俳優・中井貴一、松山ケンイチ、北川景子、岸井ゆきの、和田正人、田中美央が20日、東京・丸の内ピカデリーで映画『大河への道』(監督:中西健二/配給:松竹)初日舞台あいさつを中西監督とともに開いた。
落語家・立川志の輔の新作落語『大河への道―伊能忠敬物語―』が原作。千葉・香取市で地元を盛り上げるため、郷土の偉人「伊能忠敬」を主役にした大河ドラマの開発が進んでいるなか、1821年に史上初の日本地図を完成させたのは、伊能忠敬ではなかった……ということから始まる、歴史に埋もれてしまった秘密の物語を描いている。江戸時代と現代を行き来する作品で、主要キャストが2つの時代に1人2役を演じていることも特徴の作品となっている。
中井が原作の落語を観劇し感動のあまり自ら志の輔に映画化の直談判をしたことから始まった企画となる本作。中井は企画から入っており、6年かかっての映像化を果たし万感な思いとともに、ほかの作品とは違った緊張感があることを告白。
企画したときの思いとして、中井は「時代劇が少なくなってきて、時代劇に関わるものを残していかないといけないなと感じていたんです。それをお客さまに観ていただいてこそと思っていたので、ちょうど志の輔さんの落語に出会って。きょうは現代風の格好で登壇していますが、過去の時代の役をやってもらっているのは人間なんて200年前からそんなに変わってないんだよということを伝えたくてやってもらいました」と、1人2役に込めた思いを語った。
そんな中井を見ながら、松山は「貴一さんの人間性があふれていると思っています」と、作品に漂う雰囲気をアピール。作品へ、「地図の完成に至るまでの、熱いものや努力、困難だったりとか、いまに通じる部分があると思います。すごくリンクして観て頂けるのではと思います」と、ポイントを挙げるとともに、ネタバレなしで注目してもらいたい部分へ「祈祷師が出て来るのですが、何かに取り憑かれたような演技は注目してほしいと思います」というと、ここは爆笑ポイントなのかキャスト陣一同、笑いをこらえる姿も。
撮影中のエピソードとしては、中井は「緑のなかですごい風が吹いているなというシーンがあると思いますが、それは台風の風です」と告白。カツラも飛んでしまうほどだったそうだが、カメラマンと相談しなかなかそのような風はないと、絶好のタイミングのため撮影したとも明かしていた。
ほかにも、北川はコロナ禍のなかで、作品づくりをしていったそうだが、劇中でも映画づくりをして団結して作り上げていくことに、「この作品から勇気を頂きました」と、しみじみと語ることもあった。
そして中西監督から「このお話を頂いたときに、台本がものすごく面白かったんです。
現代劇があれば時代劇もある。コメディもあれば悲劇もあります。何も考えずに気楽に観て頂ければ」と呼びかけ、中井からは「この映画に携わっている時間が長く、初日というのは役者にとっては育ててきた映画と別れるときです。撮影から宣伝までやってきて、育ててきた娘を届けるような気持ちでいま立っています」と、心情を伝えていた。
映画『大河への道』は全国公開中!