アイドルグループ『TOKIO』の松岡昌宏(40)、女優・土井ケイト(28)が12日、東京・新宿の紀伊國屋ホールで舞台『ダニーと紺碧の海』(演出:藤田俊太郎)ゲネプロを開いた。
ピュリツァー賞、トニー賞、アカデミー賞など数々のタイトルを手にしている劇作家・脚本家、ジョン・パトリック・シャンリィが1983年に書いた作品。ニューヨークのブロンクスを舞台に、暴力的だが心根はピュアなダニー(松岡)と、人には言うことができない秘密を抱え苦しむロバータ(土井)が偶然に出会ったことから始まる会話劇となる。
約2時間2人は舞台に立ちっぱなしでひたすら会話を繰り広げる。生々しい心や体の傷をシンプルで力強いセリフと演技でさらけ出していく。派手なアクションこそないが、先の展開が気になるストーリーとともに、熱量の高い2人の演技は圧巻で、松岡の瞳からは涙が流れるシーンもあり、感情を作り上げてきている様子が伺えた。
終演後には、藤田氏も交えて囲み会見が開かれた。松岡は、「けいこを約1ヶ月やってきまして、2人舞台は初めてですから、土井さんと2人でぶっ通しでやっていきます。ゲネプロをやってみて、こういう形で幕が開くんだなと思っています。けいこでしっかり作り上げてきているので、けいこ場で作り上げてきたものを余計なことをせず、本番で出せればと思っています」と、初日へ向け静かな自信を見せる。
もし、現実にロバータがいたら?という質問も飛んだが松岡は「速攻でシカトします(笑)。でも、面白いもので、題材になる女性ってきっと大変な女性なんですけど、記者の方も好きでしょ?」と、同意を求めて笑わせつつ「パトリック・シャンリィもそこに引っかかるものがあって、大変な者同士がくっつくとこういうことになるんだって。そういうパワーがぶつかるっていうのは、台本で感じ、読んで感じ、演じて感じですね。きっと毎日これなら大変でしょうね」と、分析していた。
さらに劇中、求婚のシーンもあるが、松岡は「『結婚してくれないか』と言うことは(プライベートでは)ないですね。結婚してくれないかなんてことは、僕は言わないです。言えるタイプでもないです。でも僕はセリフの上では毎日、ロバータに言います」と、話していた。
ほかにも『TOKIO』メンバーが観劇に来るか尋ねると、松岡は「たぶんメンバーは忙しいのでは。1人はバタバタしてますし、1人は帯やってますし、1人は死んでるか起きているか分からないですし……。誰とは言ってませんが(笑)。来れる人がいたら来るとは思います」と、話していた。
また、この日は演出家・蜷川幸雄さんが亡くなってからちょうど1年となり、土井、藤田氏は蜷川さんの愛弟子で、松岡もかつて演出を受けたという仲。それだけに、松岡は「藤田さんは蜷川イズムを受け継ぎながら作っているので、僕らはそのレールに引っ張ってもらっただけです。1つにこだわらず、けいこでもここをこうした方がおもしろいとなったら変えていったので、僕はすごく楽しくやらせてもらいました」と言い、藤田氏は「蜷川さんのように灰皿や怒号は飛ばしませんでしたが愛情は飛ばしました。役としてその場に建てるようにして」と、蜷川さんの代名詞ともいわれた行動とともにウィットに富んだコメントを寄せていた。
「40歳になって1発目の板に立つ芝居ですけど、自分の経験したことがない扉を開けたいなと思って参加させて頂いています。毎日勉強になっている作品なので、もし良かったら観て頂ければと思います。よろしくお願いします」と松岡からPRしていた、舞台『ダニーと紺碧の海』東京公演は13日から21日まで紀伊國屋ホール、兵庫公演は27、28日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて上演!