『第十六回 声優アワード』が5日、東京・浜松町の文化放送内で開かれ助演男優賞に声優・立木文彦が輝いたことが発表となった。
『声優アワード』とは、その年度に最も活躍し、人気・実力を共に兼ね備えた声優、そして長年にわたって活躍するベテラン声優が集結する、声優業界のビッグイベントとなる。なお助演男優賞には中村悠一も受賞が発表されている。
登壇前には立木がこれまでに演じたキャラクターとして、アニメ『エヴァンゲリオン』シリーズの碇ゲンドウ、アニメ『銀魂』の長谷川泰三の映像が上映されることとなり、立木はこれを踏まえてのスピーチをはじめた。
「このたびは誠にありがとうございます。私はどちらかと言うと、この晴れやかな場には、あまりあわないようなところもあり、どちらかというと渋い声優道を歩んできたころがあると思います。そんな私に、こんなお話しを頂いたときは、本当に驚いて、驚きとともに感慨もありました。今はそのよろこびを噛み締めている次第であります」と、心境を。
「思い起こせば、高校時代に、自分が役者を目指しはじめたときに、声優の学校に入学するため、下調べとして九州から上京して、それを完璧にやってくれた、父、そして母に1番にこの喜びを伝えたいと思います。くしくも、受賞の際にご紹介頂いたのが父親(碇ゲンドウ)ということで、これも何かの縁かなと勝手ながら思っております」。
「本当になんでしょうね……夢とかはずっと持ち続けていて、憧れ、そして1歩1歩進む努力は本当に惜しんじゃいけないなと感じております。そしてこの場を借りて、自分の所属事務所である、ずっと自分のことを飽きずにフォローしてくれた、社員のみなさま、スタッフのみなさまにもこの場で感謝の意を示したいと思います」。
さらに、『エヴァンゲリオン』シリーズと『銀魂』には格別の思いもあるようで、「紹介頂いた2作品たちは、結構長くやってきたもので、自分自身もとっても体に染み込むほど長く演じてきたものです。それがいまここにあるということで、本当に嬉しくて、これは自分の人生としても一生の宝ものになります。アニメスタート当初からスタッフさんや監督さんの血のにじむような努力でやってきたので、その時代、時代を彩ってやってきた作品です。その作品があったからこそ、今の自分があるんだと思っています」と、厚い感謝を。
さらに、「助演男優賞というものを頂いて、助演という言葉の文字通り助けるということもあるので、ずっと長くやってきた作品たちに自分自身がいま手助けをして、恩返しできたかなと少なからず思っています。それが、ずっとやってきた身としては、本当に報われる気がします」と、自負も見せた。
「今現在アニメ自体、自分はそれほどやっていませんが、この2作品に出会えたことが、自分にとっての宝ですし、番組スタート当時から豪華声優陣と、共演者の方々とやってきた魂の結晶であるし、そして、その共演陣の方たちと一緒に獲った賞だなと深く感じております。最後になりますが、関係者のみなさまに本当にありがとうと言いたいです。そして、この2作品をずっと長く愛してくれたファンのみなさまに、本当に心よりありがとうと言いたいです」
「今現在、この時代は声の可能性……声は無限大だと思います。とくに若手の方には、非常に可能性がある時代だと思っています。自分自身もこれから先も、声の表現者の1人として甘んずることなく、努力をし、その可能性をいろんなジャンルに広げていけたらなと思っています。本日は本当にありがとうございました。きょうはみなさんとともに、エアで乾杯したいと思います」。
と締めくくるかと思いきや、自身の声質へ「すいません声がこんな感じで、緊張のせいかこんな感じになってしまって……でも普段どおりなんで、大丈夫です」と、お茶目なコメントも飛び出し、最後は会場を沸かせて降壇していた。