俳優・加藤雅也(57)、犬飼貴丈(26)、矢沢ようこ(43)が20日、東京・浅草のロック座で映画『彼女は夢で踊る』(監督:時川英之/配給:アークエンタテインメント)公開直前舞台あいさつを時川監督とともに開いた。
閉館間際の広島の老舗ストリップ劇場が舞台。この舞台で幕を引く有名ストリッパーや、謎めいた若い踊り子、閉館への日々に、社長の木下は忘れていた遠き日の恋を思い出し、劇場の終演に、胸の奥に隠していたダンサーとの秘密を思い出していく……。
加藤は館長を、犬飼は館長の青年時代をそれぞれ演じていることもあってか、2人とも黒のパンツにジャケットを合わせた感じで登場。犬飼へ加藤と同じ役を演じることとなり、「同じ事務所の先輩でもありまして、ご一緒さえて頂いて、お会いする機会はありましたけど、ガッツリお仕事する機会がなかったことと、何十年か経って加藤雅也さんにならないといけなかったので緊張しながらでしたね」と、当時の心境を。
すると、加藤は「犬飼くんの名誉のために言いますけど、バーターで入れたわけではないです」と、ぶっちゃけて笑いを誘い、「ちゃんとした根拠があって、昼ドラを観たときにこんな透明感がある子がいるのかということで、私の若い頃に次純粋さが必要だと。純粋な彼がこんなやつになんでなるんだと疑問があると思うんですけど、そこに苦悩が現れているわけですよ。どうしても彼のいまの芸能界にすくない透明感がほしかったんです」と、起用理由を説明。
さらに時川監督はキャスティングへ「僕も館長さんのキャスティングをいろいろ考えていたんですけど、決まらなくて。そんなときに、加藤さんから、事務所に紹介したい俳優がいるといわれて、はじめは事務所の後輩だから言ってるんだろうなと、なんとなく思っていたんです。それも『仮面ライダービルド』に出演する前だったのですが、キャラクターが登場したように驚きました」と、加藤を補足していた。
そんな話を受けて犬飼は、「お芝居に対する姿勢も勉強になりました」と、しみじみ。しかし、1点気になる部分があるようで、「さっき、加藤さんとお話したときに、『この映画が1番良かったよ』と、言われて……撮影したのは3年前ですけど、成長しているのかなって……」と、ポツリ。これに、加藤は大焦りで、「それ、この映画の演じたキャラクターの性格が1番好きだったって意味で」と、釈明。これに犬飼は「心に引っかかっていたんです」と、ホッと胸をなでおろし、「これからも、純粋さを忘れないように頑張って生きていきたいなと思います」と、晴れ晴れとした表情を浮かべた。
ほかにも、本作を観て加藤は、「キャスティングがこの状況でうまくいったなと思って」と、手応えを感じたという話や、犬飼も、「ストリップというとイメージが湧きづらいというか、少しエッチなイメージもあると思うんですけど、実際に壇上で踊り子さんが踊っている姿は、芸術的に見えて、エロスの先にあるものを映像から感じました。撮影INする前に(役作りのため)ロック座に観に来たんです。そのときに僕は、圧倒された感覚があって、映画からもそれが伝わってきたので、最高に美しい映画だなと思いました。観て頂ければ印象は変わってくると思います」と、自身が体験した興奮もふまえて熱弁を奮った。
そして犬飼から「いま『鬼滅の刃』の映画がはやっていますが、この“エロスの刃”もよろしくお願いします。たくさんの人に観て頂きたいと思います」と、呼びかければ、加藤からは、「この映画を撮るときに、多く聞かれたのが人生に行き詰まって自殺しようかなと思った人が、ストリップを観て人生観がが変わって生きる活力になったと。ストリップというものに、何か力があるのかなと感じています。癒やされるような美しい映画になっていますので、ストリップという言葉に引かないで観て頂ければ」と、メッセージを寄せていた。
映画『彼女は夢で踊る』は23日より全国公開!