俳優・篠山輝信が6月17日、都内・学士会館で開催された“日本シナリオ作家協会”による第31回『新人シナリオコンクール』授賞式に作品『島』がグランプリにあたる入選をしたことから出席。その喜びを語った。
『島』は2022年4月4日発売の“月刊シナリオ”にて発表したもの。戦後の沖縄を生き抜いた姉妹と、自分の母親の死をきっかけに沖縄を旅する中年男性が自分のルーツを知っていくという、1つの家族の“血の物語”となっている。
表彰を受けた篠山は壇上から「素晴らしい賞を頂きましてありがとうございました。率直に嬉しいです」と、笑み。
本作を書くきっかけは、昨年、新型コロナウィルス禍で在宅の時間が増え、オンラインでシナリオ講座を受講。自身の祖父が誰であるか知らないということに着想を得て書き始め「沖縄の本土復帰50年ということは頭の片隅にもない状態で書き始めたので、このタイミングになったのは偶然です」と語るとともに、「(篠山の母である)南沙織の息子がたまたまシナリオを書くことになってそれが沖縄の話で、たまたまこうして賞を頂けるというのは、偶然だとは思います。母が50年前の沖縄本土復帰のタイミングで歌手デビューをしシナリオを初めて書いて、なにか実力以上の大きなめぐり合わせの中で賞を頂いたと感じています」と、不思議な縁を感じているそうだ。
授賞式後には、「緊張しました」と、ホッと胸をなでおろすとともに、「壇上に立って、自分が頑張ったんだなって感じ改めてこの賞の重みを感じました。名だたる脚本家先生たちのいるなかで、まさか自分がシナリオの賞で登壇することができるなんて」と、感激。
入賞賞金として100万円も手にしたが、「僕自身のルーツとか家族の話を書いたわけではないですけど、自分のルーツに着想を得て書いたので、両親、とくに母にプレゼントをと思います」と、感謝の気持を伝えるそうだ。
「最終候補に残った作品がどれも面白くて、うまいんです! 今回、自分の実力以上の作品がたまたまできたと感じています」と、気圧されるような気持ちにもなったという篠山だが、今後へは「ですが、書き続けていこうと思います!」と、プレッシャーを跳ね返すように瞳を輝かせ力強く誓った。
なお、今回の授賞式では第31回新人シナリオコンクール特別賞 大伴昌司賞として『R団地のミツバチ』を執筆したばばたくみ氏も入選受賞した。また、第45回シナリオ功労賞授賞式を同時開催し、和泉聖治氏、中田新一氏(代理:藤山顕一郎氏)、古田求氏 故・石川雅也氏(代理:林誠人氏)4名が受賞した。