アイドルグループ『V6』で俳優・森田剛(38)が10日、東京・池袋の東京芸術劇場 プレイハウスで主演舞台『すべての四月のために』(作・演出:鄭義信)公開ゲネプロを開いた。
第二次世界大戦下の朝鮮半島が舞台。理髪店を営む朝鮮人夫婦と四姉妹、次女の夫と、彼女らを取り巻く人々、そして日本軍人たち。戦時下という困窮した日常の中で、時代に流されながらも紡がれる家族の喜怒哀楽の愛憎劇が描かれる。森田は、四姉妹の次女・秋子の夫ながら、長女・冬子への想いを断ち切れない複雑な思いに揺れる男・萬石(まんそく)を演じる。
萬石の妻で教員の次女・秋子には臼田あさ美、稼業の理髪店を手伝う長女・冬子には西田尚美、四姉妹の母で理髪店の店主・安田英順役は、第42回菊田一夫演劇賞での大賞受賞でも知られる実力派の麻実れいが演じる。
物語は1994年春、日本植民地下の朝鮮半島近くの離れ小島。そこにある理髪店では次女・秋子と萬石の結婚式が開かれていた。しかし秋子の喜びは薄く、それは萬石が長女・冬越に対する思いを捨てきれずにいることを知っていたからだった。そんななかようやく場が盛り上がってきたところに日本軍人が理髪店を日本軍専用にするとの辞令を持ってやってくることとなり……。
ゲネプロでは、家族の1人1人それぞれに流れるドラマなどがさまざまな心情とともに描かれ、それに合わせてキャスト陣のいろんな表情を観ることができる。シリアスなシーンでも、コミカルに動く演出のキャラクターもいてクスリと笑える部分もあり、演劇ならではの楽しめる表現も見られた。
森田は本作へ、「長かったような短かったようなけいこ期間、毎日、多くのダメ出しをいただきました。素敵な言葉がたくさんあるので、お客さまにしっかりと届けたいと思います」と、意気込みを。
作品については、「大変な時代を生き抜く人たちの話ですが、観ている人に勇気を与えられる作品です。あたたかい家族なので、いい家族だな、と思ってもらえると思います」と、説明しつつ、「その一員として観て頂けるように、けいこ中の鄭さんの演出が自分の中に入っていればいいのですが、繰り返しダメ出しが出たシーンでは鄭さんの顔が浮かんできそうな気がします(笑)。本番が始まったら、役は役者のものでもあるので、のびのび演じられればと思います」と、抱負も。
そして、森田は「きっとこの作品を観た方は、自分の家族のことを思い出すのではないかと思います。同時に自分の未来や過去、生きている意味を考えるかもしれません。さらには祖父や祖母、父や母がいて、自分がいるんだという当たり前のことが、とても幸せなことなんだと感じていただける舞台になっていると思います」と、メッセージを寄せている。
さらに麻実は、主演の森田へ、「久しぶりにご一緒した森田さんは、普段寡黙ですが、今回は交わすセリフも多い役どころなので、実はすごくあたたかくて、やさしくて、そしてかわいいところに触れました。何より、舞台に向かう姿勢が真摯で素敵ですね」と、称えると鄭氏も「これまでの作品にない森田さんの魅力を引き出せたのではないかと思っています。まっすぐな演技をなさる方なので、とても見ていて気持ちがよく、ご一緒したいと思っていました。素敵な方です。けいこ場も明るく、明るくという注文も、嫌がることもなく実にのびのびと(笑)やっていただけました。割りとご本人、ギャグっぽいのも好きなんじゃないかな(笑)」と、コメントを寄せた。
PARCO PRODUCE『すべての四月のために』東京公演は11日から29日まで東京芸術劇場 プレイハウスにて、京都公演は12月8日から13日までロームシアター京都 サウスホールにて、北九州公演は12月22日から24日に北九州芸術劇場 大ホールにて上演!
■出演キャスト
森田剛
臼田あさ美、西田尚美、村川絵梨、伊藤沙莉
小柳友、稲葉友、津村知与支、牧野莉佳、斉藤マッチュ、浦川祥哉、近藤公園、中村靖日、山本亨、麻実れい