新作アニメーション『ARIA The CREPUSCOLO』(総監督:佐藤順一/配給:松竹ODS事業室)完成披露舞台あいさつ映像付き上映会が2月28日、開催されアリス役の広橋涼、アテナ役の佐藤利奈、アーニャ役の茅野愛衣、佐藤総監督、名取孝浩監督が登壇した。
本作は、漫画家・天野こずえ氏が描く未コミック『ARIA』の完全新作アニメーション。2005年に『ARIA The ANIMATION』としてアニメ化し、その後も06年に『The NATURAL』、07年に『The OVA ~ARIETTA~』、08年に『The ORIGINATION』、15年に完全新作アニメーション『ARIA The AVVENIRE』を制作。本作は、TVアニメ放送開始15周年の記念作品となっている。
東京・新宿ピカデリー、名古屋・ミッドランドスクエア シネマ、大阪・なんばパークスシネマの3劇場で開催。オレンジ色の空の下に、ARIA キャラクターが勢ぞろいした美しいティザービジュアルを全面に描いた大きなパネルを背景にキャスト・スタッフ陣がトークろ繰り広げることとなり、会場に集まったファンは、5年ぶりとなるARIAメンバーの集結に満面の笑みを浮かべ上映を見守るものとなった。
公開を直前にして現在の心境へ、広橋は「『ARIA』は私の体の中にあるものなので、久しぶりという感覚はなかったのですが、新しい映像を観ることができるということが、すごく嬉しいなと思いながら収録に臨んでいました」と、振り返ると、佐藤は「私は、本作から一緒に歩むことになったのですが、すごく長く愛され続けている作品に、自分自身が携われていることが夢のようといいますか、不思議な気持ちです」と、ふわっとした気持ちになっているのだとか。
一方、茅野は「アーニャ役としては、前作の『The AVVENIRE』からの出演だったのですが、元々『ARIA』が大好きで、この業界に入ってきたので、こんな……夢が叶うことってあるんだなと思いました。そして今回、新作ということで関わらせていただけて、幸せを噛みしめています。こうやって一緒のステージに立てていることがまさにミラクルだなと思います」と、思い入れたっぷりに話すと、広橋が「ハッ!『今日は恥ずかしいセリフ、禁止です』って、誰もツッコんでくれる人がいないんだよ(笑)」と、本作内でも有名なセリフを引き合いに、茅野にツッコミを入れ5人で笑い合う様子が。
名取監督は、「『ARIA』は…たまに呼び出される作品です(笑)ずっと携わってはいるのですが、『誰がどの手袋をしているんだっけ?』といった覚えなおすことも多い作品ですね(笑) 楽しく制作しているのですが、ちょっと大変です(笑)」と、本作ならではの苦労もあったり、佐藤総監督は「15年ってあらためて考えるとすごいですよね。自分にとってはあっという間なのですが、始まったころは、僕と広橋さんだけですし、名取くんはスタジオでシャカリキに作画を描いていただろうし、サトリナさんは『ふしぎ星の☆ふたご姫』の頃でしょ。茅野さんにいたっては見てる側にいて…。そう思うと『ARIA』という作品はすごいなと思います」と、感慨深げだった。
トークがアテナという役柄のことへ。アテナのキャラクタは2011年に亡くなった声優・川上とも子さんが担当していたキャラクターで、本作で新たに佐藤が引き継いでいる。佐藤は、「お話をいただいて大変光栄だったのですが、(川上)とも子さんは唯一無二の役者さんですので私に務まるのかどうかとても不安で、『(川上さんに)声質や色合いの似ている方がほかにいらっしゃる気がします』とお返事をしました。そしたら、佐藤総監督より『僕は似ているところがあると思っている』という温かいメッセージをいただきまして、佐藤総監督が大丈夫と言ってくださるのではあれば、どこか通じるところがあるのかもと思いまして、私でお役に立てることがあるのならば『やらせていただきます』とお返事いたしました」と、経緯を説明しつつ「ですが、こんなに……オレンジ色が多いなんて……(笑)びっくりしました」と、圧倒されたとも。
この起用に佐藤総監督は「アテナさんのセリフが多いので、“少しだけ何とかしてくれる”といったことではなくて、ちゃんとアテナさんになれる人にお願いしないととは思っていました。なので、サトリナさんにお引き受けいただいてよかったです。(サトリナさんの)第一声を聞いた時に、『おおっ!』
ってなったので『どーだ俺のキャスティングは!』と思いましたね(笑)僕が頑張ったわけではないんですけどね(笑)」と、ピッタリハマったことに晴れやかな気持ちになったそうだ。
ほかにも、「『恥ずかしセリフ、禁止!』と言われてしまうような、『ARIA』の魅力は?」との質問が寄せられ、広橋は「私、『ARIA』では恥ずかしいと思ったことないですよね(笑)本作を観た印象としては、1つ1つ大事に描かれていて、宝箱を開けるようなイメージを感じていて、本作を観るみなさんには、この宝物はどのように届くのだろうなぁと想像するだけで、幸せな気持ちになります」と、心情を明かしたり、佐藤は「温かい優しい世界観だなと思います。魔法みたいだなと思っていて、こんな優しい物語を紡ぐことができるんだなぁとびっくりしています。このARIAメンバーに入ってみると、みんなが優しいんです。監督をはじめ、みなさんがすごく…いい人(笑)みなさんの優しさに助け
られて、今があります。言葉にできないくらいの思いをくれる作品です」と、まさにヒーリング系アニメといったコメントが。
茅野は「『ARIA』の映画を飲み物にたとえると、“生クリームのせココア”みたいな映画だなと思っています。前作の『The AVVENIRE』が、アリシアさんが作った“生クリームのせココア”だとしたら、今回はアテナさんが一生懸命アリシアさんに聞いて作ってくれたものを『あーーーっ!』とこぼした感じの“生クリームのせココア”な映画だと思います(笑)」と、たとえていた。
最後に佐藤総監督から、「TV版のアリシアのセリフで、灯里に『世界が素敵に見えるのは、あなたが素敵だからよ』という言葉があります。この『ARIA』という作品は悪人なども出てこないので、見ようによっては“そんなバカなと。そんな綺麗な世界があるわけない、嘘だ”といわれることもあるのですが、そんな中で『この(「ARIA」の)世界っていいな』と思ってくれた人たちが、ここに集まってくれていると思っています。『ARIA』という作品は、みなさんの素敵な心を映す、映し鏡ではないかと思うんです。みなさんの素敵な心で、映画を作ることができたと思っていますので、みなさんの素敵な心をこれからもいただければ嬉しいです」と、メッセージを寄せ、広橋からは「『ARIA』は、みなさんのすぐそばにいる作品です。この作品を観て『幸せって増えていくよね』と思ってくれたら嬉しいですし、状況が良くなった時にみなさんと一緒に観ることができたらと思っています」と、思いを口にしていた。
アニメーション『ARIA The CREPUSCOLO』は5日より公開予定!
※記事内画像は(c)2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIA カンパニー