佐藤健主演作「護られなかった者たちへ」で「1番心を打たれ」た部分とは？阿部寛に何度も投げ飛ばされ吉岡秀隆から「かわいそう」やうどんの食いしん坊エピソードも

　俳優・佐藤健、阿部寛、清原果耶、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子が15日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで映画『護られなかった者たちへ』（監督：瀬々敬久／配給：松竹）完成披露イベントを瀬々監督とともに開いた。

　『このミステリーがすごい！』受賞作家・中山七里の傑作小説を映画化。東日本大震災から10年目の仙台で起きた不可解な連続殺人事件を軸に、その裏に隠された切なくも衝撃の真実を描く、感動のヒューマン・ミステリー。過去に起こした放火事件で服役し、出所したばかりだが今度は連続殺人事件の容疑者として追われてしまう主人公・利根泰久役に佐藤健、彼を追う刑事・笘篠（とましの）役を阿部寛が演じる。

　スーツ姿で登壇した佐藤。「東日本大震災というものが、どれほどの被害と悲しみをわれわれにもたらしたかというのは、日本中だけでなく、もはや世界中の方が知るところになったと思います。しかし、実際には震災そのものだけでなく、そこから波及した問題がわれわれの日常を侵食していて。今回はそのうちの生活保護という制度に焦点を当てて撮影をさせて頂きました。初めて原作を読んだときに、さまざまなことを教えられ、考えさせられました。いまの日本に投げかける意義のある作品だと思っています」と、気合を込めた。

　佐藤は撮影のときのことへ、昨年の1度目の緊急事態宣言によりクランクインが延期を乗り越えてのクランクインだったことを回想し、「クランクインできたときに、やっとここまで来たかという気持ちでした。撮影が始まってクランクアップできるかというのも不安がありました」といい、そんな状況から公開が近づいていることへ「感慨深いです」と、しみじみ。

　阿部は撮影を通して「いろんな問題が起きている中で、人間というものは、いろんなものを抱えながら生きていくということを感じました」と、語った。

　佐藤と阿部は本作で2010年公開の『「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』（監督：堤幸彦）11年ぶりの共演だそうだが、お互いの印象は変わった？との質問に、「阿部さんは阿部さんですね。11年前にお会いしたときから阿部さんでした。『トリック』という作品が好きすぎて、俳優になりたいと思ったんです。それで『トリック』で共演させて頂いたときは堤監督に直談判したんです。僕の前で阿部さんが演じられる姿はいまだに鮮明に覚えていて、（本作で）さらに深い役柄でご一緒することができて非常に嬉しいです」と、テンションがあがっていたそう。

　逆に阿部は「11年前に『トリック』という作品で共演以来、佐藤さんがいろいろやっている仕事ぶりとかを見ていたんです。佐藤さんの利根という人物を見て役作りしようと思ってそこに委ねていたのですが、現場に入った時の集中力を感じました」と、感じ入っていた。

　そんな信頼関係のある2人なだけに、吉岡からは、阿部に追いかけられた佐藤が投げとばされるシーンで勢いあまって、佐藤が安全用にしかれていたマットを超えたところまで飛んでいった話を挙げ「阿部さんにやりすぎじゃないですかと言ったら、『いや、本人が思い切り来てくれと言ってるから』と言ってて。でも2回も3回も健くんが空を飛んでいる姿をみると、なんかかわいそうになってきちゃって、すごい現場なんだとあらためて思いました。健くんの身のこなしとか、それに対応する安倍さんの凄さを感じました」というと、佐藤自身としては、「そこまで飛ぶとは思いませんでした。全員の誤算でマットから出ちゃったと思います」と説明。

　これに阿部は「どんなにぶつかってもかわしてくれる、こなしてくれるという気持ちがあったので、思い切りいきました」と、全力をかけた結果だったと話したが、佐藤は「掴まえるというのに飛ばしてくるんですよ。捕まえるのにそんなに飛ばさなくても！」と、ツッコミを入れていた。

　ほかにも倍賞が劇中に出てくるうどんを佐藤がおいしさのあまり大食いしていたエピソードを披露し、佐藤も「たぶん10人分くらい食べちゃったんです。おいしかったんです」と、食いしん坊エピソードも明かされるなど和む一幕や瀬々監督から「隣にいるので言うのが恥ずかしいんですけど、健くんはいつも命がけでやっているので、そこが尊敬しているところでもあり、好きなところでもあります」と伝えて、佐藤は手応えを感じてか笑みを浮かべる一幕などもあった。

　そして、佐藤から「僕がこの完成居した映画を観たときに、1番胸に残ったのは、命の重さとか、命の尊さというよりかは誰かが、誰かに生きていてほしいという気持ち。その気持ちに僕は1番心を打たれました。大切な人がいるということ、そんな日常の幸せに感謝し、幸せを噛み締めながら、みんなでより良い国によりよい生活を目指して、そのためにどうするべきか、ともに考えながら、そんなことを思うきっかけとなる映画になっているのではないかなと思います。たくさんの方に観て頂ければと思っている映画です。みなさまのお力をお借りできれば嬉しいです」と、メッセージを寄せていた。

　映画『護られなかった者たちへ』は10月1日より全国公開予定！