俳優・橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子が29日、都内ホテルで4人で主演する舞台『千と千尋の神隠し』(翻案・演出:ジョン・ケアード)全国ツアー&ロンドン公演へ向けた製作発表会見を、ほかキャスト・スタッフ陣とともに行った。
宮﨑駿監督が手掛けたアニメーション映画『千と千尋の神隠し』が、東宝創立90周年を記念し、『レ・ミゼラブル』のジョン・ケアード氏演出により2022年に世界初の舞台化。少女・千尋が引っ越し先に向かう途中、トンネルから八百万の神々の世界へ迷い込むところから始まる物語。人間の世界に戻るためにさまざまな出会いを経て、生きる力を呼び醒ましながら奮闘する千尋の姿を描く。初演は主人公の千尋役を橋本&上白石のW主演で上演したが、2024年版は川栄&福地も加えた4人で3月11日より帝国劇場で上演を予定している。
1人1人呼ばれて登壇したキャスト陣。橋本は「私にとって、初演の時からかけがえのない作品です。いろいろ大変なこともありましたが、いろんな感情が動いて、役者人生の中でこれだけ充実の時間を過ごせるということはないと思って、けいことツアーに臨んでいました。本当に大切な千尋役を演じさせて頂けることを本当に嬉しく思っています」と、思い入れの深さを語る。
「きょうは登壇しているキャストが多いので多く喋るとあれだなと思いますが、言いたいことが本当にたくさんあるんです」と、状況は分かっているものの、胸にあふれるものがあるよう。とくにけいこ場では、自身以外の3人の千尋を見て「パワフルな新鮮な千尋をけいこ場で観させて頂いているんじゃないかと思います」と、見入るそう。
さらに、「初演からこれだけ変わることがびっくりするくらいジョンの演出が違うんです。“前回こう言われた”は通用しないんです。それはいい意味で変化をしている瞬間に立ち会えているというも感じています。それをいろんな方に観て頂ける。新しいパワーアップした『千と千尋の神隠し』が見せられると感じています。楽しんで頂けるのではないかと思っています」と、期待を。
そんなけいこ場の演出を通じて、「私、今年で25歳になったんですけど、千尋は10歳なので年齢を重ねるごとにどういうふうに変わっていくんだろうと思っていたんです。けれど、それで遠ざかるわけではなく、より10歳の気持ちが分かったり、寄り添えたりするのが自分でも驚いているんです。とにかくお客さんに早く観て頂きたいし、どれだけ期待をしていただいても裏切らない作品なっているのではないかと思いっています」と、自身のなかで幅が広がっているようで、ロンドン公演にも「ロンドンでできることに何より幸せです」とも話していた。
続けて、上白石。「また再び、幸せな一員になれることを嬉しく思います。(公演)スケールの大きな言葉を聞いて、ちょっとふわふわしそうですが、どの会場に行っても素朴で素晴らしいストーリーを伝えたいと思っています」と意気込みを。さらに、上白石は「ここにいる4人と、アンダースタディーを務める方と5人で作っています。キャストは2倍に増えて、豊かに充実しているのを感じています。誠実に千尋として生きたいと思います」と、もう1人の“千尋”のことをあげて一丸となって作っていることを伝えた。
川栄は「萌音ちゃんの初演を観させて頂いて、幕が開いた瞬間に、本物の千尋がいると。その作品に参加できると思わなくて」と、起用に驚いたそう。けいこ場は「新しいキャストにも優しく迎えてくださる、みなさんに感謝しています」と、雰囲気を語った。
福地は「絶賛けいこ中ですが、まだ千尋として参加質得ることが不思議な気持ちなんです」と夢見心地な気分だそう。「劇場で初演を見ることができなかったんです。いまは、生でいい席で、生の千尋を客観的に観て楽しませていただいて、けいこ場は大きな生き物から、小さな生き物までかわいいなって思っています。いろんな匂いだったり音から感動していて、そんな体験をしていることがとても楽しくて仕方ないです。いつもけいこをしている、みなさんときょうこの場に立たせていただいているので楽しいなという気持ちと、不安というより舞台として、この作品をお届けできることを楽しみにしています」と、メッセージを寄せた。
記者からは橋本と上白石へ自分のなかで千尋はどんな位置づけ?という質問が。
橋本は「難しいなぁ」と漏らすと、「初演のときに初めて舞台をやらせて頂くことになって、それが千尋役で、そのときははもう右も左も分からない……というか、毎日覚えることがたくさんあるし、けいこ場とかツアーで舞台に立って、演じている時の発見とかも本当に新しいことだらけで。こんなに感情が動くことがあるんだっていう、役者人生の中で絶対に何年経っても忘れない役になりました。絶対にこの先いろんな役をやってたとしても色あせないし、忘れることができない千尋になったのではと思います。だから位置づけが難しいんです」と、しみじみ。
上白石は「大切な作品ですし別の作品を演じていても、心の中にいるなって。10歳の子供がいると目で追いかけてしまうんです。どう走るのか、しゃべるのかとか、いまだに千尋のために見てしまうことがあるんです。ずっと心の中に千尋を飼っているんだと感じていて。良いもの、素敵なものを見たときに、千尋はどんな顔をするんだろうとか。友達のような子供のような愛しい存在です。折りに触れて思い出すものです」とのことだった。
舞台『千と千尋の神隠し』東京公演は3月11日から同30日まで帝国劇場を手始めに、愛知公演は4月7日から同20日まで名古屋・御園座、福岡公演は4月27日から5月19日まで福岡・博多座、大阪公演は5月27日から6月6日まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、北海道公演は6月15日から同20日まで札幌・札幌文化芸術劇場 hitaruにて。同時に4月30日から7月20日にはロンドン・ウェストエンドにて上演予定!
■同日登壇キャスト・スタッフ
千尋役:橋本環奈/上白石萌音/川栄李奈/福地桃子
ハク役:醍醐虎汰朗/三浦宏規/増子敦貴(GENIC)
カオナシ役:小尻健太/中川 賢/山野 光
リン/千尋の母 役:妃海 風/華 優希/実咲凜音
釜爺役:田口トモロヲ/宮崎吐夢
湯婆婆/銭婆 役:夏木マリ/羽野晶紀/春風ひとみ
ジョン・ケアード(翻案・演出)
今井麻緒子(共同翻案)
松岡宏泰(東宝㈱代表取締役社長)、
イアン・ギリー(PW プロダクションズ 最高経営責任者)