アニメーション『劇場版美少女戦士セーラームーンR』応援上映&スペシャルゲストトークイベントが1日、東京・丸の内TOEIで開かれ声優・三石琴乃、幾原邦彦監督が登壇し、司会は喜屋武ちあきが務めた。
いまなお世界中で愛され続けている90年代に放送されたTVアニメ『美少女戦士セーラームーン』。TVアニメ化25周年を記念し毎年恒例の月野うさぎのバースデーイベントとして同シリーズ初の応援上映を開催するものとなる。第2夜となる本イベントでも、第1夜うに続いて1993年12月に公開された『劇場版美少女戦士セーラームーンR』をたっぷり堪能するということで、三石と幾原監督によるトークショーとなった。
セーラー戦士たちの変身シーンのBGMが場内に響くなか影ナレーションで、三石によるセーラームーンの名乗りがあり、観客たちが感激の声をあげるなかイベントがスタート!
三石と幾原監督は久々の再会だそうで、よもやま話に花を咲かせつつ、本作アフレコ当時のお互いの印象へ、幾原監督は「当時はいまほど声優さんは顔を出していなかった。その中で三石琴乃は綺麗な人だった。それで覚えてたね」というと、三石も「普通のファッションの人が多いんだけど、幾原監督は小洒落てた。でも作品がどんどん過酷になってくると横から見ると青く薄い感じで」と、幾原監督の苦労がしのばれるコメントが飛び出すことも。
すると幾原監督は、作っている当時「最初の1年目が本当に忙しくて、週のうち寝れるのは半分くらいだった。月に1回のローテでやってるから、相当やってて。93年ごろから自分の記憶が、下がったり上がったりが多くて、忙しさのピークのときで、記憶が飛んでるんです」と、多忙を極めていたそうだ。
そんな状況の中で作られた本作だが、作品のテーマへ幾原監督は「愛だと思うんです」と、明かし「(敵キャラクターの)フィオレは愛が何か分からないんです。かつては地場衛に愛をもらって、彼はいま別の人を愛していることを知って動揺するんです。物語を通して愛を知る。月野うさぎというキャラクターがセーラー戦士にどういう求められ方をしているか、それを描くことで愛というものを見せる」と、物語の流れを解説。
そこで、三石が思わず「ターゲットはちびっこ向けですよね?」と尋ねると、幾原監督は「真面目な話子供に向けているんです。“子供向け”という映画って子供に分かるんです。僕は無防備に子供向きの映画を観に行ってすごいっていう、小学生が観に行ったときに、ビックリしてもらおうと思って。子供時期に観た映画って、情熱とかが伝わってくるんです。その情熱を子供にぶつけたいところがあるんです」と、とにかく熱量をぶつけたそうだ。
さらに、幾原監督は当時セーラームーンが映画化されるということに、東映の上層部に理解されず企画が二転三転したことや、「自分のなかでは、これはどうかなと思って絶対怒られると思ったら、試写が終わった後、ものすごいおじさんの偉い人たちが『すごい!』と、立ち上がって言ってくれて」と、“大人たち”を動かした瞬間のことを回想し、「やりきれたのはスタッフがこれをやるんだと頑張ってくれたから。画面を見るとスタッフの熱が分かると思う」と、しみじみだった。
一方、三石ら声優陣はアフレコへ、「そのシーン、そのシーンを盛り上げるということだけでしたね。カット、カットで一生懸命でした」といい、この日、持参した当時の台本を目を細めながらめくることも。劇中ではうさぎが息を止め15秒以上無音声になるシーンもあるが、これについて幾原監督は「TVにできない、映画じゃないとできないことをしようと思って。そういうエゴです」と、遊び心もあったのだとか。
さらに、24年前の本劇場で「舞台あいさつイベントをやったんです。セーラー戦士5人で歌唱して振り付けして。東映ビデオにいた子が衣装を作ってくれて、ブーツも自分たちで買ったものを使って」と、感慨深げ。幾原監督は「当時は声優が初日に壇上に上がるという文化はなくて、結構偉いおじさんたちにはなぜかと言われて(苦笑)」と、後押しして壇上に上げるのにも苦労があったことを話しつつ、三石も「声優って地位が確立されていなかったんですよ」と、振り返っていた。
また、イベントラストでは、幾原監督から三石へ、本作のラストシーンのセーラームーンとタキシード仮面のキスしている原画をプレゼント!これには、三石も「まずい……」と目頭を押さえつつ「大事にします!」と、大感激。そして三石は「いままで私が観てきた映画の中で一番好きな作品なんです。応援してくれないと月に代わってお仕置きよ!」と、おなじみのメッセージでイベントを終えた。
なお、イベントでは、劇場版5作品を収録したBlu-ray BOX『美少女戦士セーラームーン THE MOVIE Blu-ray 1993-1995』が2018年2月に発売予定であることも発表となった。