俳優・ムロツヨシ(42)が1日、都内ホテルで『2018年エランドール賞』表彰式に新人賞を受賞した。
1956年に日本映画テレビプロデューサー協会が制定した賞。新人賞は日本国内において当該年度中の12月1日から翌年11月30日までの間に、上映または放映されたテレビドラマ作品に出演した俳優であることや、出演した作品で新鮮かつ優秀な演技をした者などが選出されている。この日はムロのほか、高橋一生、竹内涼真、門脇麦、杉咲花、吉岡里帆が受賞となった。
ムロツヨシは、超ロングなスピーチをはじめ、約4分半の“オンステージ”のムロ節がさく裂することとなった。
「ムロツヨシです。このたびエランドール賞新人賞を受賞しました役者42歳です。いろんな関係者から聞いたところによりますと、おそらくエランドール賞新人賞としては最年長だと。やってみるものですね。役者を目指して23年くらい経ちますが、初めての賞。トロフィーというものを持ったことがない人生でして、初めてトロフィーを持ちながら、こんな大勢の前でカメラの前でしゃべる日が来るとは。20代のころはまったくみなさんの前に立てるような役者ではございませんでした。今回エランドール賞新人賞を取られましたとマネージャーから聞いたときに、それはどういう意味で新人賞って、選考基準どうなっているんだいと。僕も調べたら『将来性が大きく期待されるもの』と。42歳でもまだ将来性を期待してもらえる人生がくるとは。本当にありがとうございます。20歳のころは将来性を諦める毎日でございました。書類審査で全て落とされ、こうしてただただ続けていると、こういった賞がこういった場所に立てるんだなと。お察しの通り、まだしばらくスピーチは続きます(笑)。30代のころに感謝しないといけない人物がいます。私がこうしてテレビカメラの前に立ったりということがまだまだできなかったころ、福田雄一という男が初めて、好きなようにやっていいよムロくんと。あの日から、どうやらなにやらみなさんの観てくれる目が変わって、なんだこいつは。そこで少しずつムロツヨシという名前を覚えて頂けたような気がします。あの人がいなければ、たぶんこうして、ふざけたことをあえてクソ真面目にできるようなことはなかったと思います。この場を借りて、お礼を言いたいと思います。まだ続きますよ(笑)。42歳ですがちょうど10年前の2月でございます。まったく1つも仕事がない役者に、『僕にマネージャーをやらせてください』と言ってくれた田村に、仕事ない人間を10年かけて将来性のある役者に育ててくれるとは。きょうだけは田村を褒めてやってください。そろそろ終わりたいです。長いと怒られますからね、フォーマルな場所ですし、私のガチャガチャした話が長いといろんな方に迷惑かけますから。ただね、将来性を期待されたからには、この期待に応えるべくいかなければならない。『直虎』の打ち上げもございました。42歳です。初めて、大河ドラマのメインキャストをできるようになりました。でも、竹中直人さんは42歳で大河ドラマを主演しました。私は42歳でメインキャスト。ですから5年後、スケジュールを空けております。そう言ったらNHKのみなさん誰も目を合わせませんでした。5年後楽しみにしていてくださ、大河ドラマの主演はムロツヨシです!もしなかった場合、プロデューサーのみなさま、ムロツヨシはまだまだ将来性あるので、宜しくお願いします。長々と失礼しました。ここで調子に乗らなければ。ムロツヨシらしく、あいさつさせていただきました」
と、思いの丈をぶつけまくり、「これから来るプレゼンターの柴咲コウさんに」とニヤリと笑ったムロだったが登壇したのは案の定、福田雄一監督。福田監督は「いやーひどい振りをいただきました」と笑いつつ、「5年後の大河ドラマの脚本書けると思います!ムロツヨシを活かす脚本といえばだぶん僕なのではないかと思われます。大河ドラマがなかった場合、各局連ドラよろしくお願いします、書けると思います(笑)。ムロツヨシがここにいることは非常に大きなことだと思います。まだ売れていない役者というのはいっぱいいると思います。ムロごときが取れたんだから俺もいけるだろうと、すごい希望を持たせてくれたと思います。ムロくんは人を元気にさせてくれる役者さんです。1ヶ月前僕が落ち込んだときに、弱音を吐くのはムロくんだけと思っているんです。ムロくんは、『雄一さんが死んだら僕も死なないといけないので決まったら早く教えてください』って。すごく嬉しくて、本当に元気になれたので、そういうことができる役者さんです。42歳ムロツヨシの将来性をよろしくお願いします」と、笑いも交えて背中を押していた。
その後、ムロは報道陣向けの囲み会見を開催。エランドール賞新人賞受賞が最年長かどうなのか確認すると「何人の関係者かそうらしいと聞きました。吉田羊さんが何年か前に取りましたけど、年齢はみなさん知らないですもんね」と、年齢非公表という設定を使いコメント。
「本当に初めてもらった賞なんですよ。初めて褒められたので、だいぶ調子に乗るタイプなので、きょうだけは……きょうのお酒だけは調子に乗って、また明日から切り替えようかなって」と、祝杯を上げるそう。
記者からは「“調子に乗って“あいさつが長かったのですが……」との声が飛ぶと、「あなたがそれ言ったらそういうことになっちゃう!調子に乗っていたんじゃなくて、緊張やら、何やらいろんなことを隠すために、いろんな話したいことを話したらあんなふうになるタイプの人間もいるんだよって。全然調子に乗ってないですよ!」と、きっちり詰めて笑いを誘った。
この日は、司会者から喜劇役者と紹介もされたが、「どうしようかなと思ったんですけど、ところどころ喜劇役者とは言ってますけど、称されるものですから。自称はちょっとおかしいですけど、この時代ですからあえて言っているんです。喜劇役者と笑われるんですけど勇気を持って行こうかなって」と、“喜劇役者”と称されることへの思いも。
さらには大河ドラマはどうなのかという話を振ると「きょう決まりましたけど、本当に期待に応えられるような、時代設定は縄文時代であの時代の人は顔はそんなに変わらないと思うので、1人何役もやって、5年後のNHKを背負い、テレビ界を背負いたいなと思います……けど、ここは全部カットしてください(笑)」と、お茶目に話し報道陣を沸かせていた。
ほかにも、結婚の予定はないのかと質問があがったが、「結婚予定ないですよ」とキッパリ。ネットなどでは石田ゆり子と“いい感じ”なのではと噂されたりもするが、ムロは「会った事ないのに。画面の中で2人きりはあるんですけど、スタッフさんもいっぱい取り囲んでますから。石田さんとムロがくっついたらいい人生が待っていると思いますけど、まあそれはないでしょう」と話し、記者が思わず「頑張ってください」と声をかけると「軽っ!初の賞ですよみなさん!!」と訴え、最後まで笑いをかっさらうものとなっていた。