俳優・井浦新(43)、瑛太(34)、女優・長谷川京子(39)、橋本マナミ(33)が26日、東京・新宿武蔵野館で映画『光』(監督:大森立嗣/配給:ファントム・フィルム)公開記念舞台あいさつを大森監督(47)と開いた。
作家・三浦しをん氏の小説が原作。過去の忌まわしい記憶に翻弄される3人の幼馴染を通じて、人間の本質を描いていくサスペンスドラマ。
主演の井浦は、「ようやく大森監督による『光』が巣立ったなという気持ちです」と、一言一言噛みしめるように公開を迎えた気持ちを話し、瑛太は「私事ですが、出演する映画3本の公開が続いて、きょうが最後のプロモーションになるんですけど、やっと登頂できたなという気持ちです。僕個人的には大好きな光という映画で終えられるので嬉しく思います」と、万感といったよう。
作品の感想へ井浦は「作品の中にも出てくる、岡本太郎さんの言葉を借りるとしたら、本当にこの映画は『べらぼう』な映画だなと思います。大森監督がご自身でも映画作りの原点に帰るような気持ちで作られた作品だと観たときに感じましたし、監督が作り上げてきたキャリアを投げ捨てて、挑んでいるというのも感じました」と、大森監督の意気込みを感じたという。
続けて瑛太は、「原作を読んだときにタイトルの『光』というのが、どこに当てているのかなと。実際終わった後も明確な答えが見当たらなかったんです。でも、それが『光』なのかなって。『光』がどこにあるのかというのが、1人1人が違った感想を持たれることによって、いろんなことを感じて頂けるという感想を持っていただいたことこそが『光』という感想にたどり着きましたね」と、深いコメント。
一方の長谷川は「橋本さんの悲壮感に満ちた顔とか、新くんの表情はないけどその中に何かがみなぎっている姿とか、そういう表情が残っているんです」と、しみじみで橋本も、「本当にどのシーンも捨てがたいというか、1個1個のつながりででき上がっている映画なので選べないなって。しいて私のシーンでいうなら、草むらで対峙するシーンで、こんな綺麗なシーンであんなことをいうんだというアンバランス感のあるところがあります」とのことだった。
ほかにも、印象的だったシーンについては、井浦は工場で瑛太と出会うところにいろんな思いがこもっているといい、逆に瑛太は「尊敬する新さんを草むらに突き飛ばすシーンでしょうか」と、取っ組み合いになったところを挙げる。
作品内では井浦がアイデアを出して採用されたシーンもあるそうで、役に気持ちが入り、カメラテストで瑛太が予想以上の動きをしたことに「監督に『首を締めたくなったんですけど良いですか?』って聞いたら、大森監督から、『好きなようにやっちゃえ』と言われて。テスト以上のものを瑛太くんが投げてきたので、自分も必死で動いてしまったんです。だから、瑛太くんがそうさせてくれて……。あのシーン以降はテストでやったものではないものになっていて、芝居なのか素なのか、監督が言ったように感じたままをやってくれたんです。あそこで(瑛太が)逆に叩き返してきたらどうなったのかなって。あのシーンまでたどり着けたのは瑛太くんが芝居を受けてくれたから成立したと思うんです」と、瑛太に感謝する井浦。
すると瑛太は、「新さんに対する尊敬と、一緒に現場にいるときに、すべてを僕は受け入れられるし、すべてでぶつかってもいいんだなって。心中してもいい気分で、何が起きても良かったんです。あのシーンは死生観が覆っていて、生きようが死のうがどっちでもいいという、首締められるっていうのはなんてことない、むしろこのまま殺してほしいと瞬発的に思っちゃうとか。またこう楽しくなってくるというか。技術的なこととかで進行どおり進んでいくこともあるんですが、この作品は心と心のぶつかり合いで、その本番で何やってくれますかっていうので、役者にとってそこはすごく怖いのですが、そこは新さんと、全身全霊で芝居で思い切り遊んじゃったという気持ちでしたね」と、投げ返す。
井浦もその返答には得心いったようで、「本当に楽しかったんですよ。そこからそこまでたどり着くのは時間がかることもあるんですけど、その場で生まれてくることや、本能のままに芝居できるというのは嬉しくて。極端に言えば、究極の世界でどうなってもいいやというつもりで遊んでいましたね」と、2人で称え合い信頼感を見せていた。
映画『光』は25日より新宿武蔵野館、有楽町スバル座ほか全国ロードショー!