稲垣吾郎『正欲』東京国際映画祭でコンペティション部門観客賞&最優秀監督賞

稲垣吾郎『正欲』東京国際映画祭でコンペティション部門観客賞&最優秀監督賞1

 『新しい地図』稲垣吾郎、“ガッキー”の愛称で親しまれる俳優・新垣結衣、磯村勇斗らが共演している映画『正欲』(監督:岸善幸/配給:ビターズ・エンド)。本作が1日に閉幕となった第36回東京国際映画祭(TIFF)でコンペティション部門観客賞&最優秀監督賞を受賞したことが発表となった。

 本作は、作家・朝井リョウ氏の同名小説が原作。不登校の息子が世間から断絶されることを恐れる検事の啓喜(稲垣)。ひとつの秘密を抱え、自ら世間との断絶を望む寝具販売員の夏月(新垣)。夏月の中学の同級生で、夏月と秘密を共有する佳道(磯村)。心を誰にも開かずに日々を過ごす大学生・大也(佐藤寛太)。自分の気持ちに戸惑いながらも心に従おうと邁進する、大也と同じ大学に通う八重子(東野絢香)。無関係に見えたそれぞれの人生が、ある事件をきっかけに交差するという物語となる。

 稲垣主演のTIFFでの観客賞受賞は、『半世界』(19/阪本順治監督)、『窓辺にて』(22/今泉力哉監督)に次ぐ3度目。本映画祭が開催されて以降、主演作が3度の観客賞を獲得するのは初。また、岸監督は、初の国際映画祭コンペティション部門出品にして、監督賞受賞というこちらもWの快挙となった。

 プレゼンターのアルベルト・セラ監督は本作を「ソーシャルメディアに支配された社会のなかで、アイデンティティを確立することの難しさ、複雑さを描き出した」と評した。授賞式には岸監督が出席。この度の受賞に際し、岸監督、稲垣、新垣からコメントが寄せられた。

 ●岸善幸監督コメント
 東京国際映画祭の審査員のみなさん、本当にありがとうございます。
 この作品は「すべてのひとが自由で自分を偽らずに生きていける社会とは何か」ということを問いかけています。 
 日本のみならず世界中が自分のアイデンティティを確立するのがなかなか難しい時代です。
 この映画を観て「多様性」の意味を考えていただけたら嬉しいです。
 素敵な賞をいただけて幸せです。
 主演の稲垣吾郎さん、そして新垣結衣さん、磯村勇斗さん、ほか、出演者の皆さんに感謝いたします。

 ●稲垣吾郎コメント
 東京国際映画祭で『正欲』が監督賞と観客賞をダブル受賞できたことを大変嬉しく思います。
 岸監督、おめでとうございます。
 初めてご一緒する作品でしたが、緊張せずに現場に立てたのは監督の丁寧な演出と優しいお人柄のおかげだと思っています。
 これからも素敵な作品を楽しみにしています。

 ●新垣結衣コメント
 監督賞、観客賞、受賞おめでとうございます!作品に関わる一人として本当に嬉しいです。
 撮影に入る前から、岸監督にはとても親身になって話を聞いていただき、そして粘り強く同じ目線で共に考え続けてくださったことで、最後まで夏月という役にしっかりと向き合って演じきれたと感じています。
 ありがとうございました。
 この受賞をきっかけに映画『正欲』がさらに多くの皆さんに観ていただけること願っています。
 改めて、おめでとうございます!

 ※記事内画写真は(c) 2021 朝井リョウ/新潮社 (c) 2023「正欲」製作委員会 (c)2023 TIFF