新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』が20日よりパッケージ化され発売される。
1984年にアニメ映画化された宮崎駿監督が手掛けたアニメーション『風の谷のナウシカ』。映画版では描かれなかったの名作漫画全7巻の壮大な物語全てを新作歌舞伎化したのが、本作となっており2019年12月6日から同年12月25日まで上演された。宮崎作品が歌舞伎舞台化されるのは初となっており、スタジオジブリの関連作品歌舞伎舞台化も初となる。
主人公ナウシカを演じたのは尾上菊之助、ナウシカと対する皇女クシャナを演じたのは中村七之助。この次世代を担う歌舞伎俳優2人をはじめ豪華歌舞伎俳優が集結し、さらに、脚本は数々のスタジオジブリ作品を担当した丹羽圭子と、戸部和久(松竹)、演出は「新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』」も手掛けたG2氏が担当し、作品の世界観をつくりあげた。
巨大な産業文明は火の7日間と呼ばれる戦争によって滅び、大地のほとんどは巨大な蟲が生き、有毒な瘴気を発する菌類の森、腐海に覆われた。それでも人間同士の争いは止むことがなく、トルメキア王国と土鬼(ドルク)諸侯国連合帝国の2大国が対立している。そして、土鬼帝国の聖都・シュワの奥深くでは、<火の7日間>で世界を焼き尽くした兵器「巨神兵」が目を覚まそうとしていた……。
怪しく光る巨神兵と対峙するのは皇兄・ナムリス(坂東巳之助)。弟・ミラルパ(坂東巳之助/二役)を亡き者にして土鬼神聖皇帝の座についたナムリスは、旧世界の兵器を手中にし、世界をも手に入れるべく動き出す。敵役に用いられる青色の隈取と、大きな一つ目が象徴的にデザインされた鮮やかな装束という歌舞伎ならではの出で立ちで、観客に鮮烈な印象を残した。
旧世界の英知を封印したシュワの「墓所」。一面古代文字で覆われたシュワの墓の主は、ついに辿り着いたナウシカ達に世界の再建について語りかける。この声を担当したのは重要無形文化財保持者(人間国宝)の中村吉右衛門。重厚な声色は英知の深さとその存在の大きさ、重要さを表現している。世界の再建の秘密を知り、それでも墓所を倒し、闇へ帰すことを選択したナウシカ。本作では蘇った旧世界の兵器「巨神兵オーマ」と、シュワの「墓所」との戦いを、それぞれ「オーマの精」(尾上右近)と「墓の主の精」(中村歌昇)として顕現させることで表現。有名な「連獅子」をモチーフに、紅白の頭をつけた獅子が豪快な毛振りを見せる群舞と、唄や三味線といった歌舞伎音楽で語られる最後の戦いは、原作の世界観と古典歌舞伎の表現が融合したシーンに仕上がっている。
「新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』」(ウォルト・ディズニー・ジャパン)ブルーレイは1万2000円(税別)、DVD(4枚組) 9600 円(税別)で発売。
■特別映像:新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』本編みどころ(2)
https://www.youtube.com/watch?v=vLV39w1W1Y0
※記事内画像は(c)松竹株式会社