岩田陽葵と小泉萌香による声優ユニット『harmoe』が9月16日にTOKYO DOME CITY HALLで3rd LIVE TOUR『ii’m here』ファイナル公演を開催した。
2ndアルバム『radii』を軸にあらゆる「愛」を表現していく。
以下、公式レポート部分。
開演時間になり、会場には音楽が流れ始める。ドクンドクンと何かが生まれる鼓動……。2ndアルバム『radii』のオープニングナンバー「BiRTH-ii’m here ver.-」が、ライブのオーバーチュアとして流れる中、景色が映し出されていたスクリーンの前に立ったharmoe。そこがライトに照らされると、それぞれ、青と緑のドレスをまとった岩田陽葵と小泉萌香の姿がはっきりと浮かび上がる。1曲目は「Love is a potion」。ふわふわのドレスを揺らしながら、手を合わせたりジャンプをしたり、指でハートを作りながら曲の世界を表現していく。2人のハーモニーも心地が良い。
「みなさん、harmoeのライブようこそ!」「声出す準備、できてますかー!」と伝えると、8人のダンサーが登場し、賑やかに「カラフル×ジョイフル」を歌う。カラフルな部屋着風の衣装を着たダンサーとパフォーマンスをしながら、ファンとコール&レスポンスを楽しむと、ポップナンバー「Okey◎Dokey!」を続ける。ダンサーが7人になり、『白雪姫』に出てくる7人の小人をイメージしたダンスで盛り上げていたが、歌詞に合わせた動きが、まるでミュージカルを観ているかのようだった。
今度は4人のダンサーと、陽葵と萌香の掛け合いが楽しい「twin’s heart beat」へ。呪文のような〈\メザメヨ!アタシラサイキョウノツインズハー!/〉」を、みんなで叫ぶと、会場にすごいパワーが満ち溢れていく気がする。最後は2人で〈Lalala…〉と声を重ね、最強のふたりは、一旦ステージをあとにする。
インタールードの「SiGNAL」が流れたあと、白い光に包まれて、真っ赤なお揃いのドレスをまとったharmoeが登場すると、ダンサーと共に、ジャジーな「私のヒミツは」を披露。リズムを際立たせたサウンドに、2人がシリアスな歌声を響かせていく。そのままシームレスに「Night before」に移行し、今度は情熱的な歌声とダンスで“熱情”を表現。さらに曲間なく「アンチクライアント」に繋げ、今度は一気にヴィランズの世界に引きずり込んだ。この曲では、2人の表情含めた表現力に釘付けになったし、8人のダンサーとの圧巻のパフォーマンスが見事だった。
余韻も覚めやらないまま、ダンストラック「Loud, Painful,Bitter」に乗せて、ダンサーたちがクールにフォーマンス。会場もクラップで盛り上げていくと、今度は襟付きのスーツ風の衣装にチェンジしたharmoeが登場。ここからはダークな世界観を表現していく。
「All of Me」は、“偏執”をテーマにした曲。2人が交互に歌唱していくのだが、ステージセットにある左右に分かれた階段を使いながら、スポットライトの中で歌っていく演出が素晴らしかった。同じメロディーを悲痛な感情を込めながら歌っていく2人の表現力の凄まじさ。それぞれの場所で歌っていた2人が、最後の最後で隣り合うのだが、そのときの表情だけ観てもゾクゾクさせられた。さらに『不思議の国のアリス』のハートの女王をモチーフにした「QUEEN」も、曲の世界に入り込んで激しく歌い、孤独な思いを演じていく。ズシッと来る低音のヴォーカルも力強かった。一転「wait for you」では、2人のハーモニーとダンスで魅せていく。そして、波音が響く中、ダンサーとharmoeの4人で表現した「Make a pearl」。ここでは会場を満たしたスモークに、レーザーの光線が照らされ、幻想的な世界が広がっていく。おしゃれなサウンドとニュアンスたっぷりに歌う2人の歌唱に切なくなりながらも、心は満たされていくようだった。
ここで雰囲気をガラッと変えて『クマのプーさん』をモチーフにした「ふわふわpartyつられてhappy」へ。ダンサー6人の衣装もカラフルでメルヘン。まるでおとぎ話の世界に迷い込んだみたいだった。クラップが鳴り響く中、キャッチーな歌をコミカルさも交えて表現していく。ステージの上空には丸いライトが浮かんでいたのだが、それが曲に合わせて上下していたのも可愛らしい。さらに同じく『クマのプーさん』がモチーフの「HoneyDrop」へ繋げていく。ストレートで明るいこの曲でも、さらに大きなクラップが起こり、最後はみんなで手を左右に振り、ハッピーな世界を作り上げていた。
感情が忙しかった6曲を一気に駆け抜けると、インタールード「i」に乗せ、「愛」についての朗読が流れる。
センターに用意されたひとり分のお立ち台。そこに白い衣装をまとった陽葵が立ち、萌香は腰掛けながら“無償”の愛を歌った「愛と呼ぶなら」を、透き通った歌声で、時に感情的になりながら歌う。お立ち台を降りて横並びになり、最後は2人で腰掛け肩を寄せ合い、モチーフとなった『幸福な王子』の世界を描いていった。
息を飲むようなパフォーマンスのあとは「セピアの虹」へ。スクリーンに映し出された2人がセピア色になっていて、そこに虹の色が差し込まれていくスクリーン演出と、ステージ上では、白い光に包まれながら〈君が隣で笑ってくれるからどんなことだって 輝き出すよ〉と歌う2人の姿が印象的だった。最後は虹色に光る階段を登って曲を終えると、“Where am ii?”というメッセージが映し出される。続いて、「セピアの虹」と同じく『オズの魔法使い』をモチーフにした「Dorothy」。ここでは“自己”への愛を、真っ直ぐに力強く歌っていく。歌詞にある〈銀色の靴〉を実際に履いて、マントをはためかせながら歌っている姿も、途中、会場を紙吹雪が舞う景色も美しかった。
