女優・宮沢りえ(46)が23日、東京・新宿ピカデリーで映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』(監督:蜷川実花/配給:松竹 アスミック・エース)大ヒット御礼舞台あいさつを蜷川監督(46)とともに開いた。
作家・太宰治のスキャンダラスな人生の実話を元にした作品。小栗旬演じる太宰治と、正妻の美知子(宮沢)、愛人・静子(沢尻エリカ)、最後の女・富栄(二階堂ふみ)と演技派が勢ぞろいしており、圧巻の演技力で魅せる。ほかにも、成田凌、千葉雄大、瀬戸康史、高良健吾、藤原竜也と豪華布陣となっていることも見逃せない。
宮沢から蜷川監督に直訴し、実現したという本舞台あいさつ。作品の初日舞台あいさつこそ、自身が出演する舞台の初日だったため参加できなかったが、反響として、「美知子を『ロックな女性』と言ってくださる方も居て、評判が良くてよかったです。台本上から本当にハードルが高いなというシーンが多くて、これはどう成立させたらいいのだと。蜷川監督は『じゃーやってみよー』という感じで、高いハードルを軽々と超えようとして、私達の背中を押してくれていました」と、しみじみ。
そんな思い入れのある作品へ宮沢は「太宰の妻として、撮影期間はあまりありませんでしたが、とても過酷で濃密な時間を過ごしました。小栗旬さん演じる太宰はもちろん、子役の子たちが本当に素晴らしい演技で奇跡の連続が毎日続いて、それが画面の中に収まったという私は感じました。この作品に携われれて光栄に思っています」と、万感といった様子。
美知子という人物へ、「私は常々、表現者、クリエイティブな仕事をしている方たちってどこか太宰に近いと感じているんです。もろさとか切なさ、力があって、人間としてはなかなか成立してないけど、表現者としては最高だという人が多いじゃないですか。彼を支える妻は自分たちを壊してでも作品を作ってほしいと伝えていて、理解者であり、応援者でありファンだったと思うんです。彼女自身はつらかっただろうけど、彼女は長生きしていて、作品を愛していられた時間が長かったのは幸せだったんじゃないかなって思うんです。人間同士の強いつながりがあったと思うんです」と、気持ちを慮る。
それでも、自身と美知子を比べた場合、「自分は、表現者としては家庭もちゃんと守って、仕事では攻めまくるというのが理想だなって思っています。ただ、なかなか難しいですよね」という宮沢。さらに、「もちろん母として、妻として生きるところ、母として行きていくというところ、両方の面があったと思うんです。太宰の作品を愛して、『壊していい』と言った彼女は好きですね。やっぱり表現者としての彼を優先するという、その心の受け止め方は本当に大きいなと。共感というより憧れですね」と、美知子への思いを披露していた。
そんな宮沢のキャスティングについては、蜷川監督は「この役は、どうしてもぜひりえちゃんにやってほしいと思っていました」と、なみなみならぬ思いがあったそう。2人が出会ったのは蜷川監督の父親で演出家の蜷川幸雄氏の舞台のけいこ中だったそうだが、「いつか一緒にやりたいねとお伝えしていて。中途半端な役は触れないので、温めてきた何か一緒にやるときは絶対に成功させないといけないという作品で」と、ついに宮沢に声をかけるときがきた役だったと熱弁した。
また、宮沢は小栗についても言及。「体重のことは役者は当たり前ですが、1番最初に台本読みをしたときにお会いした小栗さんと、現場でお会いした小栗さんは(体型が)違っていて、その場に居いるだけでその場を生きているというのを感じました」と、そのプロフェッショナルぶりに脱帽といった感じだったが、「個人的には私が『壊しなさい』とセリフを言った後の太宰さんの顔が1番良かったと思います(笑)。太宰を演じている小栗さんの顔は今まで見たことないなと思いました。自分が褒められるより自分の演じている相手役の表情が良かったのが嬉しい」と、小栗の演技を引き出せたことに手応えとともに喜びを感じたよう。蜷川監督も、「あれはりえちゃんが超えさせた顔だったと思います。あそこはお芝居ではなかった、太宰になりきってた」と、満足いくものだったようだった。
そして宮沢から「みなさんの記憶に刻まれるような作品になったと思います。観た方は宣伝して頂ければ」と、アピールしていた。
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