俳優・市村正親(70)が27日、東京・八重洲ブックセンターでエッセイ集『役者ほど素敵な商売はない』(新潮社)発売を記念したトーク&サイン会を開催した。
100作品の舞台出演突破するなどずっと精力的に活動している市村。劇団四季引退の真相や、本田美奈子さんの絆など、演劇人生に出会った役者たちとのエピソードなど、今だから話せる逸話がたくさんに盛り込んだ演劇人生を描く1冊。
会見場に姿を見せるなり、魔法を使うような仕草をすると、懐からスススと書籍を取り出してみせたり、「又吉です」「あんまり変なことをやると怒られちゃうよ」と言いつつ、「これだよ!」とカメラ目線で本を指さすなどお茶目さ全開で、報道陣を魅了しながら会見のスタートを切ることに。
まずは、書籍の表紙を自分から切り出す。表紙は日生劇場で撮影したものといい「僕の青春時代が詰まっているから」と、思いれをしみじみ。本書を上梓しようと思ったのは「古希を迎えてそろそろね、いろんないままで言いたかったのに言えなかったことを洗いざらい全部話そうかなって。暴露本ですよ(笑)」と、ユーモアたっぷり。
それでもさらなる目的があったといい、「若手の俳優からすると、市村は幸せそうだなと思われるかもしれませんけど、『裏ではこんなこともあったんだ、俺も市村さんのようにポジティブに生きていれば』と、希望を与えたいがためと思って」と、自身の経験を後進に伝えることを意識したという。その後進へという思いに至ったのも歌舞伎俳優・坂東玉三郎が舞台裏でスタッフ1人1人に目を配り指示をしていた姿を見たことがきっかけで、自分も……と思ったそうだ。
妻で女優・篠原涼子は本書を読んだのかへは「まだ読んでないですけど、読まなくったって『いつも聞いている話でしょ!』と言うと思います」と、想像を巡らせる余裕があるほど夫婦仲は良好なよう。そこで夫婦円満の秘訣を問うと「1つです。男が我慢する!逆らっちゃ駄目!!自分の方が引いたほうがいい」と、熱弁していた。
3人の子どもたちとの距離も近いようで、あす28日に誕生日を迎える市村を仕事があるからと一昨日にお祝いしてくれたといい、「サプライズパーティーで、我が家の前に大きなリムジンが止まって、そこに入ったらママがいて、子どもたち3人が執事の格好をしていて『こちらでございます』と。それで、あるホテルのスイートルーム的な大きい部屋でスタッフと一緒にパーティーして、翌日はそのホテルのプールで泳いで、妻は仕事だったけど東京スカイツリーに子どもたちと行って」と、エピソードを。
長男は来年中学生だそうだが、将来へ「何になるかね。役者になりたいと言ってますけど、思春期になったら先は分からないですよ。尊敬されていると思いますけど……親ばかだけどね(笑)」と、進路の話もしていた。
そして今後への抱負として、「まだ素晴らしい作品が残っているし、全うすることが僕のテーマなのでいい舞台をお見せしたいなと思っています」と、前へ前へという気持ちを報道陣に伝えていた。
その後、満員のギャラリーが集まるなかトークショーを開催。引き込むような話術を見せ会場には何度も笑いが起こりつつ、話がいいところまで来ると「あとは書籍を買ってください(笑)」と、うまい宣伝で、観客たちを唸らせる一幕もあった。
エッセイ集『役者ほど素敵な商売はない』は1500円(税別)好評発売中!