異国感漂うインタールード「RiSE」で、2つの「i」は、宇宙へと飛び出していき、ついに「愛」は神となる。そして、本編ラストに歌ったのは、「HyperLoveSong」。最高にカッコいいビートにノッて、2人で激しくダンスをしながら歌い、会場を盛り上げていく。MCなしで、あらゆる「愛」を表現してきた2人による自信に満ち溢れたパフォーマンス。最後の決めで2人で並んだシルエットが、スクリーンに映し出されたツアータイトルの“ii”の2文字と重なる。そして『ii’m here』というロゴと共に本編を終えた。
「愛」はここにある、私たちはここにいる、私はここにいる……さまざまな意味を内包していたツアータイトル。確かに、このステージには「i」も「愛」もすべてが存在していた。
ミュージカルのような本編のあとのカーテンコールのようなアンコール。ここでは「キュリオシティ・パレット」を笑顔で歌い、いつも2人を支えているメインダンサー、花菜&Kaoriと4人で「ふたりピノキオ」を披露。息の合った4人の安心感すら漂うパフォーマンスだった。
ライブも最後の1曲になり、この日初めてのMCへ。「みなさんも、愛は見つけられたでしょうか?」と萌香が、そして「私たちの愛、届きましたか?」と陽葵が聞くと、大きな歓声が返ってくる。ここで、初日から人数が増えて8人になったダンサーを紹介。「本当にいつもありがとう!」「I Love You」と感謝を伝えると、彼女たちの要望通りにペンライトでライブを彩ってくれたファンにも、ありがとうを伝えていく。
「3公演、あっという間だったんですけど、どの公演も一瞬で尊くて。みんなとかけがえのない時間を過ごさせていただきました。今回は『愛』という大きなテーマを背負って旅に出たんです。ライブを通して何か見つかるだろうと思ったんですけど、正直、『愛』とは何なのか、今も答えはわからないです。でも、このツアータイトル『ii’m here』という言葉が全てなんだなって思ったんです。こうしてみんなが元気にここにいてくれることが、ものすごく愛だなって。この1年間、元気でいることって当たり前じゃないし、すごく難しいことなんだなと思う機会が、私たちには多かったんです。悔しい思いをすることが多い1年でもあったので、今回のツアーで、誰ひとり欠けることなく、このライブを届けられたことが、すごく尊い瞬間だったと思いました。みんなに元気でいてほしいし、もし力がないなってときは、いつでもここに来てください。harmoeには『愛』があります。みんなにたくさんの『愛』を精一杯届けますので、これからも私たちと一緒にいてください!」と陽葵が伝える。
続けて萌香が「2ndアルバム制作時から『愛』を考え続け、このツアーを経て何か見つかればいいなって、ふわっとした感じで過ごしていたんです。でも、『愛』とは何だっていう答えって一生見つからないと思うんです。だから愛とは何かではなくて、愛は常にそこにあるものなんですよね。『愛』とは?って考えながら過ごしていたから、ライブを支えてくれるスタッフさんの行動が『愛』だと思ったし、みんながこうやって足を運んで会いに来てくれることも『愛』なんだなって、改めて気づけたんです。いろいろな予定がある中で、この日に合わせて私たちに会いに来てくれる人がこんなにたくさんいるんだなって思えば思うほど、『愛』ってひとつじゃないし、カラフルだし、とてつもない存在なんだと思いました。ステージに立つこと、生まれてきた意味を、みんなに気づかせてもらえて、幸せだなと思えたツアーでした。皆さんが、harmoeを応援したいと思ってくれたり、ライブのおかげで仕事を頑張れる!って思っていただければ、それがひとつの『愛』になるので、これからも『愛』を一緒に作り上げていきましょう。『愛』はここにありました!いつでも“会い”に来てください! 『愛』だけに(照)」と伝え、最後はみんなで笑顔で楽しく「一寸先は光」を歌い、“ii’m here, ii’m LOVE, TiME is Singing ?? harmoe”というメッセージを残し、ライブを締めくくった。
改めて振り返り、できればこのライブを一度見たいと思ったところで朗報だ。実は9月29日(日)18時からTOKYO DOME CITY HALL公演のアーカイブ配信が決定した。そして翌日9月30日(月)19時30分からは、このステージを作り上げたスタッフトークの配信も決定。どちらもZAIKOにてチケット販売中なので、ぜひチェックしてほしい。
12月25日(水)『harmoe ファンクラブライブ2024 ?Christmas Acoustic Live?』を開催。さらにTVアニメ『いずれ最強の錬金術師?』のEDテーマになる、7thシングル「トゥインクル・デイズ」が、2025年1月8日にリリース。今回のモチーフは『ピーター・パン&ウェンディ』とのこと。さまざまな『愛』を表現した彼女たちが、次に何を表現していくのか、楽しみは尽きない。
01:Love is a potion
02:カラフル×ジョイフル
03:Okey◎Dokey!
04:twin’s heart beat
[SIGNAL]インスト
05:私のヒミツは
06:Night before
07:アンチクライアント
[DANCE TRACK]
08:All of Me
09:QUEEN
10:wait for you
11:Make a pearl
12:ふわふわpartyつられてhappy
13:HoneyDrop
【Interlude「i」】
14:愛と呼ぶなら
15:セピアの虹
16:Dorothy
【RiSE】
17:HyperLoveSong
encore
EN01:キュリオシティ・パレット
EN02:ふたりピノキオ
EN03:一寸先は光