ソニーは、自社製品のロボット・プログラミング学習キット『KOOV(R)』を使った「ファッション×プログラミングコンテスト」を6日、渋谷モディ1階の「ソニースクエア渋谷プロジェクト」で、開催した。
本企画では、未来のファッションデザイナーがプログラミングという新たな表現方法を学習し、ファッションの新しい手法として取り入れ、世界で活躍するデザイナーに自身の作品を評価してもらうことで、若手デザイナーが自己成長するきっかけを創ることを目的としている。
イベントは、5チームのバンタンデザイン研究所の専門学校生たちは「KOOV(R)」の使い方を学び、約2か月間の制作期間を経て、当日完成したアイテムをファッションショー形式で、ゲスト審査員にむけてプレゼンした。
ゲスト審査員には、ファッションブランド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」のデザイナーである森永邦彦さん、『KOOV(R)』の開発・発売元であるソニー・グローバルエデュケーションで開発に携わった代表取締役社長 礒津政明、『KOOV(R)』のクリエイティブディレクターとしてプロダクトデザインに携わったソニー クリエイティブセンター シニアアートディレクター 奥村光男の3人が、ファッションとテクノロジー両観点から審査を行った。
【ファッション性と機能性を兼ね備えたオリジナリティあふれる作品が登場】
温暖化が進んだ近未来の子供のために、仮想汚染物を検知し、発光して警告するシューズや、子供の交通安全を守るために交通標識をイメージし、上に向けると青に光るステッキを搭載した衣装など、様々な作品を発表。
個性あふれる作品たちは、インタラクティブなデザインに加え、それぞれが掲げた課題を解決する機能を搭載。そして、各チームが定めた子供や若者といった、ターゲットが楽しめるファッション性に実用性をかけあわせ、新たなファッションの可能性を生み出した作品が揃った。それぞれのチームの作品は以下の通り。
チーム:亮8亮
作品名: Randoseru.O
テーマ/コンセプト: 「Stop!地球温暖化 let’s go outside」
近未来、コンビューターの発達による人類の進化。明るい未来の裏側には、地球温暖化の悪化、空気汚染の悪化により人間が地下で暮らす生活になる。義務教育は大幅に改正され、自宅学習が主流になり、タブレットで一つの生活になる。それは一見便利で効率的に思えるが、自然と触れ合えなくなり、子供の歓声や好奇心をなくしてしまう恐ろしい世界なのです。そうなる未来を回避するために素敵なアイテムを紹介する。
機能: ボタン操作で自動開閉するタブレット収納ランドセル。水を灌ぐと生花がLEDで発行。命が吹き込まれ、酸素を作る様を表現。仮想汚染物を検知し、発行することで警告するシューズなど、未来の子供が安全に外出するための機能が備わったファッションアイテムを複数提案。
チーム: 松丸
テーマ/コンセプト: 「『KOOV(R)』を着るタウンスタイル」
新しいワークスタイルを想定した実用的なプログラミングで、より機能的なベストを制作。渋谷、原宿、下北沢など、新鋭的ファッションの多い若者層向けのタウンを想定。
機能: 自動で口元まで昇降するドリンクホルダー、傾き操作が可能なスマホホルダー、必要な時に浮上する小テーブルなどの機能を備えたベストで、ハンズフリーの生活を提案。また、『KOOV(R)』のカラフルなブロックをスカート状に施した装飾も用意。女性であればスカート、男性であればゆったり目のパンツの上からなど、ボトムズを彩るアイテムとして活用。
チーム: merror
テーマ/コンセプト: 「ファッションをプログラミングする」というシンプルなコンセプトのもと、近未来的な雰囲気の衣装の各所に、『KOOV(R)』によるギミックを搭載した衣装を制作。
機能: 向ける方向によってベストの胸元にある異なるLEDがそれぞれ発光するステッキや、自動開閉可能な収納ケース。また、パンツは、ベルトを使ってパーツを組み替えられるようになっている。
チーム: sereko
テーマ/コンセプト: 「そうぞう2(創造と想像)」
「おもちゃ箱がひっくり返って洋服と一緒になった」という世界観を再現し、ブロックやプログラミングを女の子も楽しく遊べるきっかけにする衣装。
機能: 変身ヒーローにあこがれていた幼いころの夢を女の子らしく実現。変身グローブを着用し、変身ベルトの前で動かすと、ベルトのランプが緑、黄色、赤の順に光る。また、『KOOV(R)』の包装箱が気に入ったので、帽子として活用」したとか。
