映画『ナラタージュ』(監督:行定勲/配給:東宝=アスミック・エース)恋愛トークショー付試写会が17日、都内で開かれ行定監督、コラムニスト・辛酸なめ子氏、女装タレント・ブルボンヌが登場した。
作家・島本理生氏原作で『この恋愛小説がすごい!』第1位にも輝いた同名小説が原作。高校教師と生徒として出会った2人が、ときが経ち、再会した後、決して許されはしない、究極の恋に落ちていく姿が描かれる。『嵐』松本潤が高校教師・葉山役を、葉山への気持ちを募らす泉役を有村架純が演じていることでも話題の作品だ。
行定監督は本作のキャスティングへ、「このキャストならキラキラした胸キュン映画が作れるんですが、あえてこのキャストなんです。松本くんにしてみると格好いいというところ、どどうしようもないことというのがないと単に綺麗になっちゃうので」と、製作側の狙いを。
イベントでは劇中の誰に感情移入できるかという話となり、観客たちは泉だったが辛酸氏と行定監督は葉山を挙げることに。そこで行定監督は松本への演技にについて、「葉山先生ってすぐ謝るんです。何回松潤が『ごめん』と言ったか。そこで憂いのある顔をするじゃないですか。あの顔を観るといいなって」と、絶妙だったよう。
さらに松本を起用した際に「松本くん結構いいなと思っていたんですが、この役は嵐の松本潤というのをまったくなくすということがあるんです。打ち合わせしたときにも、『これ要は俺じゃなくてもいいってことですよね?』と言った後に、『それおもしろいな』って言ったんですよ」と振り返る。
有村に話を持っていった際の話もあり行定監督は、「有村さんは撮影のときに23歳で、最初に話したときに、『私はシナリオと原作を読んでこんなディープな経験をしたことがないんです』と言われたんです。『台本には書いてないけど、どんな顔をできるだろう、監督が求めている顔ができるか不安だけどこの役やってみたいです!』って言ってくれて。そう考えるだけで十分でした」と、裏話を披露。
撮影中のエピソードへは、行定監督は「恋愛映画って美しい表情と、醜さが撮れると嬉しくなるんです。架純ちゃんがりんごをむいて、りんごを松本くんに食べさせた後に変にニヤッとするシーンがあるんです。最初はなかったシーンなんですけど、“俺馬鹿だな”って気持ちでやってみてと言ったんです。そうしたら松本くんから、『その意図はなんですか?』と聞かれたんですけど、『有村の顔変わるからたぶん』って言って本番でやってもらったんです。松本くんが笑ってみたら、“何笑ってるの!?”という顔をして。そのおかげで、蔑んだ目をして、『先生なんで私にあのとき優しくしたんですか?』という言葉が強くなったんです。あのときの有村架純の表情を観たときに、この顔がこの女優はできるんだって。妙な自己完結している男の優しさみたいなのが、私をこんなに狂わせているんだって顔になったんです。自分の持ち出している顔で微妙な加減の表情だから、そこが恋愛は楽しいなって。でも、本当にムカついたみたいなんですよ。何笑ってるの!って(笑)」とも話していた。
ほかにも、Q&A方式で、観客から3人への劇中で描かれた恋愛の意味や、恋愛指南をすることもありつつ、辛酸氏からは、「男子への業が渦巻く作品で、生態が分かりました」と感想を語り、行定監督は、「ナラタージュを観てこれから生きる人と、観ないでこれからを生きるのはたぶん違ってくると思うんですよ。映画ってそういうの教えてくれるんで」と、味のあるコメントを残しその場を後にしていた。
映画『ナラタージュ』は10月7日より全国ロードショー!