俳優・柳楽優弥（31）、田中泯（76）が13日、東京・江戸東京博物館 大ホールで映画『HOKUSAI』（監督：橋本一／配給：S・D・P）公開記念！大波トークイベントを開催し、ゲストに書家で芸術家・紫舟氏を迎え開催した。
代表作『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』などで知られる浮世絵の葛飾北斎の知られざる生涯を描いた作品。柳楽は北斎の青年期を、田中は老年期を演じW主演している。
2人とも作品が公開が1年延びつつ、ついに日の目を見る期日に近づいたことへの喜びを口にしつつ、柳楽は「葛飾北斎の生き方だったり強いエネルギーが伝わったら、公開時期とかよりもメッセージがしっかり届いたらいいなと思います」と、噛みしめるように語った。
北斎生誕の地となる東京・墨田区でのイベントとなり2人は、同所に展示してある『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をはじめとした作品を鑑賞したそう。田中は「感動といったらないです。やっぱり葛飾北斎と感じました」と、心が震えたそうで、柳楽は「これだけ名作が集結していて、すべてが本物という状況に圧倒されました。1つの作品を描くのにも、いろんなプロセスがあって、いろんな人がかかわっていて、パワーをもらいました」と、その背景まで思いを馳せていたそうだ。
北斎が、絵に向き合い続けた生涯だったことと絡めて柳楽は、田中へ「泯さんも10代から踊りをされていて、向き合っている姿を見ると、なんか勇気をもらえます」と、伝えると、田中は思わず照れ笑いで、「僕はしがみついて踊りを続けていて」と、謙遜。そこから田中は北斎の生き様へ、「驚異的ですよね。（90歳で亡くなった北斎が）『あと5年あったらもっともっといい絵が描けるようになる』とおそらく95歳になったら同じことを言ってると思います。果てしないものに立ち向かっているというか、そんな気がしています。その情熱というか、こんな言葉で想像できるわけないのに、本当にすごい力だと思います」と、感じたことを伝えていた。
中盤から紫舟氏も登壇。紫舟氏は作品へ「観た後に、創作意欲が湧いてきて、70枚くらい書きました。普段より質の良いものが多く描けました。生きる力をたくさんもらえた映画でした」と、感想を話し、2人も手応えありといった引き締めた表情で聴き入っていた。
そして紫舟氏は、『HOKUSAI』をテーマに全長2メートルを超える和紙に「大波」をライブパフォーマンスすることに。約10分ほどで、見事な絵を描き上げる紫舟氏。この絵には右上に『生き抜け』という言葉が入るのも特徴だが、「北斎の絵は静止しています。私達は困難な中にいます。生きる力、もう1回立ち上がってみようか、ふんばってみようかと感じる映画でした。そんな大きなうねりや波を起こし、太陽のような明るい赤や、降り注ぐ光の黄色を入れて『生き抜け』と言うメッセージを描きました」と、解説。
柳楽はその絵を食い入るように観ながら「本当に圧倒されるというか……。『生き抜け』と言う言葉もご自身もそうですけど、この時代にすごく響く言葉です。北斎を通じて生命力を感じています」と話し、刺激になったようで「僕も俳優をやっているなかで、制限だったり常識というものだけに囚われていたらまずいなと感じました。去年、今年と、あらためて生きるということについて、考えさせられていますし、こういう状況のなかでも、やっぱり強く生きたいし、北斎が作品に向き合う姿勢って、当時の北斎が生きていた時代って描くということに、制限がなかったわけではないと思うのですが、その創作意欲を決して失わずに……失ってたまるかというくらいの気持ちで、向き合い続けているのが素晴らしいなと。そういう人から感じるエネルギーって強烈だなって、この絵を観ても感じます。アーティストの人に感動します」と、言葉を紡いだ。
そして柳楽から、「こういう大変な状況ではありますが、映画を通して北斎から強い生命力だったり、生き抜くという強い気持ちをすごく感じました。そういう北斎のメッセージは、今の時代に必要なんじゃなにかなと感じてます。多くの方の背中を押せる作品になっていると思いますので、劇場でぜひ御覧ください」と、呼びかけていた。
映画『HOKUSAI』は5月28日より全国ロードショー予定！
紫舟氏のパフォーマンスを鑑賞する柳楽
田中を照れ笑いさせる
（C）HOKUSAI MOVIE
