俳優・安藤サクラ、吉原光夫が14日、都内T・ジョイPRINCE品川で映画『BAD LANDS バッド・ランズ』(監督:原田眞人/配給:東映/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)ティーチイン付き・舞台あいさつを原田監督とともに開いた。
第151回直木賞受賞の『破門』や小説『後妻業』などで知られる黒川氏の小説『勁草』を、『検察側の罪人』や『関ケ原』などを手掛けた原田監督メガホンで映画化。<持たざる者>が<持つ者>から生きる糧を掠め取り生き延び、特殊詐欺に加担する主人公・ネリ(安藤)と弟・ジョー(山田涼介)。2人はある夜、思いがけず“億を超える大金”を手にしてしまう。金を引き出す……ただそれだけだったはずの2人に迫るさまざまな巨悪。2人は果たして<危険な地>から逃れられるのか……をスリリングに描いたクライムサスペンスとなっている。
以下、公式レポート部分。
本編上映後ということもあり、この日を待ちわびた観客の前に安藤、吉原、原田監督が劇場後方の通路から登場すると一段と熱を帯びた拍手がキャストと監督に贈られた。
壮絶な過去を持つ特殊詐欺の受け子のリーダー・ネリ役の安藤は「山田くんがいないから空席があるかも?とドキドキしていました(笑)。でもこうしてぎっしりといてくれて嬉しい!たくさん話せると嬉しいです」とネリの弟・ジョーを演じた山田に触れて笑いを誘った。
そして、大阪府警で特殊詐欺の捜査をする捜査一課の刑事・佐竹役の吉原は「私も映画3回観まして、今日を楽しみにしていました一緒に楽しみましょう!」と挨拶、原田監督も安藤に続いて「涼介のいない分も頑張ります(笑)」と意気込みを語ると客席から更なる笑いを誘い、ティーチインイベントがスタートした。
まず、【番宣で安藤さんの撮影の合間と撮影中の役への切り替えのスピードが早くてすごいと言われているのを拝見しました。それはどうやって切り替えてるんですか?】という質問に、安藤は「カチンコですね。『よーいはい、カチン!』で切り替えてます」と即答すると、吉原が「カチンですぐに切り替えれる人はなかなかいないですよ。安藤さんは早いと思います」と現場での安藤の切り替えの早さに驚いた様子。
次に、【一緒に鑑賞した友達の感想で気になったのですが、最後のシーンで(ネリが林田にお金を振り込むシーンについて)暗号資産でお金騙し取られてないですよね?】とティーチインならではの本編に踏み込んだ内容の質問。これには安藤も「林田さん(サリngROCK)はキッチリ?一切騙さず?」と気になっていたようで原田監督に視線を送ると、原田監督は「僕の中ではネリはちゃんと海外に飛んでます。そして海外でお金をおろして、大金持ちになってます。今日は会場に編集を担当した遊人(プロデューサー)も来ていますけど、二人で『ネリが林田にお金をあげてるけど、そこからネリが500万をお小遣い用にお金持っていくシーンを本編にも入れておいた方が良かったよな』って話したんです」と本編には収録されていないシーンについての話が飛び出す一幕も。すると安藤は「そういったシーンがあったんですか?」とすかさず聞き返し、原田監督が「DVDの特典映像で付けます」とコメントし会場からは大きな拍手が沸き起こった。
そして、本編ラストのネリが西成から天王寺に坂を駆け上がっていくシーンについて【西成から天王寺は坂ひとつで街がガラッと変わると思うんですけど、あのシーンはネリがしがらみから解放されるという意図があったのでしょうか?安藤さんはどういう気持ちであのシーンに臨まれたのでしょうか?】という質問。
原田監督は「映画はネリが西成にいてそこから脱出する話なので、西成からあべのハルカスに向かうっていうのが象徴的で分かりやすかったんです。最終的には彼女(安藤)のアップで終わるようにして、そしてあのままどこかに飛び立っていったんだろうなっていう終わり方にしてますね」と演出意図を答えると、吉原が「あのシーン結構泣けたんですよね。こけそうになったのはわざと?」と安藤に聞くと、安藤は「ラストシーンは“走る”ということに重きを置きました。走る時ってこけないように少し制御して走るんですけど、その制御を外した走りをする。理屈で目的地に向かって走るというより、とにかく走るということに重きを置いた。でもその前に実はジョーから手紙をもらったシーンでもっとジョーに対する気持ちを表現してネリの涙が流れるシーンがあったんですよ。言ってもいいんでんすか?」と監督にお伺いをたてると原田監督も頷き「それもDVDの特典映像に(笑)」とユーモアたっぷりに回答し会場をさらに盛り上げた。
最後に【安藤さんは今回の映画で衣装へのこだわりはありましたでしょうか?】という質問がされると安藤は満面の笑みを見せ「こだわりいっぱいあるから嬉しい、めっちゃあります!原田監督は役者が身につける衣装とか小物を私たちの意見を尊重してくれるんです。今回は直前まで他の作品をやっていて、撮影に入るまでに時間がなかったんですよ。でも私が主演する映画でご一緒している宮本まさ江さんが衣装をやられていて、だからまさ江ちゃんの時は一緒に買い物に行って2人ですり合わせすることが多いんです。なので今回も個人的に衣装合わせをしてから衣装合わせに向かいました。でも監督がト書にネリの衣装についてすごい詳しく書いていて、イメージ湧きやすかったです」と笑顔で回答。すると吉原も「監督から『衣装どれにする?』っていうのが引っかけ問題みたいで怖いんですよね」と振り返りつつ「監督からはキラキラした時計をお薦めされたけど演じた役に合うようにGショックにしたり、セットアップをやめて動きやすい格好にしたりと意識しましたね。頭には寝癖があったりと。これは監督からの指示ではなかったですね」とこだわった部分をコメントした。すると安藤は共演した江口のりこの衣装が気になったようで、「江口さんの眼鏡は?」と原田監督に質問すると「素顔のままだと割と江口さんと(安藤)似てるでしょ?」とまさかの理由も飛び出し、安藤も「すごい間違われる(笑)」と笑顔を見せ、最後に「またこうゆう機会があれば嬉しいですありがとうございました!」とあいさつをしてティーチイン付き・舞台挨拶は大盛況のうちに終了した。
※記事内写真は(c)2023「BAD LANDS」製作委員会