アイドルグループ『NEWS』加藤シゲアキ(33)が17日、東京・新宿の新潮社内で小説『オルタネート』(新潮社)が2021年1月20日に選考会が行われる第164回直木賞での候補作品に内定したことを受け、メディア向けに会見を開いた。
加藤は『NEWS』として活動の傍ら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビュー。以降、『閃光スクランブル』、『Burn.-バーン-』、『傘をもたない蟻たちは』、『チュベローズで待ってる(AGE22・AGE32)』を上梓し、今年3月には初エッセイ集『できることならスティードで』を刊行と、アイドルと作家の二足のわらじで活動していることでも知られる。
本作『オルタネート』は加藤が初めて文芸誌に連載した長編小説で3年ぶりの小説。高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が描かれる作品だ。
白いシャツに濃いブルーの上下をあわせ登場した加藤。会場に詰めかけた報道陣の質問に次々と答えていった。
――直木賞の候補となったことを聞いた時は?
加藤:ビックリしましたね。作家にとって憧れの賞ですので。もちろんいつかは候補になっていたいと思っていましたが、本作でなれるとは思っていなかったので本当に“ビックリ!!”っていう感じです。
――自身で分析してみて、どの部分が候補に選ばれたと思った?
加藤:まったく分かりません!本当に分かりません!(苦笑)いままでの作品が、では違ったのかというと、いつも全力でやってきたので、本当にまあ運が良かったというふうに自分では認めるようにしています。
――直木賞は一定のキャリアがあって、人気の作家であるということも?
そうですか!?
――そのへんもつながってきてというところもあるのでは?
加藤:僕も小説書いてる側ですし、読むのも好きですけど、ずっとノミネートされている作家さんもいますし、それでもなかなか、この方が獲られないんだと思うことはいつも思うんです。そういう方々と並んだとは思っていませんが……、ある程度の部分は認めて頂けたのかなと思います。
――いつぐらいから、いつか賞を獲れたらと思うようになった?
加藤:ずっと思っていたのは、賞が欲しいということではなくて、自分はジャニーズ事務所という立場だから、デビュー作『ピンクとグレー』から書かせてもらっていて、普通の作家だと、新人賞を獲ってから作家になるというのが通例なのにもかかわらず、自分はジャニーズ事務所、タレントだからという立場で本を出させてもらっているということもあったので、そうした引け目というか、なんというか文学界にお邪魔している。小説界にお邪魔しているという感覚があったので……ちゃんと作家と名乗っていいのかどうかという迷いがずっとあったので、直木賞候補となっただけでも、本当に多少認めて頂けたんだなと思います。
――ビックリというのは作家風の表現でいうと?
加藤:驚愕(きょうがく)です(笑)。本当に、いまいち信じられなかった部分があるというか、ピンとこなかったんです。それと、僕はコロナにかかっておりまして、外出できない期間ご心配をおかけしました。一応、陰性が出たんです。2度ほど検査を受けたんですけど、1回目の陰性が出たタイミングで一応体調としては万全だったんです。ただ、なかなか仕事の目処が立ただなかったり、かけてしまった迷惑を感じる日々だったので、すごく気落ちしていた部分があって、そこから直木賞候補のお知らせがあったので、なんかこう……なんていうんですかね。高低差ありすぎて、耳がキーンとするというか……本当にキーンとしました、そのときは(苦笑)。なにこれって感じがしました。
――ノミネートされたということは誰にも知らせてない?
加藤:基本的には知らせてないですが、このタイミングでメンバーが知るというのもとちょっとあれかなと思い、前日にメンバー2人だけにはマネージャーを通して伝えさせて頂きました。自分で言うのも恥ずかしかったので、マネージャーさんに伝えてもらったんですけど、まだ会えてはないんです。マネージャーさんによると、増田(貴久)は『僕は本を読まないのでよく分からないけど、すごいことなんですよね?』と、言っていたと……。
(ここで地震が起こり、数十秒ほど会見がストップ)
加藤:まあメンバーの話はするなということですよね(笑)。
(一同、笑)
加藤:『すごいね』と小山(慶一郎)も噛みしめるように喜んでくれたと伺っています。
中編(加藤シゲアキ「これが直木賞の力か」と実感した出来事は?書店員からかけられた印象的な言葉と「続けることが自分を受け入れてくれた小説界に対する恩返し」)へ
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