舞台『錆色のアーマ』(演出:元吉庸泰)公開ゲネプロが8日、東京・渋谷のAiiA 2.5 Theater Tokyoで開かれた。
本作は日本の戦国時代をモチーフに、「アーマ」と呼ばれる個性的な武器を携え天下統一を夢見た男たちの生き様を描く、史実に基づいた完全オリジナル作品。
ゲネプロ前には孫一役の佐藤大樹、織田信長役の増田俊樹とW主演が囲み会見を開催。初日へ向け、「早くこの日になってほしいという気持ちでいっぱいでした。ここまで最高のスタッフさんと積み上げてきた舞台で早く観てほしい気持ちでいっぱいです!」と、開演が待ちきれないようで、増田も思わず「心強いな」と漏らしつつ、「頼れる仲間たちと1ヶ月間けいこに励んできてすごく素晴らしい舞台ができているなという自負があります。自分いち個人としては、久しぶりに立つ舞台なので、一体、舞台の上では何が起こるんだろう。いいことがたくさん起こると思いながらも、いろんな危ないことも多々ありますので、けがのないように座長らしく振る舞えれば」と、気を引き締めた。
本作の特徴は、この舞台からアニメなどへメディアミックスしていくという手法のいわば“逆2.5次元”の流れな珍しいプロジェクトとなるが、佐藤は、「初めての2.5次元プロジェクトで、僕達のキャラクターがアニメやいろんなメディアミックスになるので、けいこの段階からセリフの言い回しとか、キャラクターの特徴だったりとか、雑賀衆でいえばそれぞれにアーマがあるので、その武器の名前や、必殺技をポージング1つ1つ自分たちが原作なんだということを意識を持って取り組んでいたので」と、いろいろ決めていく楽しさがあったようで、「史実上にも雑賀孫一はいるんですけど、物語によって描かれているものが違うので割とこうというものがないんです。もし自分が歴史上にいたらこういう孫一になっているだろうという孫一をと思っています」。
増田も、キャラ作りへ「信長自身がどういう思いを持って生きていたのか、『錆色のアーマ』オリジナルで考えるとどこまでいけるんだろうかと考えながらでした。史実上あるような光秀との関係や一向宗との関係だったりをなぞるようにしながら演じています」と、話していた。
なお、劇中では歌とダンスも多く、佐藤は「今回の舞台で初めて歌に挑戦したんです。いままでやったことがなくて、すごく不安だったんです。けれど、いざけいこに入ると歌の先生始め、キャストのみなさんがたのもしく力を貸してくださいまして、みんなでたくさん練習したので。雑賀衆で歌って踊る1曲があって、みんなで合わせるため居残りで練習したりとか次の日のアップがわりに踊ったりもしました」といい、「増田さんの織田信長、それと顕如の歌が個人的に好きで、声もいいし、歌もうまいし、存在感に華もあって」と、オススメポイントも。
一方増田は、「前日の最終げいこまで、台本のあらゆるところがカットされていって、それは描ききれなかっただけで、ボツではないんですけど、煮詰まれば煮詰まるほどどんどん洗練されていくさまを見られました」と、役者として勉強になったようだった。
また、衣装についても質問が挙がったが、佐藤は「男の子なんで武器とかを持つとテンションが上がって(笑)。キャラクターによって武器のアーマにもこだわっているんで」と、目を輝かせると増田もうなずきながら「俺も甲冑を頂いた時は憧れました。けいこ後半で信長の刀を頂いて抜き身の刀だったんですけど、それまでに作ってきた織田信長という人物像に対して鞘に収まらないというのは僕の中で腑に落ちる部分がありました」と、さまざまな思いがあったようだった。
その後のゲネプロが開催。ミュージカル調なお芝居もあったり、キレがよく息の合ったダンスシーン、プロジェクションマッピングも利用した派手な殺陣&銃撃シーンなどさまざまに楽しめる要素満載の仕上がりを見せていた。
舞台『錆色(さびいろ)のアーマ』東京公演は8日から18日までAiiA 2.5 Theater Tokyoにて、大阪公演は22日から25日まで森ノ宮ピロティホールにて上演!
■出演キャスト
孫一(マゴイチ)役:佐藤大樹
織田信長(オダノブナガ)役:増田俊樹
鶴首(ツルクビ)役:荒木健太朗
蛍火(ホタルビ)役:永田崇人
黒氷(クロヒョウ)役:平田裕一郎
木偶(デク)役:章平
アゲハ役:神里優希
不如帰(ホトトギス)役:崎山つばさ
明智光秀(アケチミツヒデ)役:栩原楽人
数珠坊(ジュズボウ)役:市瀬秀和
顕如(ケンニョ)役:輝馬
■STORY
鉄砲ひとつで戦乱の世に名乗りを上げた孫一という男がいた。
その鉄砲技術を手中に収め、天を食らおうとする信長という男がいた。
始めのうち、信長は孫一たち雑賀衆を利用しようとし、孫一もまた故郷の村を襲った信長を嫌い憎んだ。
信長暗殺を企み、信長の袂に潜り込んだ孫一率いる雑賀衆。
次第に信長は孫一たちの才能に惹かれ、孫一は信長の求心力に惹かれていた。
そこに忍び寄る第三の目、顕如が率いる一向宗という存在。
救済信仰を傘に信長打倒を狙い、織田軍の内部に謀反の種を蒔く。
そして、自らの野心の火を抑えられぬ明智光秀は顕如と手を組んでしまう。
孫一は光秀の罠に陥り、雑賀衆の仲間と完全に分断される。
次第に進む信長暗殺計画。
バラバラになる雑賀衆の仲間たち。
すべてがその場所、本能寺へと集約されていく。
果たして、孫一と信長は、その場所で何を見るのだろうか?