女優・福田麻由子(26)、井桁弘恵(24)、俳優・池上幸平(40)が3日、東京・渋谷ユーロスペースで映画『グッドバイ』(監督:宮崎彩/配給:ムービー・アクト・プロジェクト)初日舞台あいさつを宮崎監督(25)とともに開いた。
是枝裕和監督の元で映像制作を学んだ新鋭の宮崎監督が福田を主演に据えた作品。母親と2人暮らししているさくら(福田)が主人公。幼い頃から離れて暮らす父親、そしてその父親を求めるさくらの姿を通して、少女から大人に変わりゆく家族の変容と決別をほろ苦く描き出すヒューマンドラマとなっている。
まずは宮崎監督から本作が3年前に撮影され日の目を見るということで、集まった観客たちを前に「こんなに多くのお客さんを前にするなんて……。やっと上映できるという喜びと嘘なんじゃないかという気持ちがあります。みなさんに観て頂けると嬉しいです」と、胸いっぱいといった様子。
福田については当て書きだったという宮崎監督。福田は「3年前の春に撮影して、その当時23歳の自分の状況も世の中の状況も違っていて。さくらは会社をやめるところから始まって、何を手放して“グッドバイ”をしていくのかというお話です。私は当時、知らぬ間に持っているいろんなもの、家族や仕事や、私が本当に私が大事に持っていたいものはなんなんだろうと考えていた時期だったので、めぐり合わせのようなものを感じました」と、タイミングが良かったそう。
そうして始まった撮影だが福田にとっては困ったこともあったようで、「私も小学生の時にいろいろ習っていたんですが、何も続かなくて。ピアノと以前特技に書いていたんですけど、ピアノを弾くシーンもあって(苦笑)」と、ピアノも極める前にやめていたということで、冷や汗をかいたのだとか。
一方、井桁はさくらが手伝うこととなる保育園で出会う同僚役を演じる。脚本を読んだときに、「大人な作品だなと感じました。3年前本当に大学生だったので、さくらの気持ちの流れについてきけてなくて 難しい作品なのかなと思ったんですけど、いま24になってみると感情や受け取るものが違うなと思って、そういう難しい大人な作品だなと思いました」と、感じ方が変わったそうだ。
さらに福田は同世代の宮崎監督が作品を手掛けているという姿に「こういった公開の予定もないなかで、映画を生み出そうとしているという姿にすごく刺激を受けましたし、自分にはやったことのないゼロから何かを作ろうとしている人がいるんだというのはすごくパワーをもらう経験でした」と、刺激になったという。
井桁も同じくといった様子で、「私もその当時は映画の作品に何回も携わったことがなくて緊張しました。でも、みなさん熱量が高いし、何より同世代ということで、チームという感じで現場の雰囲気を作ってくださって。保育園のシーンをどうしようとか、そういうコミュニケーションが取れる現場で、刺激をたくさんもらえたなと思いました」と、感慨深げだった。
そんな撮影で、福田にとって、「いままで経験してきたなかで、“映画ってこう撮るよね”ということがいっぱい起きて(笑)」と、ほかの映画製作の現場とは違う体験があったといい、「家のシーンは監督の親戚の家を5日間借りて撮影していたんです。私たち役者陣はホテルとかをとってもらっていたんですけど、スタッフさんはその家で布団を敷いてその場で寝ていて。朝行ったら、布団を畳んで歯を磨いていていて、『なにこれ!(笑)』と、思いましたけど楽しかったですね」と、いい思い出になったようだった。
最後に福田から、「この作品の大きなテーマの1つは家族だと思います。親といるときって、子供の時の自分が残っていると。なんかそいういう映画のなかで、実際の保育園で日々を生きている子どもたちの笑顔とかはしゃいでいる姿が、ある種のドキュメンタリーのようにキラキラした姿映っていて、そんな子どもたちの姿が好きで、1つの見どころだと思います」と、アピールしたり井桁は「保育園のシーンにメインで出ているので子どもたちのリアルな様子や空気感を楽しんでもらえると思います。それと、3年前の自分の姿は、自分が見ても若いなという感じています(笑)」と、アピール。
池上は「本当に丁寧に作っていると思うので、とくにこれという感じではないですけど、すべては繋がっていると思うで、見逃さずきっちり観て頂ければ。福田さん演じるさくらの変化を感じて貰えれば幸いです」と呼びかけ、宮崎監督から「生活したものを切り取った感じです。全編を通して3年前しか、あのときしか切り取れなかった季節を感じてもらえればと思います」と、思いを伝えていた。
映画『グッドバイ』は全国公開中!