「無限の住人」原作者・沙村広明氏が三池崇史監督とトーク！
「『アフタヌーン』創刊30周年『無限の住人』公開記念イベント」が14日、東京・アニメイト新宿で開かれ『無限の住人』原作者の沙村広明氏、同作実写映画を監督した三池崇史が1時間以上にわたってトークを繰り広げた。
沙村氏が1993年から2012年にかけ『月刊アフタヌーン』（講談社）で連載していた累計750万部突破の作品。望んでもいないのに不死身にさせられてしまった侍・万次（木村拓哉）が、ある日、死んだ妹にそっくりの凛（杉咲花）と出会ったことから自らの意志で凛のために剣を取り、次々と死闘に臨んでいく姿を描くアクションファンタジー時代劇となっている。
太秦での作品撮影中に初対面を果たしたという2人。お互いについて、沙村氏は三池監督の『漂流街 THE HAZARD CITY』という作品がお気に入りと挙げ、逆に三池監督は『無限の住人』を作り上げたことを称えることに。
映画撮影中のエピソードについて、沙村氏は、「飯を食っていると隣に木村さんがやってきて、『台本にサインください！』って。寒くて手がかじかむのと緊張もあって自分でも読めないような字になってしまって、平謝りだったんですけど、『いいです、いいです、これで頑張ります』って言ってくださって」と語りつつ、「今思い直しても描き直したい」と、苦笑い。
その木村について、沙村氏は「本当に俺、万次の役は誰がいいとかなかったんですけど、本当に木村さんで良かったと思いました」と、絶賛し「すごい格好いいところと、無様で汚いところと、両方できる人だったんだって。木村さんの演技をそんなに観たことはないですけど、こんなにいろいろできる人だとは知らなくて」と、驚きがあったという。
三池監督も、「状況と、自分と、役者としてのポテンシャルを出すきっかけというかが備わっている、特殊な才能を持つ能力だと思います。木村さんは笑えるくらい真剣で真面目に役者として万次に取り組む。滑稽なくらい真剣ですね」と、木村の姿勢に胸を打たれたという。
木村の真摯な取り組みは周囲をも巻き込み、「その迫力はスタッフの中でもちょっと変わりましたね。周りの役者はどんどん変わっていく。若い共演者はとくにそうで、福士蒼汰は時代劇が初めてで、おっかなびっくり探り探り、手探りで、自分の持ってないものを持っているように見せようという芝居をしていたんですけど、自分が持っている以上のものは出ないんだと、自分が高まっていかないといけない、でもすぐには高まれない。それでもなにかできるはずだと、開き直りみたいな、生身のエネルギーが木村拓哉に引き出されていって、後半は初めて時代劇をやっているようには思えないような表情と動きをしていて」と、大きな影響を与えていたという三池監督。
それだけに、三池監督には木村が本物の万次のように思えてしまうそうで、もし万次が現代にまで生きていたらというトークの際に「個人の感覚ですけど、一致したところがあるんです。それで木村拓哉に、『傷はどう治したんだ？』と聞いてみたかったりするんですよ」との話まで飛び出していた。
さらに、好きなキャラクターへ沙村氏は戸田恵梨香が演じた乙橘槇絵だそうで、「戸田さんの脚は本当にいいですよね。槇絵なんかは脚の美しさを描くために作ったキャラクターなんで」と、見入っていたのだとか。三池監督は栗山千明演じる百琳と、もう1人、市原隼人演じる尸良を挙げ、「尸良のシーンは苦労して撮ったんですよ。でも、プロデューサーとか映倫に見せたら『ダメだ』と言われて（苦笑）。実は日本以外で公開するバージョンは“フル尸良バージョン”で復活させるらしいんです。尸良をしっかり観たい方は海外バージョンで。楽しいですよ。いろんなものが飛んできますからね」と、日本の劇場では未公開となったシーンにも触れていた。
また、原作について、沙村氏は「連載5年目くらいのときくらいからなんで不死身にしちゃったんだとか思うようになって。万次がどうやったら死ぬとか、メカニズムが解明されたのが23巻目で、もっと序盤で出していたら、駆け引きみたいな戦いが描けたかなって」と、少し後悔もあったようだった。
映画『無限の住人』は絶賛上映中！
（C）沙村広明／講談社（C）2017映画「無限の住人」製作委員会
沙村広明氏
三池崇史監督