンコールでは、【紫夏】の石川由依は「『恩恵は全て次の者へ』を胸に生きていく」。【楊端和】の梅澤美波は、「この舞台での出会い全てへの感謝を」と。
【河了貂】華優希は「命を懸けてやってきた公演の一員になれて幸せ」という趣旨を、それぞれの言葉で語った。
【嬴政・漂】牧島輝は「ここまで余韻に浸る暇もなく駆け抜けてきて、このカンパニーで走り抜けられて幸せ。今日はもうこの衣装を着ることも、この髪型をすることもないのかとすごく寂しくて、この舞台を観られることもなくなるのが悲しいけれど、寂しい、悲しいと思えるのは、この作品とカンパニーを愛しているからだと改めて気づけた。スタッフ、キャスト、お客さまの素敵な作品を作ることができて、人生のなかで誇れることのひとつになりました」との感謝とともに、「夜公演への雄姿を一緒に見届けましょう」と夜公演のメンバーにエールを。
【信】の三浦宏規は、感極まった様子で涙を堪えながら「このカンパニーはすごい、強い」と話しはじめ「やっぱり初演なので色々大変なこと、ワークショップから、はじめてけいこ場にセットが入った時など、いろいろな光景がフラッシュバックした」 と思いを語り、さらにやはりコロナ禍でのアクションの多い舞台の大ロングランを、やり抜くとの強い気持ちを持っていた半面で、いつ舞台が止まるのかとの不安をもあったと正直に吐露したあと「完走でよかったね!」と、全員に向けた心からの喜びの声。スタッフへ、そして東京からここまで応援し続けてくれたお客様のおかげで走り抜けられた、と謝辞を述べ「ひと足先に千秋楽で、本当に素敵な時間を過ごさせてもらいました。ラスト一戦、無事に届きますように」とバトンを夜公演に託して、恒例となった「キングダム」の「キングダ」から「ムー」で全員が唱和し、こぶしを掲げるポーズで昼公演の幕が下りた。
そして大千穐楽のカーテンコールは、けいこから半年間、2月5日~5月11日のこの日までの 4 都市に渡る大ロングラン、82公演を全員で完走したキャストたちの高揚と、感動で登場からすべてがキラキラと輝く涙、涙の渦のなかメインキャストによるあいさつへ。
【左慈】を演じたHAYATEは「10月からパルクールの準備で、12月からけいこでカンパニーを支えてきましたが、出演することが決まってからは皆が支えてくれた。素晴らしいメンバーと素晴らしい作品にできて幸せでした」とスタッフ、キャストとしての思いを。
【バジオウ/朱凶】を二役で演じた元木聖也は涙を浮かべながら「キャスト、スタッフ、そして応援してくださったお客さまのおかげで全82公演怪我なく終えることができました」との感謝を。
【成蟜】の神里優希は「約半年間この作品に関わり最高に刺激的で楽しい日々でした。舞台では死罪、死罪と言ってますが、皆さんどうぞお元気でまたお会いしましょう」とユーモアも交えて。
【壁】の有澤樟太郎 は第一声「楽しんでくれましたか~?」と和やかに客席に投げかけ「みなさんの応援、力がなかったらここまではこられていなかった」との謝辞のあと帝劇公演で、Wキャストで壁を演じた梶裕貴に「梶さーん!やりました!」と誇らかに呼びかけた。
【紫夏】の朴ろ美が涙で言葉にならない中、「このストイックなメンバーでひとつの舞台を作ってこられた誇らしい座組です!」と朴ほどのベテランにしても高かったであろう山を乗り越えたカンパニーを称えた。
【楊端和】の美弥るりかの「こんなにも愛した舞台への別れの寂しさ」と共に「北海道の血祭りも最高でした!」と台詞にかけた役ならではの豪快なあいさつ。
【河了貂】川島海荷は「このカンパニーが大好き!」と涙、涙! 隣の山口祐一郎が抱きとめ、小西遼生と共に、独特のヘアスタイルを整えて客席の温かな笑いを誘った。これも配信ならではの、山口が布の質感までが伝わる豪華な衣装で川島の涙をぬぐっている姿も目撃できてこちらももらい泣きの状態。
【昌文君】の小西遼生は「清らかな気持ちでひとつずつの台詞、場面ごとにけいこ場からの日々を思い出していた。戦国時代だけれど全員と青春を謳歌していた気持ち。こんなに熱くなれる舞台はそうそうない」と語ったあと、どうぞみなさんでご一緒にと促し「まずは何より、よくぞご無事で」と劇中の台詞を唱和した。
【王騎】役の山口が、カンパニー内で自分をそう称していたのだろう「お父さんも本当に幸せでした。みなさまとまた劇場でお会いする日を楽しみにしています」と感無量の優しいほほ笑みであいさつする姿に、心打たれる。
【嬴政・漂】の小関裕太は「険しい公演でした。1回、1回を生き抜くのがすごく大変な舞台で、その分生きがいがあって、毎日自分との闘いでした。みんなが集まってこぶしを挙げながら『俺たちの勝ちだ!』という台詞に向かっていく日々が終わってしまうと思うとすごく寂しいです」と思いを語り「夢の中でまた台詞を言っているのではないかと思う。みなさまの心のなかにも少しでもこの作品、この台詞たちが残ってくれたら嬉しいです」と、作品を作り上げた日々を振り返りながら話してくれた。
最後に【信】の高野洸が「さすがに嬉しすぎて何を話していいか…」と言いつつも「(三浦)宏規たちの昼公演の千穐楽を間近で観て、ホッとしたし嬉しかったし、でも夜公演何があるかわからないという気持ちもあって」と、やはりコロナ禍でのカンパニーの座長としての責任感の重さを語りながら、曇天から晴れた当日の天気になぞらえ「やっと晴れましたね!」に続けて「『キングダム』風に言うと札幌天下統一を果たしました!」と高らかに宣言。万雷の拍手と共にやはり恒例の「キングダ」「ム~」が唱和された。
それでも総立ちの客席からのカーテンコールの声は鳴りやまず、生演奏で舞台を盛り上げたオーケストラの面々もはじめて舞台に登場。彼ら1人1人を前に押し出していた山口が、銅鑼を豪快に叩いて場内のハッピーオーラは最高潮に。昼公演で千秋楽を終えた三浦宏規、牧島輝をはじめ W キャストのメンバーも歓声のなかで舞台に登場、それぞれ同じ役を作り上げてきた役者同士が、熱い抱擁を繰り広げる、まるで夢のようにキラキラしたカーテンコールが過ぎていった。何もかもが輝いて見える美しい光景だった。
なお、舞台『キングダム』LIVE配信は18日午後11時59分までアーカイブ視聴できる。詳しくは東宝公式配信ホームページ(https://www.tohostage.com/kingdom/stream.html)にて。
※舞台『キングダム』過去記事
・梅澤美波「キングダム」キャストへサプライズ!乃木坂46へ心境
・鈴木大河舞台「キングダム」千穐楽迎え「すごくすごく寂しい」
・三浦宏規&高野洸 舞台「KINGDOM キングダム」帝劇千穐楽に胸なでおろす