アイドルグループ『NEWS』の加藤シゲアキ(33)が3日、東京・新国立劇場 中劇場で主演舞台『モダンボーイズ』(演出:一色隆司)ゲネプロ前にメディア向けに会見を開いた。
本作は1994年に木村拓哉が主演し、都政施行50周年記念公演として上演された、幻の名作ともいわれる青春群像劇となる。舞台は日中戦争直前、浅草のレビュー小屋。プロレタリア革命を志す学生で、ひょんなことから浅草エフリィという芸名でレビューの人気者となった矢萩奏が、小屋の座付き作家であった菊谷栄と出会ったことにより、生きる居場所を見つけ、自分にしかできない革命を見出していく物語。加藤は木村も演じた矢萩役を演じており、加藤にとって2017年に東京グローブ座にて上演された『グリーンマイル』以来、約3年半ぶりの舞台出演にもなる。
会見は加藤、俳優・山崎樹範(47)、武田玲奈(23)、脚本を担当した横内謙介氏、演出を担当した一色氏とともに開催した。その会見前に写真撮影が行われたが、カメラマンから何かポージングをとリクエストされ、加藤が率先してポーズをとり、笑みを浮かべながらムードメークをしていく一幕も見られた。
会見では横内氏が作家業もしている加藤へ矢萩役だけではなく菊谷役もともにオファーしたといい、「『いや、木村拓哉さんのやられた役を継承したい。あわよくば、木村超えを狙いたい』と」と、言い出したが、これは横内氏が話を盛ったようで、加藤は「そんなことないです!(そんな気持ちを)抱いたこともないから!」と、ただただ苦笑いする一幕も。
しかし、報道陣からも木村を意識したのかと質問も飛び、「正直なところ恐れ多いと思って。ですが、同時に同じ役に挑戦してみたいというのはあって、僕がジャニーズ事務所に入るきっかけになった先輩の1人でもありますし、本当にずっと憧れていた先輩で、こういった形で同じ役を演じることは正直なかなかないのではないかなと。誰かが、僕じゃない人がそれを演じていたら嫉妬してしまうのではないかと思ったので、ぜひともやらせてくださいと」と、オファーされた際の心情も。
木村にも公式に発表される前に、内々で伝えにいったそうだが、「知らないと思っていたので、役を演じさせてもらいますと言うつもりで行ったんですけど、僕を見た瞬間に『やるんでしょ?「モダンボーイズ」』と言われまして、僕の中ではギチギチですごく緊張していたんです。ギチギチに台本を作って、お仕事の合間ですし、簡潔にお伝えして帰ろうと思ったら、言われてしまって、僕の台本は総崩れしてしまって(苦笑)。“あっ、はい、はい……”という感じでアワアワしてしまって」と、不意をつかれたという思い出も披露。
さらに木村からは「すごく温かく応援してくださって。『頑張ってくれ』、『体には気をつけてくれ』とお言葉を頂きました」といい具体的な役のアドバイスについては、「本当にそういったことはなく『頑張ってくれ』と。おそらくですけど、気にするなということだと思います」と、受け取ったメッセージを自分なりに話していた。
そんな、加藤としては、木村の演じた役をというチャレンジ心だけではなく、「この物語は昭和の初期、演劇を上演することがままならなない時代でそこをどうやってブレイクスルーして、作品を作っていくかという裏側を描いています。いまのこの時代とシンクロするところがあるのではないかと思います。試行錯誤しながらどうやって舞台を上演するかというのは、演劇界だけではなく、いまのすべてのエンターテインメント界が乗り越えないといけなくて、そこをこの舞台を通して、過去から倣うというか、ヒントがあるんじゃないかという思いを頂いてぜひということで、この作品に参加させて頂くことを決めたわけです」と、エンタメ界をとりまく現状への気持ちもあったようだった。
ほかにも、山崎が「あの……個人的なことですが、吉川英治文学新人賞受賞、ありがとうございます」と、加藤が上梓した小説『オルタネート』が受賞した吉川英治文学新人賞を持ち出すことに。これに加藤は「いや、違いますよ!」と、ツッコミをいれ一色氏が「そういう舞台だと思われるのでやめてください(笑)」とたしなめれば、山崎はどこ吹く風で「きょうはこれさえ言えればいいと思ってきたので」と、気持ちを話して一同爆笑する、和気あいあいな一幕も見られた。
舞台『モダンボーイズ』東京公演は3日から16日まで新国立劇場 中劇場にて、大阪公演は28日から30日までCOOL JAPAN OSAKA WWホールに上演予定!
■出演キャスト
加藤シゲアキ、山崎樹範、武田玲奈、坂口涼太郎、溝口琢矢、松田賢二、きづき、伴美奈子、羽子田洋子、清瀬ひかり、紺崎真紀、橋本菜摘、大川亜耶、須田拓未、加藤虎ノ介、神保悟志、大鷹明良
■あらすじ
日中戦争前夜、浅草のレビュー小屋。座付き作家の菊谷栄に、同郷(青森)の友人・工藤がプロレタリア革命を志す同じく青森出身の学生・矢萩奏を紹介する。
ある日、矢萩が警察に追われて劇場に逃げ込んでくる。菊谷と劇場の仲間たちは、矢萩に道化の扮装をさせて、警察から匿う。尋問を受け、菊谷はコーラスボーイだとごまかすが疑う特高刑事。仕方なく歌を披露する矢萩。故郷で合唱部だった矢萩の「My Blue Heaven」の歌声はすばらしかった。
矢萩は劇場に身を隠すことになる。そこで思想活動のために封印していた音楽の才能が開花し、やがて矢萩は浅草エフリィの芸名でレビューの人気者となっていく。しかし不景気と戦争が切迫する時代。不要不急と言われる浮かれたレビューの世界に生きることに悩み揺れながら、そんな時代に劇場の扉を開き、歌い、踊り続けることの意味を、矢萩は菊谷や仲間たちとともに噛みしめてゆく。
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