劇場アニメーション『曇天に笑う<外伝> ~宿命、双頭の風魔~』(監督:若野哲也/配給:松竹メディア事業部)初日舞台あいさつが9日、東京・丸の内ピカデリーで開かれ金城白子(壱助)役の櫻井孝宏、壱雨役の遊佐浩二、永四郎役の津田健次郎、六花役の井上喜久子が登壇した。
漫画家・唐々煙氏の同名人気コミックが原作。明治の動乱期が舞台で、宿命の戦いに臨む若者たちの葛藤や絆を描いた『曇天に笑う』の劇場作品を全3部で送る。本作はその中編にあたり、金城白子の知られざる過去を、オリジナル要素を交えて描く。
上映後、悲哀を含んだその物語に観客達もしんみりした雰囲気のなかイベントはスタート。その空気を感じ取った櫻井も、「なんかこうしんみりしているなって。上映後で酷だとは思いますが」といえば、井上も「作品が悲しい世界のなかでこれをやるのは心苦しいのですが……」と前置きして恐縮気味に、おなじみの“17歳”のあいさつをして「おいおい!」との声が返り笑いを誘った。
そんな悲しみもあるものだけに、櫻井は「TVシリーズのときには劇場版で1本の作品で描かれるとはと思って、お話を頂いたときはびっくりしました。台本を読んで、これは背負うものがあるなって、収録の現場も粛々と、淡々という感じの中で撮影したんですが、これを観て頂くんだと。彼らの人生を観て頂くいい機会だなと思って。これだけの方にご来場頂けたのが嬉しいです」と、観客達にお礼を。
オリジナルキャラクターを演じた津田と井上は、2人とも歴史があり人気作だけに「作品の中に自分が入っていけるのか」という思いを抱えながらだったそう。井上はそれだけに、「悲しいことがいっぱあるなかでも、忍びの一族の一員でありながら、なにが表現できるかなって」と、少しでも明るくなるように考えたり、津田も「こんなに包容力あるお父さんを演じられて嬉しかった」と、振り返った。
そういった悲しみのなかに明るいものが入ったというのは演技だけにとどまらず、櫻井は「遊佐さんがいると、どうしても収録の現場沈みそうになるときに、ふわっと温かくなりながらで。手を合わせながらで」と、ムードメーカーとしての遊佐へ感謝。しかし、手を合わせた櫻井は続けて「成仏してくれ(笑)」と冗談も飛ばし、遊佐は「おいちょっと!(笑)」と、場内を爆笑させていた。
掟が本作の中で要素のなかにあることから自分で決めているルールはないかと質問もあるが、ここからはゆる~い空気に。井上は自身が“布教”している“17歳教”の説明をはじめ「17歳教という忍びの組織の長をやっているんです……」というと遊佐が思わず「しのんでないですよ。前に出てる(笑)」とツッコミ!
それをものともせず井上は「出身地を聞かれたらお花畑からやってきましたと答えるようにしているんです。なかなか聞かれないし、ウィキペディアには神奈川県と書かれてますけど」と話したり、“17歳教”に入る基準としては「ドモホルンリンクルが気になりだしたらというのがあるんです」「男性はダメなんです」と、基準も。
続く津田は「あんまんを食べるときには肉まんも買います。肉まんのときは肉まんだけで大丈夫」と、甘味に塩昆布がつくようなことを話したり、遊佐は、「周りからしっかりしているといわれるんですけど、潔癖症なところがあって……落ちたものは3秒以内に食べる(笑)」と、素早いジェスチャーで表現。
そんな楽しいルールばかりが連発したため、櫻井は「変な汗が出てきた」と緊張して大汗を額に浮かべながら「お風呂は行った後にはトイレに行かない。どんだけそうなっても必死で寝るんです」と、思い浮かんだものを話したり、遊佐が櫻井に耳打ちして「きょうからちゃんと髪を洗ったら乾かして寝るのです」と、言わせたりとファンを楽しませていた。
最後に櫻井は「この作品は、とても重い悲しい切ないお話です。でも、その先が少し明るいものが観られます。そのまま自分に置き換えたり、共感できるというのは難しいと思うんですけど、自分にとって誰が大切なのかとか、気づくきっかけになるのではないかと思います。白子が曇三兄弟と一緒にいるときにまるでお母さんだなと思ったのは、お母さんの愛情に飢えていた裏返しなのかなと思ったりするんです。なにか1つ気づいたものに向き合って、自分のことを知ってもらういい機会になる作品だと思っています」と、感じるままを伝えていた。
劇場アニメーション『曇天に笑う<外伝> ~宿命、双頭の風魔~』は9日より公開中!