COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』(演出:金守珍)プレスコール取材が5日、東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンで開かれ数シーンをメディア向けに披露した。
本作は2003年4月『劇団 唐組』により初演となり、五十五回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞、第三十八回紀伊國屋演劇賞(個人賞)、第七回鶴屋南北戯曲賞、および第十一回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞した傑作戯曲として知られている。
諫早の漁港を追われ、いまは都会のブリキ屋で働く青年・蛍一(磯村勇斗)と、海で助けられ「ヒトか魚か分からぬ女」と呼ばれる女・やすみ(宮沢りえ)。2人はやがてさまざまな利権が絡み合う干拓問題の泥沼に引き込まれていくこととなり……。
舞台は宮沢、磯村のほか愛希れいか、風間杜夫、岡田義徳、大鶴美仁音、渡会久美子、広島光、島本和人、八代定治、宮原奨伍、板倉武志、奈良原大泰、キンタカオ、趙博、石井愃一、金守珍、六平直政が数シーンを披露。ケレン味あふれるセリフや、目まぐるしい動きなど、多分にエネルギーを感じさせるものとなっていた。
公演へ向け演出の金氏、宮沢、磯村、愛希、風間からコメントが寄せられることとなった。
○金守珍
先ずは、Bunkamuraシアターコクーンでの唐作・「泥人魚」は公演成功間違え無しと確信しています!なぜならば台本の素晴らしさはもちろんのこと、キャスティングが完備なので、悩むところなく演出をすることができました。とくに宮沢りえさんや六平直政氏からの豊富なアイデアにも助けられ、とても楽しい、笑いの絶えないけいこ場でした。
見どころは、風間杜夫氏演じる劇詩人の作るユーモラスな世界と宮沢・磯村両コンビの演じるピュアな世界があいまって表現される、唐ワールドのたとえようもない美しさです。また、蜷川幸雄師匠からの「幕開き3分勝負!」も実行しています。コロナ禍で鬱屈した毎日が続いていますが、それらを洗い流してくれる聖水をぜひ浴びに来てください!
○宮沢りえ
金さんを始め、キャスト・スタッフのみんなが、唐さんの戯曲を、言葉を握りしめ突き進んで来たけいこを経て、ついにみなさんの前でお披露目する時が来たことに緊張と興奮があふれています。
劇場という空間に観に来てくださったみなさんの心の中を泳げるよう、千秋楽まで、心震わせ惜しみなく頑張ります!
○磯村勇斗
本番が始まってようやくこの作品が見えてくる気がします。もちろん、けいこ場でお客さまに楽しんで頂けるところまでは作り上げていますが、幕が上がったあとはみなさんとともに日々変化を遂げる作品だと感じています。唐さんの世界とお客さまの世界を繋ぐのが僕たちの役目なので、観てくださる方の空気を感じながら出演者一同楽しんでお届けしたいと思います。
夢の中のようなファンタジーの世界へと導かれたらと思ったら、突然現実を突きつけられる。それはまるで長崎の「ギロチン堤防」のように。物語が急変する。その波が行ったり来たりと舞台上を駆け回る中、でもそこには唐さんの描く「美しさ」「純粋さ」が波しぶきとなってお客さまの心に届くのではないかと思います。
○愛希れいか
約1ヶ月のおけいこでたくさんたくさん悩みました。正直、まだまだおけいこが足りない……と思ってしまいますが、みなさんと切磋琢磨した時間を信じて、舞台に立ちたいと思います。
この作品は、言葉ではうまく表現できないので……ぜひ劇場に体感しに来て頂きたいです!!!
そして舞台を観て少しでもみなさまに元気になって頂きたいです。心に響く舞台になるよう、全身全霊をささげます!どうぞ宜しくお願い致します。
○風間杜夫
けいこは、怒涛のような日々だった。唐十郎の世界を誰よりも美しく感動的に伝導したいと、全身全霊で舵を取る金守珍の姿が、役者たちを惹きつけてひとときも離さなかった。その金さんの目指す高みにみんなが食らいついて、またたく間に表現が豊かになっていくさまは、役者として肝になるところの自由と開放を得たのではないかと思える。
作品の全編が見どころというしかないだろう。幕が上がってから降りるまでのあらゆる瞬間が、刺激に満ち満ちている。お客さまには、アングラと呼ばれる舞台の真髄を観て頂きたい。その演劇的興奮が、喘鳴力になることを信じて疑わない。
COCOON PRODUCTION 2021『泥人魚』は6日から29日までBunkamura シアターコクーンで全28回で上演予定!