「いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』 」が15日、東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕した。
戦国時代が舞台。政略結婚を解消して大名家を飛び出した紗々姫(清野菜名)を、人生も後半に差し掛かった浪人軍配士・真中十兵衛(古田新太)と若き紗々姫の家臣・雨森源七(須賀健太)が守りながら城まで送り届けるという王道時代劇。もちろん『劇団☆新感線』らしい歌あり、笑いありのテイストで楽しませるエンターテインメントだ。
演出のいのうえひでのり氏から脚本家・倉持裕氏に黒澤明の映画『隠し砦の三悪人』と太宰治の名作『走れメロス』の要素を取り入れて欲しいとリクエスト。その意を見事に汲み、さまざまなシチュエーション、キャラクター設定の端々にクロサワ映画へのオマージュを散りばめながら、コミカルにスピーディーに、そしてあっと驚く意外な展開へと転がっていく、捻りの効いた脚本に仕上がった。その完成度の高さから、いのうえ氏をはじめ出演者全員を唸らせ、「脚本がこんなに面白いのに、お客さまを楽しませることができなかったらヤバイ!」と、一層気合が入ったという。
初日を迎えるにあたって古田は、「新感線にしては短い芝居になって、良かったと思います」といえば、高田聖子も「近年稀に見る、上演時間の短さ。テンポが良いのかも……(おそらく3時間弱)」とうなずく。
見どころとしては、古田が「少ない人数で大軍をやっつける為に、いろんな作戦を考えます。そこをお楽しみに。あと、太一が格好良いです」というと、池田成志は、「やられっぱなしの、喋りっぱなし、なので、手ごたえは………ありません(笑)かなりやられておりまーす」とお茶目なコメントも。清野は「1幕終わりのシーンが本当に楽しくて好きです」とのこと。
けいこ中へ、早乙女太一は、「みなさんとお芝居させてもらい、あっという間に稽古期間が終わりました。観に来ていただく方にも、あっという間に感じる程に楽しんでいただける作品だと思います」と、手応えを語ったり須賀は、「けいこの合間には成志さん、太一さん、菜名ちゃんと絵しりとりをして、それぞれの壊滅的な絵心を罵り合いながらも、けいこ終盤には“補習”という名の居残りを、菜名ちゃんと共にいのうえさんにみっちりやっていただきました……」と、相当に頑張った様子も伺わせていた。これに粟根も、「成志さん、太一くん、菜名さん、健太くんの4人が、けいこ中の空き時間に『絵しりとり』をやっていたのですが、画力に問題を感じた4人が急にデッサンの練習を始めていました。そこまでしなくても」と、生暖かい視線を送る一幕もあったようだった。
いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』東京公演は15日から8月24日までTBS赤坂ACTシアターにて、福岡公演は9月6日から同23日まで博多座にて、大阪公演は10月8日から同21日までフェスティバルホールにいて上演!
※記事内写真は(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線【撮影:田中亜紀】
■出演キャスト
真中十兵衛(まなかじゅうべえ)役/古田新太
飛沢莉左衛門(とびさわりざえもん)役/早乙女太一
紗々姫(ささひめ)役/清野菜名
雨森源七(あまもりげんしち)役/須賀健太
嵐蔵院(らんぞういん)役/高田聖子
残照(ざんしょう)役/粟根まこと
美山輝親(みやまてるちか)役/池田成志