俳優・桜田通が13日、東京・新宿ピカデリーで映画『大名倒産』(監督:前田哲/配給:松竹)トークイベントを前田監督とともに開催した。
作家・浅田次郎氏の同名時代小説を実写映画化。越後・丹生山藩の鮭売り・小四郎(神木隆之介)が徳川家康の血を引く、大名の跡継ぎであることが判明。それと同時に丹生山藩が借金100億円を抱えるビンボー藩で、全ての責任を小四郎に押し付け切腹させようとしていた。切腹を避けるため、小四郎は幼馴染のさよや、兄の新次郎・喜三郎、家臣の平八郎らと共に節約プロジェクトを始めるが、小四郎たちは次から次へとピンチの連続となり……。桜田は小四郎の兄で、病弱だか聡明な松平家の三男・松平喜三郎役を演じた。
黒一色のコーデで登場した桜田。「神木くんもいなければ松山(ケンイチ)さんもいないので不安ではありますが、監督と一緒にお話していきたいと思います」と、笑みを浮かべながら話すと前田監督は「アウェイのような気分です(笑)」と桜田のことをチラチラ見ながら言い出し、桜田は「ここはホームですよ!」と引き止めて、わちゃわちゃしたやりとりをしながらスタート。
事前に公式Twitterに集められた質問に答えていく形式で進行。1問目で前田監督が「監督と“とおるくん”に質問です」と、いきなり桜田の名前の読み方を間違えて爆笑が起こるなか、松平兄弟の愛にあふれたエピソードは?との問いかけが。これに、「“隆”(桜田が神木を呼ぶ愛称)との出会いだったり、誠実な部分が、小四郎と“隆”と似ている部分が結構あったので、喜三郎としてもその関係性は使えましたね」と、しみじみ。
そこから松山ケンイチの話にも広がり、撮影の休憩中に神木と話している際に、松山も話の輪に加わったこともあるそうで、「松山さんのすごく素敵な部分ってそこだなって、接しやすい空気を作ってくれて。“隆”と話しているときも、話に来てくれたし、コミュニケーション能力が高くて、僕はそこに巻き込まれつつ楽しめました」と、思い出を披露した。
続けては、桜田が撮影現場で前田監督から和歌を読み上げるときに受けたというボイトレをこの場で再現のリクエストが。「再現できるものなんですかね」と少し不安そうにしていた桜田だったが、「やります?喜三郎の和歌を詠める機会がこの後あるかわからないので、きょうを区切りにしたいなと思います」と、気合を入れ直し何首かあるうちの1首を詠みあげることに。
ここで、前田監督の指導しやすいように「初めてやってみたときの感じでやってみますね」というと『春の野に 幼き土筆の 子供らが ぴょこぴょこ 顔を出すが如し』と朗々と読み上げる。これに前田監督から語尾を上げるようなジェスチャーや、上げ下げするように指示され、ぴょこぴょこは裏声に近い声を出して、観客たちから拍手を受けつつ桜田は「突き抜けるところは突き抜けだよと本当に指導してくださったんです。良かったです、再現できて」と笑みを見せつつ、熱のこもったものだったと伝えていた。
3問目は、喜三郎のスピンオフ作品を作るなら?という質問があり、前田監督は「スピンオフは決まっています。殿になった小四郎に対して、元気になった喜三郎が自分が殿になろうとする」と、まさかの展開を伝えだす。これに面食らった様子の桜田は「僕がその地位を取りに行くんですか!?すごく殺伐としそう……」というと、前田監督は「そこを歌いながら踊りながらとりにいったりするんです。ミュージカルに変わって(笑)」と、“二の矢”を放ち「『大名倒産』ミュージカルになるんですか!?めちゃくちゃじゃないですか(笑)」と、楽しげ。
この話を受けて桜田は「僕がもし、もう1度喜三郎を演じるなら、本編でずっと病に伏せていたので、歩いているシーンとかアクティブなシーンがなかったので喜三郎はどう歩くんだろうとか、もし次、機会があるならと思っていたんです」と、実は前田監督と同じ方向性のことを考えていたと告白。さらにはミュージカル案に乗っかって「少しジャジーだったり、DJだったり」と、笑いながら脱線したかのような話運びをしたが、「いまぶっ飛んだことを言ってましたけど、本編も少しぶっ飛んでいるのに、それを成立させる力があるのが前田監督なんです!だから、このスピンオフあるかもしれませんよ」と、期待を残すと前田監督は「興行成績がもう少し上がれば」と、いきなり現実的な話に戻していた。
4問目は和歌の「ぴょこぴょこ」はいきなり思い浮かんだものかという問いかけに「台本にありました」と答えたり、『役者人生をかけて和歌を詠まれましたが』とのいじるような質問に「もちろんかけてはいますけど、神木が勝手に言ってるだけです」とツッコんだり、撮影中に「神木くんも撮影でちょこちょこアドリブを入れてくる」と裏話を披露していた。
イベント後半には、主演の神木隆之介からのサプライズVTRが上映。神木は途中いきなりシリアスな表情を浮かべたり、ニコニコになったり約8分にわたって話し続け、主演の貫禄を見せつけ桜田から「尺長っ!」とツッコまれていたが、桜田へ向けて神木から「通にとってプロフェッショナルとは?」との質問が。
「どの立場で答えるのよ(笑)」と戸惑い気味だった桜田だが、「もちろん責任感みたいなもので、一人で現場にいるわけではないし、喜三郎を一人で作っているわけでもない。同じ空間にいるプロフェッショナルの方々を信じるということを考えながら演じています。今回の現場でいえば、監督を信じてついていってるから今回喜三郎ができていると思うんです。信じている人たちの世界に入っていく、一緒に何かを作っていくということが自分の中でのこだわりです。神木くんが小四郎をやっていたからこそ出せた喜三郎もあると思うし、そこにいる人たちを信じて必死に作り上げていました」と、熱を込めて返答していた。
そんな桜田を見ながら、前田監督は「喜三郎役を通さんが演じてくれたから、和歌の部分も変わっていって膨らませられたと思いますし、そこは感謝しかないです。ミュージカルは本当に考えていたんです。通さん、こんなにおもしろいんだと思っていて動いてもらいたいし、これだけスタイルが良いのにと思っていたんです。最後に走らせようかと思ったくらい(笑)」と、桜田が気に入った様子を見せれば、「作品の話が盛り上がったり、素敵な方が多いので、役者冥利に尽きて参加できたことが嬉しいなと思います。スピンオフは面白話になってましたけど、また、『大名倒産』の中で生きられる日があればいいなと思っています」と、締めくくっていた。
映画『大名倒産』は公開中。
※桜田通過去記事
・桜田通 神木隆之介から「もう逃げられない」と戦々恐々
・中本悠太&藤岡真威人&桜田通&川西拓実&瀬戸利樹SPムービー解禁
・桜田通「ヴァレンティノ ビューティ」インスタライブにゲスト出演へ