お笑いコンビ『キングコング』西野亮廣が11月5日に東京・新宿ピカデリーで映画『こまねこのかいがいりょこう』(原作・監督・キャラクターデザイン:合田経郎/配給:日活)公開記念トークショー付き上映会を松本紀子エグゼクティブプロデューサーとともに開催した。
Netflix シリーズ「リラックマとカオルさん」や、前代未聞のストップモーション時代劇「HIDARI」等を手がける日本のこま撮りアニメーションの最高峰“ドワーフスタジオ”の劇場最新作。“こま撮り”が好きなねこの女の子“こまちゃん”の日常を優しさあふれる世界観で描いた、シリーズ最新作。西野はコマ撮りの約13分ほどの短編映画『ボトルジョージ』(監督:堤大介)をドワーフスタジオとともに作り上げていることからゲストとなった。
まずは、『こまねこのかいがいりょこう』を観て西野は、「20年前の作品でも、最初から仕上がっているのというものあるんですけど、古くなってないんです。いいの見させてもらいました」と、コマ撮りだからこそいつ観ても色褪せないものだったと感じ入る。
続けて、コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』の話題へ。同作の制作経緯として、もともとは絵本の出版を考えていたという西野だが堤監督からコマ撮りはどうかと相談を受けて、「絵本を描いたら、このへんに着地するかなというのが見えていたんですけど、作り方も分からないコマ撮りを作って、どう届ければいいんだと思って。挑戦するなら、絵本とコマ撮りならどちらが面倒かなと思って」というときに“面倒な方”で未知のコマ撮りの方を選んだという。
「とっかかりは面白そうだなっていうのがあったんで」と興味本位から始まったコマ撮りの作品だが、「初めて見て面白いなって後付の再確認があったんです。それが制作過程が面白いなっていうもので」という西野。完成品は現代であればAIが作り出すかもしれないが「AIが作り出せないものというのは何だろうと思ったら、それが制作過程で。プロセスが魅力的で、あとはコマ撮りなら古くならないというのも、やってみて余計に思いました。CGとかなら年代ちょっと出ますもんね」という考えに至ったという。
続けて考えたのが短編映画で、資金などをどう回収するかだったという。西野としては、13分の短編映画では、「要するに移動のコストと(本編鑑賞が釣り)合わないということですよね。往復1時間かけて来ていただくとしても、13分ではお客さんは食い足りないと」と思ったという。しかし、逆にこの短編映画での資金などの回収が「答えが見えなかったというのが大きかったし、誰も答えを持っていない。その大喜利が面白すぎて、やってみようと思って」と、面白がったため挑戦もしたという。
結果、回収方法として「めっちゃ二転三転したんです」という西野。まず考えたのはYoutubeでの配信をすることで「すぐ勝てる気がしたんです。行ってやらーと思ったんですけど、よく考えると意外と埋もれるなと思ったんです」といい断念。次に思いついたのが「アートだったんです。短編映画を額装しちゃってどっかの美術館に飾ってもらう。究極的にルーブル美術館にでも飾ってもらえたらと思って。これで勝った気はしたんですけど違いました(苦笑)」と、このアイデアも断念したという。
そして行き着いたのが「専用劇場を作る」だったという。その専用劇場というのも堤監督たちと最初に飲んだという、チケット購入者だけが教えられるという住所非公開の約15人ほどのスナックCANDYという。19時からはスナックとして営業しているそのお店を18時30分から30分間だけ“専用劇場”化。365日オープンで1日15人限定とし、「作品を観られたお客さんが、その後は飲み屋として飲んで、このカウンターで監督と話をしていたんだなとかと思ってもらえれば。そこまでセットのエンタメになら、(コストに)見合うんじゃないかっていうので、走らせることにしました」という。実際、西野はその“専用劇場”に「関係者を連れて行きやすい。会食は週3回とかあるんです。幻冬舎の見城徹さんとかへ映画を観に行きましょうとは誘いづらいけど、飲みに行きましょうなら言いやすくて」と、さまざまな関係者と“専用劇場”で作品を観た後に飲んでいるのだそうだ。
ほかにも、西野は映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観た20代の方が、その劇場で観る体験を“生”と表現していたことに「映画はライブだ」という気づきになったというエピソードなどを語っていた。
最後に西野からあらためて『こまねこのかいがいりょこう』へ「一生懸命作りました」とわざと話して笑いを誘って「僕は作ってないですけど」と言いつつ、「本当に素晴らしい作品ですのでお願いします」と、エールを送っていた。
映画『こまねこのかいがいりょこう』は公開中!
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