俳優・香取慎吾(42)が23日、都内で主演映画『凪待ち』(監督:白石和彌/配給:キノフィルムズ)完成報告会見を女優・恒松祐里(20)、リリー・フランキー(55)、吉澤健(72)、白石監督(44)、赤城聡プロデューサー(54)とともに開いた。
毎日を無為に過ごしていた主人公・郁男(香取)。恋人・亜弓(西田尚美)とその娘・美波(恒松)とともに亜弓の故郷・石巻で再出発をはじめ、ささやかな幸せを掴んだかのように見えた。しかし、ある日、亜弓が何者かに殺されてしまうという悲劇が起こり、郁男自身も職場も解雇されどんどんと堕ちていく……という、心の救済をテーマに描いた作品となる。
香取は「完成しまして、6月に公開されることになりました。1人でも多くの方に観て欲しい映画です」と、第1声から気持ちが前に出るほど仕上がりの良さを伺わせ、リリーも「この劇中の慎吾ちゃんは色っぽくて、ちょっと、一緒にやっていて、ドキドキするような映画です。完成した時にこんなにいい映画になったんだと感じましたので、ぜひ観てくださいと言いたいです」と、胸を張る。白石監督も「誰も見たことない香取慎吾さんが居ると思います」と、自信を見せた。
作品の撮影中、香取は「つらかったですね。人の優しさがこんなに痛いものなんだなと思いました。自分以外の役の人間から優しい言葉をかけられればかけられるほど、ふがいなさを感じて。役柄としてはズタズタでした」と、郁男の気持ちを常に感じながら演じたという。
逆に、香取個人としては、「僕としてつらいということは1つもないくらい。撮影現場をそんなに楽しいと思うほうじゃないですけど、すごく楽しかったです。映画は監督のものだと思っているんですけど、白石監督を見ていて、全キャストがついていこうというのが感じられて。白石監督の作品はすごく好きだったので、香取慎吾として突拍子もない事、すごく好きな部分をやっとできたという部分が強いかもしれませんね」と、胸が躍るものだったといい、「僕が今までやらせて頂いた役は今一緒にいない相手を思って走り出したり、すごく正義をぶつけちゃう。郁男は必ず誰かの後ろに隠れるというのが、嬉しかったです」と、これまで演じた役とは正反対の姿に興奮があったようだ。
そんな香取の共演者からの信頼は厚く、「私の中で香取さんはスターで、お兄ちゃん的な方で現場でいやすかったなって」といえば、香取は「いいですよ~!もっと言ってください」と、ニッコリ。吉澤は「香取さんの芝居はとてもナチュラルでいいなぁと思いました」と、しみじみ
一方、リリーはといえば、香取が出演する現在放送中のラジオ番組『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)の前身番組『SMAP POWER SPLASH』の構成作家を務めており深い縁がある。そのことに触れたリリーへ香取が「いまも番組続いてますよ!」と話したりと和気あいあいななか、リリーは「裏方でお会いした映画で、ご一緒するのが照れくさいというか。『構成のリリーさんですよね』という目があるんです(苦笑)。その構成をしているときから、草なぎ(剛)くんとドラマをしたりしてて、すごいなこの人達と思っていて。20年くらい経って、こうやってお芝居をさせてもらったときに、香取慎吾という人のすごさを目の当たりにしたというか。本当にビックリして、毎日この人色っぽいなとか思っていました」と、歴史を感じさせるコメントを寄せた。
撮影中には、香取が自暴自棄になり暴れるアクションシーンがあるそうだが、「アクションも殴る蹴る、殴られる蹴るというのがあって、本当に殴っちゃったらしょうがないと思ってました。そのときの僕が、自分にできる1番をするしかないと思っているので。アクションで受けたダメージで血だらけでした。それも仕方がないんで、全然大丈夫です」と、自分の血を流しながら撮影していたと告白。けがしていたことは寝耳に水だったのか白石監督が大慌てで「けがしないことが俳優なので」というと、香取は落ち着いた様子で「大丈夫ですよ。アクションなので」と、クールに俳優魂を見せた。
そして香取から、「ずっとこの映画の公開を待っていました。本当に再生しなければいけなくなった男の映画だと思っています。いつでも、誰でも、前向きになれるということはないと思うんですけど、生きている限り前を向かないといけないと思うんです。そんな男の姿を観て自分も前に進もうと思ってくれればいいなと思います」と、味のあるメッセージを寄せ、記者たちに会釈しながらその場を後にしていた。
映画『凪(なぎ)待ち』は6月公開予定!