俳優・中井貴一主演のPARCO劇場開場50周年記念シリーズ『月とシネマ2023』(作・演出:G2)が今年11月より上演予定であることが11日、発表となった。
とある地方都市の駅前にある閉館の危機を迎える映画館『ムーン・シネマ』が舞台。同館館長の息子で50代のフリーの映画プロデューサー・並木憲次(中井)が『ムーン・シネマ』に現れたことから始まる映画館存続へ向け、仲間たちと東奔西走する姿とともに、ある秘密も浮かび上がってくるのだが……。
本作は2021年4月に上演予定だった舞台だが、コロナ禍により全公演中止の事態に。制作側からは今回の上演へ、「殺伐とした気持ちを抱きがちな現代だからこそ、“観た人に温かい気持ちになってほしい”、”日々の暮らしに小さなエールを送れたら”、との想いを込めて創り上げた作品でしたが、コロナ禍で、あとは上演するのみという状態まで仕上げたところで全公演が中止に。残念ながらお客さまにお届けすることはかないませんでした。しかし、どうしてもお客様にこのハートウォーミングな舞台を観ていただきたい!という、作・演出のG2と中井貴一をはじめとするキャスト陣の熱い想いが実り、今秋、バージョンアップした『月とシネマ2023』の上演が決定いたしました!」と、強い思いをうかがわせる発表とあいなった。
主演の中井、演出のG2氏をはじめ、2021年版でもキャスティングされていたアイドルグループ『なにわ男子』の藤原丈一郎の出演も発表。藤原は映画会社の宣伝部の若手社員で、映画マニアでもある小暮涼太役を演じる。なお、キャスティング当時はデビュー前だったが、本作でデビュー後初の舞台を踏むことにもなる。
さらに、並木の元妻でフリーライターの高山万智子役が起用となった。
今回の発表にあわせG2氏、中井、藤原、永作それぞれからコメントが寄せられた。以下全文。
■作・演出:G2氏
前回、上演中止になった際、中井貴一さんに「これは、きっと演劇の神さまが『まだ早い、この作品はもっと練り上げてから観客に見せなさい』と仰しゃっているんだよ」と慰めて頂きましたが、それは即ち、叱咤激励でもあり、2023年「月とシネマ」は大きくバージョン・アップすることになりました。尊敬する貴一さん、大人になったであろう丈一郎くん、そして20年ぶりの永作さんとの嬉しい再会。やっと皆さんにお見せできるという嬉しさの前に、まずは稽古が楽しみでなりません。
■中井貴一
一ヶ月稽古を積み重ね、衣裳をつけてのゲネプロ終了後での中止でしたので、戸惑い、この作品はここで終われと言う運命なのかなーなどとも考えました。が、演劇にかかわらず、我々のエンターテイメントの世界に於いて、最も必要なものは、それを楽しんでくださるお客様あってこそと、その事も、強く思い知らされる瞬間でもあり、今回の演目をやらせて頂くことになりました。演出のG2さんとともに、誰にも観ていただいていない前作ではありますが、それを上回る面白い作品に出来るよう努力をして参ります。ぜひ、劇場にお越しください。
■藤原丈一郎
2021年の「月とシネマ」は中止になってしまったので、まずは、お客さまにお見せできることが嬉しいです。前回、G2さんには約1ヶ月みっちりけいこをしていただきました。そこから2年ぶりにまたご一緒できるので、この2年間で成長した姿を見せられればと思います。大先輩であり、大尊敬している中井貴一さんとまたセリフの掛け合いができることはとても嬉しいことなので、11月・12月の本番へ向けて一緒に素敵な作品を作り上げたいなと思っています。
僕自身もみなさまに披露できなくて悔しい部分もありましたが、そのぶんパワーアップしたものをお見せできるように頑張りますの
で、劇場でお待ちしています。
■永作博美
PARCO劇場は久しぶりで、新しくなってからは初めてなので、すごく楽しみです。
G2さんとは20年ぶりにご一緒するので、どういった演出をされるのか、どういった言葉で伝えてくださるのか楽しみですし、私もG2さんにどう応えられるか楽しみにしています。中井(貴一)さんとは30年くらいぶりの共演になります。当時はまだ芝居の“間”というものがわかっていないころだったので、中井さんのお芝居を見て「間というのはこういうことなのか」と勉強させていただいたことを覚えています。今回も、いろいろ盗みたいと思います!
「月とシネマ」は、G2さんらしい、優しくて、人と人とのつながりを描いた、人情味あふれる大人のみなさまに納得していただける作品になると思いますので、ぜひ劇場に観にいらしてください。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『月とシネマ2023』東京公演は2023年11月にPARCO劇場(渋谷PARCO 8F)にて、大阪公演は同年12月に森ノ宮ピロティホールにて上演予定
■STORY
とある町にある映画館「ムーンシネマ」は、映画プロデューサー・並木憲次(中井貴一)の父である館長が亡くなったことにより閉館の危機。同じ映画関係の仕事だが、30年以上父子の交流は全くない絶縁状態だった。映画プロデューサーとはいえ、経営のノウハウがない彼は映画館を売ろうと地元の不動産屋・佐々木に見積もりに来てもらうも、映画会社宣伝部の若手社員・小暮涼太(藤原丈一郎)や「ムーンシネマ」のボランティアスタッフで、市の「まちづくり推進課」職員でもある朝倉瑞帆、映写技師の黒川庄三(愛称:ロクさん)らから猛反対を受けてしまう。そこへ並木の元妻でフリーライターの高山万智子(永作博美)が現れ、映画館の相続権が瑞帆にあることを知らされるが――。
■公式サイト
https://stage.parco.jp/program/mooncinema2023
※『月とシネマ』過去記事
・藤原丈一郎、貫地谷しほり、矢作穂香ら中井貴一主演の舞台「月とシネマ」に出演発表!4月から上演予定も明かされ「どんな状況になろうと前へ進む方法を」