アイドルグループ『NEWS』の加藤シゲアキが2022年3月8日より上演予定の舞台となるPARCO PRODUCE『粛々と運針』(演出:ウォーリー木下)を主演することが19日、発表となった。
劇作家・横山拓也氏と演出家・ウォーリー木下氏がタッグを組んで送る作品。命は誰のものか、どんな始まりと終わりが望ましいかなど、答えの出ない根源的な問いかけが2つの家庭とともに描き出される。
1つめの家庭は、築野家。一(はじめ)は弟・紘(つなぐ)と2人で母を見舞う。病室で母から紹介されたのは、「金沢さん」という初対面の初老の紳士。父が死んだあと、親しい仲らしい。すい臓ガンを告知された母は、金沢さんと相談の結果、穏やかに最期を迎えることを選んだという。まだ治療の可能性はあるのに……。
2つめの家庭は田熊家。平均寿命くらいまで支払いを続けたら自分のものになる小さな一軒家を去年購入した沙都子と應介。その家
のどこかで子猫の鳴き声がする。早く助けてあげたいけど、交通事故で頸椎を痛めた應介はケガを理由に探してくれない。そしてお腹に新しい命を宿しているかもしれない沙都子は不思議なことにこの話の切り出し方が分からない……。平凡な生活の内に潜む2つの家の葛藤を、周到な会話で縫い合わせるように描き出す命の物語。
加藤は築野家の一役で主演。「時間は人に寄り添い、しかし無情に、一定のリズムで進んでいく。全ての人はそれに翻弄され、喜劇と悲劇を知らず知らずのうちに生み出している。運命めいたいくつもの時が織りなされて、描かれる家族の物語。演劇でしか表現できないこの『粛々と運針』という戯曲に、ひとつの編針として参加できること、心より光栄に思います」と、メッセージを寄せている。
横山氏は、「2017年に新宿の小さなギャラリーで生まれた『粛々と運針』が、加藤シゲアキさんを主演にPARCO劇場で上演されることになるなんて、そんなスケールアップのパターンがあるのかと驚いています。加藤さん演じる長男・一(はじめ)という役は、僕自身であり、誰にも思い当たるところがある『情けない自分』です。本作に登場する人物たちは、みんな強さに憧れながら、自身の脆さと戦っています。きっとどこかにみなさん自身を感じるはずです。旧知の中でありながら、劇作家と演出家の関係でガッツリと組むのは初めてのウォーリー木下さんが、どんな手つきで立ち上げてくれるのかも楽しみです」と、思いを語っている。
ウォーリー木下氏からは、「初演の『粛々と運針』を見た時のことはよく覚えている。会場は新宿の小さなギャラリーで、道に迷いながら辿り着いた。お客さん同士の肩が当たるくらいの大きさで、その親密性もあいまって、その芝居は『秘密のお茶会』のような緊張と優しさに溢れたものだった。今まで見たどの横山くんの作品とも違っていて驚いたし嬉しかった。その興奮で帰り道もまた迷った。横山くんとは20年以上の付き合いだと思うけど、はじめて彼のホンを演出させてもらう。人物を描きながら世界の歪みと明るさを同時に描ければと。加藤さんをはじめとする一癖も二癖もあるキャスト陣と、濃密で温かな空間を作り出せることを今から楽しみにしている。あの時の僕のように観客のみなさんを帰り道迷わすつもりで」と、思いを馳せている。
なお、主演の加藤のほか須賀健太、徳永えり、多岐川裕美らの共演も発表された。
PARCO PRODUCE『粛々と運針』東京公演は2022年3月8日から同27日までPARCO劇場にて、大阪公演は2022年4月8日から同10日まで森ノ宮ピロティホールにて上演予定!