シンガーソングライターのコレサワが5日、、東京・Spotify O-WESTで自主企画ツーマンライブ『コレサワ LIVE 2023 きみとデート vol.1』を開催した。
以下、公式レポート部分。
“相手をデートに誘う気持ちで対バンする”というコンセプトで実施された本公演はソールドアウト。コレサワが昔からファンだというロックバンドのパスピエを招き、相思相愛のライブを繰り広げた。
大きな拍手で迎えられたパスピエは、80年代を彷彿とさせるディスコチューン「MATATABISTEP」からライブをスタート。大胡田なつき(Vo)の甘く浮遊感のある歌声と、成田ハネダ(Key)、露崎義邦(Ba)、三澤勝洸(Gt)ら楽器隊によるタイトなアンサンブルでオーディエンスを惹き込む。さらに、翌12月6日発売のアルバム『印象万象有象無象』収録の「バジリコ」や躍動感のあるナンバー「発色」と、アッパチューンの連投でフロアをヒートアップさせる。そして大胡田が“今日はいいデートにできたらいいなと思っています”と挨拶した。
その後は幻想的なサウンドや表現力豊かな歌で魅了した「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」「夕焼けは命の海」から、中毒性のあるロックチューン「GOKKO」と続き、緩急を付けた展開に。「シネマ」では観客が一斉に腕を揺らす場面も。パスピエとコレサワのファンが一体となるさまは壮観で、大胡田も“ありがとう! 嬉しい”と笑顔を見せた。
MCでは、成田が“今日コレサワさんチームと話してて。お互い認知してたけど、全然交わることがなかったんですよね。そこで声を合わせて言ったのが「お互い人見知りだもんねー」って(笑)”とライブ前の会話を振り返る。大胡田は“コレサワちゃんの前に、少しでもみなさんをほぐして温めたいなと思って”と述べ“コレサワちゃんともみなさんとももっと仲良くなれたらいいなと思っているので、もう少しお付き合いください”と意気込んだ。
さらに爽快感の中に切なさを忍ばせた「四月のカーテン」、緻密な演奏でスペーシーなサウンドを作り上げる「cube」、疾走感と哀愁が同居した「Q.」と畳み掛ける。“また必ず、ここでお会いしましょう”と大胡田が言うとラストの「最終電車」へ。熱量の高いパフォーマンスでコレサワに繋いだ。
続くコレサワは、ガーリーな衣装を身にまといヘアメイクを施して登場。敬愛するパスピエとのデートに向けておめかしをした彼女の姿に、フロアから“かわいい!”と声が飛ぶ。ひぐちけい(Gt)、なかむらしょーこ(Ba)、U(Dr)、北村真奈美(Key)というお馴染みのメンバーも、ピンクと白を基調としたコーディネートで揃えていた。まずは企画になぞらえて「スーパーでデート」を披露すると、「あたしを彼女にしたいなら」では“よかったら一緒に!”と観客に合唱を促す。パスピエがもたらした熱を上昇させるように、コレサワも序盤からハイテンションだ。
出番前にも関わらず、「最終電車」までしっかりパスピエのライブを楽しんだというコレサワ。“あかん、緊張してるわ。パスピエを観て踊りすぎてポカポカで。自分のライブやと思っても、ここにパスピエがおるからキャー?って”と熱っぽく語り、ひぐちに“ファンの方のメンタル。いつもと雰囲気が違いますよ!”とツッコまれる。また、コレサワのライブが初見のパスピエファンも楽しめるよう、「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」「死ぬこと以外かすり傷」といったアッパーな定番曲を立て続けに披露した。