チーム:kogami
作品名: koov umbrella
テーマ/コンセプト: 「雨の日の憂鬱な気分を晴らす事のできる空間作り」
雨が傘に当たる振動を検知すると、傘に搭載されたLEDパーツが発光するほか、ブザーパーツが音楽を奏で、傘の中を自分だけのための空間にするプログラミングを提案。「傘の中をライブハウスのような空間にする」ことをイメージ。視覚的には傘に雨が当たるとLEDが光り、聴覚的には雨の強弱によって音楽が変わるなど、雨そのものを楽しめる。今回はもともとプログラミングされている音楽を使用したが、「将来的には、別の音楽デバイスと連動して、自分の感情とリンクした音楽を聴くこともできるようにしたい」。
【優勝作品は雨に反応して光り音が鳴る「憂鬱な雨の気分を盛り上げる傘」】
優勝作品は、傘に『KOOV(R)』を取り付けている作品で、コンセプトは雨の日の憂鬱な気分を晴らすことのできる空間づくりです。搭載されたLEDパーツが一定のリズムで発光し、雨が傘に当たって振動を検知すると、ブザーパーツが音を奏でることもできます。これにより、傘の中を自分だけのための特別な空間にすることが可能です。
奥村は、「傘の中というパーソナルな空間に、ライブハウスのような空間を設けられるというアイディアがすごい。」と話し、森永さんは「傘本来の機能に加えて、新しい別の機能を付与できたことがすばらしい。傘の中で自分だけの空間を楽しめるというのが面白い。」と評価しました。
また学生たちは、「今後は、ファッションに自分自身の感情を遷移させて、外に表現できるようなこともできると面白い。」と語り、未来を見据えたアイディアに審査員たちは魅せられました。そして、学生は「どうやって作るか悩んだが、とても嬉しいです。普段は一人で作ることが多いので、共同制作できたことも楽しかったです。」と喜びを表現しました。
最後に、礒津は「どのチームも甲乙つけがたかったですね。プログラミングとは世の中のものを創り出し、言語化できるものですが、今回はファッションと掛け合わせたことで言語化できない部分の表現をすることができました。今後の商品開発への学びがありました。」、奥村は「どのチームもインパクトがあって、すばらしかったです。 KOOV(R) は、主に子供向けのロボット・プログラミング学習キットですが、今回ファッションの専門学生がこんなにも KOOV(R) を使って遊んでくれたことで、 KOOV(R) のこれからの可能性をますます感じました 。 」と ファッションを 掛け合わせたことで 感じた可能性を語りました。
森永さんは「ファッションとテクノロジーを掛け合わせることで、新しい機能が生まれ、デザインが生まれ、ライフスタイルが生まれます。そして、今の日本でしか創れないものがきっとあるはずです。未来のクリエイターたちには、ファッション だけではできない、何かを 融合 させることで可能にする 新しい ファッション領域 を 目指してほしいです」と、 締めくくった。
【ファッションデザイナー森永さんが語る次世代のクリエイターへの期待】
「今回は、普通のファッションショーとは違って、KOOV(R)と掛け合わせたことで機能性を持たせたファッションを実現できたので、ファッションだけでは成しえない社会課題への解決手法を盛り込んだアイテムが揃ったショーとなり、興味深かったです。私自身は、ファッションにテクノロジーを掛け合わせることで、体験や感情をより拡張させることができると考えています。
しかし、なかなかテクノロジーを身近に取り入れることが難しいところ、KOOV(R)は非常に簡単にわかりやすく取りこめる商品でした。それに、ソニースクエア渋谷プロジェクトでは、KOOV(R)やテクノロジーにも触れる場を提供していて、そのように身近に体験できる場所があるということが、次世代のクリエイター支援につながっていると感じました。次世代のクリエイターたちには、どんどん新しい可能性にチャレンジして、表現を広げ、自分ならではのファッションを創っていってほしいです」
<KOOVについて>
KOOVとは、ブロックで自由な「かたち」をつくり、「プログラミング」によってさまざまな「動き」を与えて遊ぶ、ソニーのロボット・プログラミング学習キット。少ない種類で多くのアイディアをかたちにできる美しいブロックを立体的に組み合わせることで多彩な表現を実現。
また動きを加えるモーターや光を発するLED、音を鳴らすブザーに加えて光やモノを検知するセンサーなど、各種電子パーツを組み合わせることで自分だけのプログラムを構築することが可能。