俳優・中村倫也が28日、東京・池袋の東京芸術劇場プレイハウスでミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano』(演出:河原雅彦)公開ゲネプロを前に会見を開いた。
本作は2018年末~2019年にかけて、韓国で初演されたミュージカルで、『SMOKE』『インタビュー』『BLUERAIN』の作・演出家 チュ・ジョンファの新作として注目された作品。世界中誰もが知る天才音楽家であり、聴力を失ってなお音楽への情熱を注ぎ込んだ悲運の人・ベートーベンの生涯を、彼を取り巻く人物たちとの愛と影、喪失そして運命を、彼が綴った音楽とオリジナル楽曲で描く。
会見は中村のほか、木下晴香、福士誠治、演出の河原氏が出席。明日に初日を控えているいまの心境として「僕はまだ実感がなくて」というと、福士も木下も同じ心境だとうなずく。木下によると「やることが多くて、目の前のことやってたら明日、初日だって」と、とにかく本作の準備のために多忙を極めており、気がつけばきょうを迎えていたという感じだそうだ。
3人は舞台初共演となるが、中村から見るとカンパニーのメンバーは「人見知りがないんです。遠慮することもないし、気を配りすぎることもないんです。たまにぼそっと僕がボケると、ぼそっと(福士が)ツッコんでくれるし」と、気持ちが通じ合っていたとも。
座長を務める中村だが、「座長らしいことしてないんですよね。みんな真面目で、放っといてもやるタイプの役者が多いので。自分の役がやること多いし疲れる役なので 毎日、毎日それを一生懸命やっていただけで……まだ、誰にも何もオゴってないですし。背中を見ていましたよ、背中を」とのこと。
その中村について、木下は「ものすごく視野が広い……いや、違うかな」と逡巡してコメントを止めようとすると、中村は「違かったら炎上すればいいんだから」と、ゆるーっとした口調で木下の先を促し、木下も笑いながら「何を普段から考えてるんだろうなって。先輩って尊敬していて凄いなって思うんですけど、凄いなで終わらないんです。憧れで終わらない感覚がすごく新しい感覚でした」と言い切ると、中村は「いい子でしょ」とニッコリと目を細めた。
一方、河原氏へは7年ぶりの中村とのタッグへの感想を求めることに。最初は「このコメント使われないでしょ」と苦笑いしていた河原氏だったが「いい意味でぼちぼち長い付き合いですけど、リラックスした感じで毎回臨んでいて。倫也とやるときって、絶対に凄いものとか、圧倒的に凄いものをつくるということに決めていて、多分倫也もそうなんです。なんかそんなことでも、こういうふうに具体的に話さなくても、そういうつもりで集まっていて。ルートヴィヒという作品は、全員が全員、一皮、二皮自動的にむけないと、とても千秋楽まで行けないくらいの手応えと熱量が熱い演目なんです。ここまでやってきて俳優さんには信頼していますし、とても素敵なものになっている思います」と、真面目に話しつつ「使われますか?使われるとこだけ話してみました」と、茶目っけたっぷりに笑った。
その河原氏の話を裏付けるように、木下はほかの作品との違いとして「公演前は食が細くなって、おにぎり1個になったりするんです。でも今回の作品は、けいこ中の弁当を食べちゃってるくらいで」と告白。この変化に中村は「大丈夫?」と気遣っていたが、木下は「それくらいパワーを使っているんです」と、訴えていた。
続けて役のことへ。中村は「すごく音楽が大好きで夢を持って夢に破れかけて、また夢を持って波乱に満ちたといいますか。魂注いでいる人なんだなということを日々感じながら日々やってます。普段僕らが道を歩いているような状態ではとても表現できないような人物で。だから少しでも、ベートーベンの残したものとか、思いとかを説得力を持って舞台に立てるように頑張ろうかなと思っています」と、捉え方を語った。
そして河原氏から「見どころばかりです。ハイライトしかないんです!劇的なことが続くので、その辺が楽しいのではないかと思います」とアピールすれば、福士は、「舞台を観に来てくださる方は多少の覚悟を持って観に来てくださるといいかなと思っております。舞台上で発しているエネルギーが届いたときにお客さまも多少の披露困憊と、エネルギーを貰ったりすると思います。『観るぞ!』というのという気持ちで、気合で観に来て頂ければ」と、熱く訴えると、中村も「そうだね」と、うなずく。
木下は「本当に個人的ですがこんなにエネルギーを放出する感覚を覚えているのは初めてなくらいです。きっと観に来てくださるお客さまにとっても、そう感じてもらえる作品になったらいいなと思っています。受け取りにぜひ来てください」と、話す。
中村からは「ミュージカルで15曲歌うんですけど、本当に素晴らしくて素敵な音楽で。合間合間にベートーベンの残した音楽やフレーズが出てきてアレンジしたものが入っているんです。気づいたら楽しいぞということも含まれています。いい意味でも、悪い意味でもですけど、ちょっと、異常な人しか出てこないんです。単純にそれを観て面白がってもらって頂いてもいいですし、いい部分は刺激を受けて頂いて、悪い部分は“人間ってそういう事あるよね”というので、ちょっとだけ寄り添って観て頂けるお話になるのではと思います。気がついたら終わってて、ぼーっとしながら帰ることになると思います。ぜひ『観るぞ!』と思って貴重な時間、お金を費やして少しでも何かを浴びてもらえればと思います」と、呼びかけていた。
ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』東京公演は29日から11月13日まで東京芸術劇場プレイハウスにて、大阪公演は11月16日から同21日まで大阪公演にて、金沢公演は11月25、26日に北國新聞赤羽ホールにて、仙台公演は11月29、30日に電力ホールにて上演予定!
■STORY
残り少ない人生を前に書かれたベートーベンの1通の手紙。
そして、その手紙が一人の女性の元へ届く。
聴力を失い絶望の中、青年ルードヴィヒが死と向き合っていたまさにその夜。
吹きすさぶ嵐の音と共に見知らぬ女性マリーが幼い少年ウォルターを連れて現れる。
マリーは全てが終わったと思っていた彼に、また別の世界の扉を開けて去っていく。
新しい世界で、新たな出会いに向き合おうとするルードヴィヒ。
しかしこの全ては、また新たな悲劇の始まりになるが・・・。
※中村倫也過去記事
・西島秀俊&中村倫也 仮面ライダーBLACK SUN特別ビジュ
・中村倫也 向井理に背伸び見破られたうえ逆に背伸びを無理矢理下ろしたり“逆襲”にニッコリ笑顔で吉岡里帆は爆笑!「4.5次元俳優だね」「意味が違う……」の応酬なども【原稿ロングめ】
・中村倫也「ひたすら噛り付くようにやるしかないんだ」や吉岡里帆「どれだけ誇らしい気持ち」の訴えのシーンなど!映画「ハケンアニメ!」コメントPV(共感編)が公開