俳優・鈴木亮平が25日、東京・『第15回 TAMA映画賞』授賞式に最優秀男優賞を受賞したことから登壇した。
『TAMA CINEMA FORUM』が毎秋に開催している東京・多摩市民がつくる映画ファンの祭典の一環として『TAMA映画賞』を開催。作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考し、「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰するイベントとなっている。
鈴木は映画『エゴイスト』『劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室」』の演技が評価され本年度最も心に残った男優を表彰する最優秀男優賞に輝くことに。その受賞理由として「『エゴイスト』において、愛とエゴの狭間で葛藤しながらも献身的に注ぐ愛は繊細で切なく、実在感あるものとして観る者の心に刻まれた」としている。
スーツで登壇した鈴木。トロフィーを受け取り、受賞のコメントを求められた際に、感無量だったのか一瞬言葉が出ない様子を見せつつ、「素敵な賞ありがとうございま 身に余るお言葉をいただいて本当に光栄だなと思っております」と、笑みを浮かべた。
『エゴイスト』(監督:松永大司)は同性愛者であることを隠して生きる主人公・浩輔を描いた作品となっている。「撮影期間はほんの20日間程度だったんですが。共演の宮沢氷魚くんと、松永監督ら全員本当に集中して、1つになって走り抜けた作品です。ただただ、その場にさせて頂いていて、今思うとほんとにあの時間はあったんだろうか……と思うような、夢のような期間でした。それをこのような形で評価して頂いて、とても嬉しく思います。ありがとうございます」と、笑みが浮かんだ。
浩輔役を演じるうえで、原作者で2020年10月に亡くなった作家・高山真さんの自身の体験を描いているそうで、「コピーするわけでは決してないんですけれども、撮影開始の前年に、お亡くなりになられてしまって、そういうこともあって余計に、天国にいらっしゃるとしたら、そこから撮影風景とか準備期間とか、でき上がった映画を見て、何やってんだって言われないように。自分の体験とは違うかもしれないけども、“そういうことだ”“そうやってくれたなら文句はない”っていうふうに言って頂けるように、自分としては撮影に臨んだつもりです」と、役作りにかけた気持ちを。
そんな作品のディレクションへは、台本通りというよりも、「その場にいる、その場に生きているということを大事に」と、臨場感を優先したとも。
スピーチ後半には松永監督もサプライズで壇上にのぼり祝福。現場の鈴木のあり方へ、「本当に努力の人だと思います。1つの役を演じるためにどの役に対しても真摯に向き合って、一生懸命リサーチをして」と、見入るような気持ちとともに、現場で出したアイデアにもスタッフ含め対応してくれ「現場では瞬発力というか、彼の持っている本能的みたいなものを一緒に撮らせてもらったんです。本当に舌を巻いたというかすごかったと思います」と、たたえる。
一方の鈴木は撮影中のことを詳細には覚えていないそうで、「出来上がった映画でも、あ、こんなふうに過ごしてたっけ?というような。いまだに客観的に観れないと言いますか。たぶん僕はこの映画、10年以上経たないと客観的に映画としては 観れないんだろうなっていうのは今でも思ってます。それぐらいこう、自分が役者だとか、演技しているというようなことを忘れさせるという、その環境をスタッフ全員で作るんだというような思いを受け取って日々演じるような感じでした。お前は鈴木ではなく浩輔だっていうのを全員で作り上げてくいってくれた現場でした」と、スタッフたちも含めて全員で環境まで作り上げてくれたものだったと感謝していた。