2020年度から小学校でプログラミング教育の授業が始まり、2025年には大学入試で「情報」という出題科目にもなるという。しかし、これまでの科目と違い、親御さんにとっては未知の領域で、勉強を観てあげることもできない。そもそも小学生から、「(コンピュータの)プログラミングなんて専門的なこと必要なのか?SEになるわけでも、プログラマーになるわけでもないのに・・・」なんて疑問しか出てこない。
文部科学省によれば、小学生のプログラム教育とは、プログラミング言語そのものを学ぶわけではなく、「論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成」が目的。同省の有識者会議でも、「小学校におけるプログラミング教育が目指すのは、子供たちが、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験しながら、身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと、各教科等で育まれる思考力を基盤としながら基礎的な「プログラミング的思考」を身に付けること、コンピュータの働きを自分の生活に生かそうとする態度を身に付けることである」としている。
ゲーム感覚で楽しく学べる「プログラミング教育」として、総合教育サービス事業の『株式会社やる気スイッチグループ』が人工知能(AI)技術の研究開発スタートアップの『株式会社 Preferred Networks』とともに「プログラミング教育 HALLO®」(以下、HALLO)を展開している。プログラミングを学ぶことの楽しさを知ってもらうため、子どもたちの好きなものや身近なこととコラボした特別レッスン「HALLO 未来チャレンジ プロジェクト」をシリーズ開催する。
その第1 弾として、10 月19 日に都内で、HALLO のプログラミング教材『Playgram™(プレイグラム)』を使用し、子どもたちの理想のマイホームを創作するイベント『マイホームプログラミング ~プログラミングで夢の家を作ろう!~』が行われた。
平均年齢9歳の男女9人が親御さんとともに参加。作業を始める前に、ゲスト講師として、子育て住空間コンサルタント・インテリアコーディネーターの今西千登瀬氏から、「住まい作りのポイント」として、「お気に入りを中心に」(コーディネイトしたインテリアの世界観で統一感を出す)、「プレイグラムの“オブジェクト”からヒントを得る」(さくら、カーネーションなど)、「大好きな色から考える」、「住まいを素敵にするテクニック「つながり」を作る」(統一感を出す)、「滝が流れるお家」(発想を豊かにする)、「ルールにとらわれない自由な住宅」などを上げ、最後に「自由な発想で楽しく理想の住まいを考えよう」とアドバイスがあった。
それを聞いた子供たちは、早速、自分のタブレットで「マイホーム」の作成に取り掛かる。今回は、一からではなく、事前に自宅である程度、作ってきており、70分~80分で続きを行うというスタイル。
スタッフ数名が子供たちの間を巡回しながら、気軽に声をかけてコミュニケーションをとっていく。操作に関する質問をする子もいれば、自分で作ったこだわりポイントやお気に入りアイテムについて熱く語り続ける子もいるなど、それぞれ思い入れたっぷりに「マイホーム」を仕上げていく。
あっという間に作業時間終了。そして、(時間の都合上)2名の男の子に代表して自分の作品をスライドに映して発表してもらった。
一人目は、小学3年生のSくんの「超すごい家」と題した、ゲームのダンジョンを思わせるような広い庭、長い階段が備わった空に浮かぶお城のようなゴージャスな家。
ニ人目は、小学5年生のHくんの「楽しい~!」と題した、露天風呂やプールが備わった本格的なリゾートホテル。
一人目の男の子よりも年長さんということもあり、作りこみ方が半端ない。間仕切りが多用され、受付を通って階段を上り2階に行くと、部屋番号が付いた客室、通路挟んで男女別の露店風呂付大浴場。別棟には、南国リゾートを思わせるカラフルなパラソルが配置されたプールに食堂もある。
記者たちよりもその完成度の高さから、ほかの子供たちから「看板に文字はどうやって入れるんですか?」「タイルはどうするんですか?」などの質問が止まらない。スライドに写った画面を操作するなどして、ひとつひとつていねいに答えていくなど、貪欲に吸収しようとする姿勢が垣間見えた。
会の終了後に、「HALLO」で使用していてるプログラミング教材「Playgram」(プレイグラム)の開発担当者である「株式会社Preferred Networks」のエンジニアの西澤勇輝氏に話を聞いた。
「我々が想像していなかった使い方をするので、ビックリします。例えば、作品を発表した二人目のH君のように、シャンプーがないからポットで代用するとか、(建物全体を見せてくれるかなぁ?と、スタッフのお姉ぇさんが聞いたとき、空飛ぶ絨毯のように)板を出現させて、その上に人が乗っかって、一瞬にして上空へワープして、上空から俯瞰で覗くプログラムを、その場でパパッと組んでしまうとか、プログラミングを自然と使いこなしているのは、見てて感激します。タイルに文字を書くのも。みなさん使ってくれていましたが、先々月ぐらいに入れたばかりのプログラムなんですけど、使いこなしているんですよ。隅々まで遊びつくしていてるのがわかります。我々が知らなかったような仕様に気づくんです。「めっちゃジャンプできるよ」とか、「キャラクターの表情替えられるよ」とか。中には、「バグみつけたよ」って嬉しそうに言ってくるんです」と、開発者の上をいくような使いこなしっぷりに、新たな開発の刺激を受けているという。
また、「プログラミング教育 HALLO」を行っている「株式会社YPスイッチ」の事業本部 直営運営部部長の山口憲継氏にも、現場の声を聴くと。
「自分たちが想像しているものを子供たちは超えてくるなぁと思います。今回も最初のテーマはお家やお部屋だったと思うんです。部屋を彩るとかかなぁと思っていたら。空中に浮いたお城のような家やホテル作ってますとか。子供たちが作りたいという想像力はすごいなぁと思います。具体例として、市販のゲームキャラクターをドット絵でフィールド上や空中に描いた子がいました。こういう使い方できるんだと初めて見た時は驚きとともに勉強になりました」と、舌を巻く。
最近の傾向として、「だんだん始められる子が低年齢化していると思います。2年前ぐらいは小学校3、4年年生だったのが、いまは小学校2、3年生。早い子ですと1、2年生という方もいらっしゃいます。教材に触るのも早くなってきているので、成長のスピードも早まっています。この教材やっている小学2、3年生は、中学3年生レベルのことをやっている子は多いので、学校のプログラミングの授業が始まったら、「なんだこんなことか」と思ってしまう。実際、勉強あまり得意じゃない女の子が、プログラミングの授業だけ、みんながその子に聞きに来るそうです。それがすごく自信になって、学校も楽しくなってきた」という声も届いているという。