俳優・菅田将暉(28)が29日、都内で沢田研二とのW主演映画『キネマの神様』(監督:山田洋次/配給:松竹)完成報告会見を永野芽郁(21)、野田洋次郎(35)、寺島しのぶ(48)、小林稔侍(80)、宮本信子(76)、山田監督(89)とともに開いた。
松竹映画100周年を記念した作品で作家・原田マハ氏の同名作が原作。映画を諦め家族にも見放されたゴウが、夢と家族の愛を取り戻すという物語。現在のゴウを沢田、若き日のゴウを菅田が2人1役で演じるものとなる。当初、現在のゴウを志村けんが務める予定だったが、新型コロナウイルスを患い降板となり急逝、かつて志村と同じ事務所でもあった沢田が代役を演じることとなる。
3月29日は志村さんの命日でもあり、宮本は「きょうここに来るまで桜が満開でした。その時、志村さんを思いましたし、いろんなことがあって、きょうのこの日を迎えられたことが良かったなと思っています」と、志村さんを悼む。
沢田の起用へ山田監督は「彼も悩んだと思いますよ。なんたって日本を代表をするコメディアンの志村さんですから。それが日本一のいい男だといっていい沢田さんが演じることになって。志村さんへの友情もあって引き受けてくれたと思います。驚くぐらい、彼は全部すらすらと(セリフを)頭に入れてきて、何度も何度も前の日からセリフをけいこしていたんだろうなと、そういうことを思うことたしょっちゅうありました。表面には見せないけど、彼は緊張して役のイメージを作り上げてきてくれたんだと思いますし、天下の二枚目の彼がダメな人間で、賭博依存症で、アル中でという姿を鮮やかに演じてくれた」と、あふれる思いを語っていた。
そんななか菅田は作品を観て「ものすごいパワフルで。僕がゴウを演じていたときに想定していた出来事ではないのですが、沢田さんがパワフルで俺より動き回って大暴れしていて。そのときからすごいチャーミングで。ダメなんだけど色気があって人が、集まっていっちゃう、すごく魅力的なゴウだなと思いました」と、圧倒されたそうだ。
永野は撮影にあたり緊張していたと告白したが山田監督が「落ち着いていたように見えて」というと、永野はこれにニッコリ。野田は、山田組に参加してみて、「監督はその場でいろいろアイデアを瞬発的に演出されていて。撮影3日前にギターを弾いてといわれて」と振り返ると、山田監督は「1週間前じゃなかった?」と、苦笑いしていた。
すると菅田も山田組のことを語りだし、「撮影のシステムが執念の塊みたいな感じで、ほかの監督とは全然違うし、準備の仕方も時間の使い方も違うんです。山田さんが『考える』と言うので1、2時間くらい止まったりしますから。それも待ってくれるくらいキャスト・スタッフから信頼されていて……正直気を使っている人もいましたが(苦笑)。それで撮ったものも翌日リテイクしたり」と、話しつつ、しかしそのシステムは「でも、俳優としてそこまで求めてもらえることがないので嬉しかったです」と、役者として無上の喜びを感じたそうだ。
作品にちなんで映画館はどんな場所かと菅田へ質問が飛んだが、「いまとなっては職場のようか緊張感もあります。映画を観ていると別の世界に行っているような気がして心地いい感じで帰れます」と、気持ちを話すこともあった。
最後に菅田から「まさか山田洋次作品の真ん中に立つ状況になると思いませんでした。本来であればと言う出来事がたくさんあって、今完成しましたと言えることが、1番の喜びです。こうしてみなさんとお会いできて嬉しかったし、個人的にもうまく言葉にできないくらいで……もう1回しぐらいトークしたいです。公開も延びて、いろんなことを経た、たくさんのメッセージが詰まっている映画なんで、観るべき映画になっていると思います。よろしくおねがいします」と、切々とメッセージを伝え続けていた。
映画『キネマの神様』は8月6日より全国ロードショー予定!