杉咲花「それこそが人と関わる縁(よすが)」……「市子」舞台挨拶で感涙

杉咲花「それこそが人と関わる縁(よすが)」……「市子」舞台挨拶で感涙2

 俳優・杉咲花が9日、東京・テアトル新宿で主演映画『市子』(監督:戸田彬弘/配給:ハピネットファントム・スタジオ)公開記念舞台あいさつを俳優・若葉竜也、戸田監督とともに開いた。

 恋人からのプロポーズの翌日に忽然と姿を消した川辺市子の半生を追った先にあった壮絶な過去と真実を追った作品。杉咲は過去に違う名前を名乗って過ごしていたミステリアスな女性・川辺市子役を。若葉は市子にプロポーズするも突然の失踪に戸惑い、捜索を始める長谷川義則役を演じている。

 上映後のイベントとなりサプライズで、若葉と杉咲へ戸田監督から直筆の手紙が読み上げられることに。これを知らなかった杉咲は「無理無理~!」と思わず叫びながらも、読み上げられる前からその瞳には涙が浮かぶ。

 戸田監督の手紙ではこれまで杉咲が直筆の手紙でオファーをもらったことに感激し、そのことを喧伝していたそうだが、その手紙の言葉は戸田監督のものながら、実は字のうまい方に書いてもらったという衝撃の事実が明かされ、これには杉咲もあ然といった様子で泣き笑いすることに。この日はちゃんと直筆だそうで、ひと笑い起きた後、「いつかまた一緒に映画の旅ができるように頑張っていこうと思います。本当に杉咲さんに『市子』を託してよかったです」との、結びに杉咲の涙が止まらなくなり、杉咲も「誰かハンカチを」と言ってしまうほど。

 若葉の気遣いにより、涙をぬぐうティッシュがて渡される中「お手紙を頂いたときに、達筆な方だなと。別の方だと思いませんでした」とツッコミを入れつつ、「関わる人たちを信じて一緒に映画を作っていこうとされる姿勢にすごく受け取るものがあって。とても嬉しかったです」と、再び涙をぬぐった。

 そして、「こうした作品は、またいつかと願っても、すぐには生まれない作品だと思っています。手前味噌かもしれないですが、異質でとてつもない作品を描ききった監督、なんの屈託なく愛してくださる長谷川を演じた若葉竜也さんをはじめ、本当に素晴らしい制作陣の方々で、最高の経験になったと思います。すべての時間が楽しすぎて、ちょっと……この舞台あいさつが終わるのが……終わるのが寂しいです。映画を観てくださった方の感想で『市子のことが分かったけど、最後に突き放された』という感想を頂いて自分はちょっと安どした部分があったんです。それだけ人の複雑な部分にアクセスしたんじゃないかなって。自分の悲しみや怒りとかをすべて人に分かってもらうことができないように、きっと自分たちには他者を分かるということはできなくて、分からないということを受け入れる。それこそが人と関わる縁(よすが)だと思っています。だからこそ想像を続けたい。恥ずかしくてもかかわろうって思うんです。劇場でみなさまの友達や家族、ご自身のすぐ隣を歩く人でしたり、遠い国に住む人のことを想像するような時間が生まれたら嬉しいなと思います。どこまでもこの映画が羽ばたいていくことを願っています。本当に、この映画に出会ってくださってありがとうございました」とスピーチ。

 杉咲は思いの丈を伝えきり、涙ぐむなか司会を務めていた奥浜レイラ氏が思わず感涙と、作品が描いたものの一端を窺わせるなかイベントは温かい拍手とともに終演を迎えていた。

 映画『市子』はテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中!

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泣き笑いする杉咲

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