俳優・役所広司、声優・沢城みゆき、宮野真守が16日、東京・TOHOシネマズ日比谷で日中合作映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』(監督・脚本:ユー・フェイ/配給:アスミック・エース)公開記念舞台あいさつに登場した。
世界最高峰・エベレストが舞台。ヒマラヤ救助隊『チーム・ウィングス』がさまざまな事情と陰謀に巻き込まれ、エベレスト南部の通称デスゾーンと呼ばれる場所に決死の登頂を試みるというるスペクタクル・エンタテインメント。役所は『チーム・ウィングス』の隊長で主人公・ジアン役で主演し、沢城はエベレストで遭難した恋人を探し出すという目的を持ったシャオタイズ役を演じたチャン・ジンチューの声を、宮野はヘリパイロットのハン役を演じたリン・ボーホンの声を吹き替えた。
役所は撮影を振り返り「監督が粘り強くて、何がダメなのかと思うくらい何度もアクションをやる。ガタイのいい俳優さんもヒイヒイ言うくらい。僕もヒイヒイ。アクションのある映画は大変だなぁと思いました」と、ハードだったと回想。
キャリア初のワイヤーアクションにも挑戦したが「吊るされているだけなので楽かなと思いきや、体幹も必要。体中がロープに絡まっていたので、アザだらけになりました」と、こちらも苦労があったという。しかも、共演者のチャン・ジンチューは30時間近くワイヤーで吊るされた状態だったそうで「近くのホテルで出番を待っていたら、深夜12時になってもお呼びがかからず。スタッフが現場に確認に行ったら『チャン・ジンチューさんがまだ吊るされていましたよ』と……」と、相当に困難だった様子を伺わせていた。
一方、宮野は「そんなエピソードの後に僕らが話すものはありません!僕たちの苦労なんて比べ物にならないですよ……」と、大恐縮。それでも吹き替え時の苦労を聞かれた沢城は「1フレームごとにアクションが変わるし、その中にあるキャラクターの感情や情報を拾い上げていくという果てしない作業がありました。セリフよりも呼吸や吐息がモノをいうアクション作品なので、そのアクションをいかに言語化していくか。吐く息も白いのでそれに自分の呼吸を合わせるのも大変。もしかしたら今年1番大変な仕事だったかもしれない」と、しみじみ。
宮野も「短い収録時間の中でドラマチックな展開を一気に録っていく作業。今回はアクションとサスペンス要素もあり、感情の動きも激しくて、グッと力が入る部分がありました」と、こちらも力が入ったという。
役所も吹き替えに挑んだが「確かに疲労感はありますね。呼吸も映像だと編集がなされてるので、正常な呼吸のスピードではない。それが結構大変でした」と、苦労したといい、それもあって声優としての労力を知った役所から、声優としての役作りや事前の準備などを感心された沢城と宮野は「声優をやっていたよかったぁ~!」と大喜びだった。
本作の撮影はカナダの雪山とオープンセットの双方で行われ、CG技術も投入。しかし、迫真さに沢城は騙されたようで、役所から「沢城さんは本当にいいお客さんです!CG部分もすべてホンモノだと騙されてくれました」と、イジることも。
また、役所は、本作を通して刺激を受けたことを尋ねられると「4ヶ月くらいの期間をかけての撮影で、時間を掛けて作るのは大変なことだと思う一方、腰を据えて役と向き合うのはとても贅沢な経験でした」と、日本とは異なった製作スタイルを楽しんだようだ。するとMCが「アクション映画は任せろ!という感じ?」と振ったが、「アクション映画はもういいかな……という感じ。怪我したくありませんから!」と、“遠慮”といった様子も伺わせていた。
最後に役所は「さまざまな国と地域のスタッフが力を合わせて作った映画です。日本語吹き替えバージョンではない字幕版もありますので、それも観て頂き、また吹き替え版も観ていただけると嬉しいです。応援してください」と、呼びかけた。
映画『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁』は公開中!