「この恋はスクープされない」をしっとりと演奏したのちバンドメンバーがはけると、コレサワは企画開催の背景について明かす。“私、恋愛では誰にでも褒められるくらい積極的に行くんですよ。好きな人を見つけたら絶対この人落とす!って、2~3回振られてもめげずにガンガンいけるんやけど、なぜか人間関係は臆病になっちゃって。対バンしたいバンドがいても、もし断られたらとか、めっちゃマイナス思考になる”と吐露。しかし“やっぱり好きな人と一緒にやると刺激にもなるし、縁ができるじゃないですか。だから勇気を出して誘おうよって周りにも背中押してもらって、ツーマンイベントを企画しました。パスピエ出てくれるかなってドキドキしながらお願いさせてもらったら、ツアー中の忙しい時期なのに出演してくださって。ありがとうございます”と述べ、深々とお辞儀した。そして、パスピエの音楽に惹かれたきっかけとなったアルバム『ONOMIMONO』収録の「プラスティックガール」を弾き語りでカバー。アコースティックギターをかき鳴らしながら切なく儚い声で歌い上げた。
“次の曲は、女の子が好きな人と一緒にお風呂に入ることで嫌なことを全部チャラにするってことを歌ってるんだけど、私はこの曲を自分のファンに向けて書いていて。みんなの嫌なことをライブでザバーンと洗い流せたらいいなって。コロナ禍中にリリースした曲で、本当はみんなで大合唱する曲なんです。それが叶わないまま当時のツアーを回って寂しかったので、今日はみんなで歌いたいと思います”と、2021年のアルバム『純愛クローゼット』収録の「バスタイム」を、声出し解禁後に初めて披露。コレサワがマイクを観客に向け、合唱が会場いっぱいに響き渡ると“最高じゃん!”と喜んだ。
Uが鈴を鳴らす中、“もうすぐクリスマス。みんなは何をお願いする?”とコレサワが問いかけると「お願いサンタクロース」へ。11月29日に配信リリースしたばかりの曲だが、インディーズ時代よりライブで歌い続けているこの時期の定番ナンバーだ。コレサワファンは楽曲が始まるとすぐにペンライトの色を赤や緑に変え、フロアはクリスマスカラーに染まる。さらに続けて代表曲「たばこ」を歌い上げ、観客の心を掴んだ。
“みんな元気出しきれますか? まだまだ行けますかー!?”と煽ると「ライブ終わりに」でラストスパートに突入。続く「SPARK!!」のイントロが聞こえると一度コレサワがステージから下がり、先日マカオのフェスで披露したお面を装着し “撮影OK”のプラカードを掲げながら再登場。日本のファンにお披露目したのは今回が初で、“コレサワのライブで写真が撮れる”という初めての試みを実施した。スマートフォンやカメラを向ける観客に向けて指ハートを作ったりポーズしたり、ファンサービス満載のパフォーマンスで締めくくった。
アンコールでは2024年3月6日(水)にミニアルバムの配信リリースすること、3月16日(土)東京・渋谷eggmanにて《コレサワ LIVE 2024シティガールとバッドボーイ》を開催することを発表。リリースパーティは、昼は女子限定、夜は男子限定の二部制となっている。
告知を終えると、大胡田なつきをステージに登場。衣装を褒め合うなどガールズトークをする中、自身が前からパスピエに認知されていたことを知りコレサワは大興奮。最後は“すべての元カレに捧げます。聴いてください、SSW!”というお馴染みのタイトルコールを大胡田が行い、コレサワの「SSW」をデュエット。ピック入りのカプセルをふたりでフロアに投げ込んだり、れ子ちゃんのぬいぐるみを大胡田が持って歌ったりとこの日だけの特別なシーンもあり、心を通わせた二人の歌が会場を温かな空気で満たす。終演後は出演者全員で記念撮影も。撮影時の2組の打ち解けた様子は、この日の“デート”が成功し、コレサワの思いが成就したことを証明していた。
文:神保未来
写真:小坂茂雄
■セットリスト
パスピエ
01.MATATABISTEP
02.バジリコ
03.発色
04.トーキョーシティ・アンダーグラウンド
05.夕焼けは命の海
06.GOKKO
07.シネマ
08.四月のカーテン
09.cube
10.Q.
11.最終電車
コレサワ
01.スーパーでデート
02.あたしを彼女にしたいなら
03.お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな
04.死ぬこと以外かすり傷
05.この恋はスクープされない
06.プラスティックガール(cover)
07.バスタイム
08.お願いサンタクロース
09.たばこ
10.ライブ終わりに
11.SPARK!!
アンコール
SSW(コレサワ&大胡田なつき)