声優・増田俊樹が4月10日に都内で3DCGアニメ映画『ヨウゼン』公開御礼舞台あいさつをアイドルグループ『Aぇ! group』佐野晶哉とともに開催し、司会はニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが務めた。
作品は中国の古典作品『封神演義』に登場する楊戩(ヨウゼン)を主人公とした作品。殷と周の時代の間で巻き起こった仙界と人間界との戦いを描く。この吹き替え版のヨウゼン役を佐野、ジンコウ役を声優・増田が務める。さらに、『Aぇ! group』の新曲『ROCK’NPOP』が主題歌にもなっている。
イベントは王暁東(ワンシャウトン)氏による『ROCK’NPOP』を琵琶演奏でアレンジした演奏で幕開け。この生演奏を聴いて増田は「琵琶の演奏ってなかなか聴くことないんじゃないですか?聴きに行くタイミングというか機会もなかなかないですし、そもそも、その生の演奏を聴かせて頂くっていう機会も、今は簡単に音楽を聴く事ができる時代だからこそこうしたチャンスが少なくなってきた中で、自分の携わった作品に、ご縁があってこういった場所でこういう演奏を聴けるっていうのは、本当に背筋が伸びる思いというか。本当にシンプルに綺麗だな、格好いいなという気持ちになりました」と、感想を言葉を重ねて伝える。
こうした言葉を重ねる理由については、作品の反響について質問が挙がった際に増田の口から語られることに。本作はこれまで舞台あいさつなどで「ステージに立つことが多くて、さまざまなニュースやサイトに取り上げていただく際に、見出しの部分について僕の友達から連絡が来たんです。『おまえ、35歳になるけどなにもないのか?ネットに35歳何もないって書かれてるぞ。ひどいこと言われてるな』って」と切り出す増田。これは今年3月に開催した完成披露舞台あいさつにて、佐野と増田の2人の誕生日が近かったということでお祝いが行われ、増田は舞台上で、「35回目の誕生日を迎えても何もない」と答えたことが一部媒体で記事の見出しとなったという丁寧に前提を説明。
この事態を受け増田も「(記者の)みなさんにニュースに上げて頂く際に言葉も気をつけないといけないと実感して。なかなかこうやってみなさんのニューストピックに挙げてもらえる機会が少なかったので勉強になりました」と、学びがあったそう。
そこで“35歳何もない”の部分をあらためて早口で丁寧に説明をはじめることとなり「主語が足りなかった。35歳になって(佐野と)一緒に誕生日を迎えて、きっと互いの未来が明るくて、すごく感じることも多くて、これからさまざまなことを頑張っていけるな。きょうから1年どう過ごそうかなっていうふうないろいろな想いが積み重なって、積み重なってきょう1日を迎えるっていう事を……いや言うても、そういうことも何度も何度も経験して、いい年をあれば悪い年もあって、35歳になったら迎えたって実感よりも、その1日1日を何にして36歳ってなんだろう、40歳ってなんだろう……どうやって夢と向き合っていったらいんだろう…ってことが大事だと思うよ今日1日。何か同じでいるっていうのは……結果『何もないですね』っていう説明で気をつけようと思いました」と、流れるような口調で言い切り、これに佐野は楽しげに聴き入っており、増田は「見出しにすると文字数が足りないですよね」と、一旦締める。
続けて、SNSでの感想を紹介するコーナーもあり、劇中ジンコウのシーンで“母”に関して涙を誘うシーンがあるそうで、このシーンのエピソードを問われた増田は、再び早口で丁寧に説明をはじめ「親子の絆の1つのゴールに向かう子供と親。子どもといえど3日会わずばという形で変化していく。そんな2人が出会ったときに劇中のような結末を迎える。そこまでの過程というのを自分が担っていたなって強く感じているんです。それに関して、僕は自分の母親を幸運なことに愛することができているので、素直にこの作品の台本・映像を見た時にこの着地点というところは、自分の中で何か考えて演出みたいなものを持ってくるみたいなことが全く必要なくて、素直にそのシーンに向かって頭から録り始めることで、あの帰結に迎えたということをすごく感じましたね。なので、あのシーンも何度も何度もリテイクを繰り返すわけでもなく、1回本番をやってそのまんまOKをもらったような気持ちであります」と、裏話を交えて話していた。
その後も言葉を重ねて丁寧に説明をする姿も見せる増田。「自分がこういった関係のある方々を大切にしないといけないな、大切にできていたかなとかいろいろなものを考え直すような作品」と話していたが佐野が、「それがタイトルになると、“増田さん身近な人を大切にできていなかった”となってしまうかも」と言い出す。すると、増田は「それは正しいかもしれません」と、佐野の流れに乗っかりだし場内を爆笑させつつ「身近な人を大切にしていなかったからこそ、大切にする描写を見るとグッと来てしまう」という“行間”をきっちり説明しきり、観客たちを唸らせていた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