俳優・松坂桃李（34）が26日、東京・多摩のパルテノン多摩 大ホールで『第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM』内の『第14回TAMA映画賞』授賞式に最優秀男優賞を受賞したことから登壇した。
『TAMA映画賞』は、2009年にスタート。前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考していることが特徴。松坂は『流浪の月』を好演したことから最優秀男優賞を受賞。同賞は、『本年度最も心に残った男優を表彰』するというもので、松坂とともに佐藤二朗も受賞となっている。
『流浪の月』は2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門）に輝いた作家・凪良ゆう氏の同名小説が原作。9歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗（かない・さらさ）を広瀬すずが、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文（さえき・ふみ）を松坂が演じた。
ブルースーツ姿で登場した松坂。まずは、関係者から受賞理由として「文という人間が抱え続けた繊細な感情の機微ををこぼすことなく演じた」などが挙げられた。
松坂は「受賞したみなさま本当におめでとうございます。先程、舞台袖で佐藤二朗さんが、場を柔らかくしろといわれて、舞台で何を言おうか考えていたんですけど、それが先行してしまって、何を話をしたらいいかわからなくなっちゃいました。すいません。二朗さん！」というと、舞台袖から「なんだよ桃李！」と、佐藤の大喝が響き、場内は大爆笑という一幕が。
佐藤からは壇上でお詫びされることも
あらためて、松坂は「昔チャップリンが、あなたのベストアクトはなんですか？と問われた際に、『ネクストワン』だ、僕のベストは次の作品だというので、凄くいい言葉だなって思っていて。僕もそうやって頑張っていこうと思っているんですが、チャップリンには遠く及ばないですけど、『流浪の月』にかんしては間違いなく僕のベストだと。今の僕の中のベストだと思っています」と、胸を張り、これには場内に万雷の拍手が沸く。
この光景に松坂は感激しながら「そういうふうに言えるくらい自分の中で、すべてを出し切ろうと、僕自身の中では挑戦だと思いましたし、勝負の作品だと思っていたので受賞できて本当に嬉しいです。何よりここに導いてくださったら李監督、広瀬すずさん、ほかのスタッフ・キャストのみなさん、その方々のおかげでいまここに立つことができています」と、感謝を捧げていが。
続けて文という役へ、「本人自身もわかってはほしいけども、わかってほしくないという事情を抱えています。自分の体や心の微妙の形といいますか、そういったことをお芝居で表現するというのが、僕ん中でやったことがなくて、すごくハードルが高いなと思っていたんです。作品が終わるまで、李監督とずっと一緒に考えて、何度もリハーサルを重ねて向き合っていきました」と、難役だったという。
その文の役作りとして、さらに体重を削ぎ落とすということもあったそうだが、「もうちょっと絞った方がいいという話になったので、そこから食生活を改善しつつ現場には挑ませて頂きました」と、こちらも苦労があったそうだが、「撮影終わってクランクアップした日に、李さんが2人で『ご飯食べに行こうか、おごるから』と言われて、その時に胃袋がちっちゃくなっていて、おかゆから頼んだんですけど、そのおかゆが本当においしくて！おふくろの味くらい、トップ3に入るくらいおいしかったですね」と、飢えている具合をうかがわせつつ、体重は「徐々に戻ってきました」とのことだった。
今後やってみたい役へは、兄弟の話をやりたいという松坂は、「兄弟はあまりやらせてもらったことがないなと思って。ちょっと年の離れていていてもいいですが、ハートフルコメディチックなものがあれば、呼んで頂きたいと思います！」と、強くアピールしていた。
そして「TAMA映画祭に呼んで頂いたのが2回目です。2018年に呼んで頂いて、ここにまた立てるようにという言葉を置いていきました。そして、2022年に立つことができて本当に嬉しく思っています。それは、映画という、仕事に携わらせてもらえたから、ここまで来れたと思っています。また、この映画祭に呼んでもらえるような作品に出続けられるように日々精進していきたいと思います」と気持ちを伝えていた。
その後、松坂は、佐藤と隣り合って座ることとなり、2人で笑みをかわしていたが、その後、最優秀女優賞を受賞した広瀬すずが、「二朗さんの後にしゃべるのが本当に嫌だなと思っていて」と、やりづらさをぶっちゃけて、再び笑いを誘っていた。
■最優秀作品賞
○『LOVE LIFE』
深田晃司監督およびスタッフ・キャスト一同
○『ハケンアニメ！』
吉野耕平監督およびスタッフ・キャスト
■特別賞
○芦田愛菜・宮本信子およびスタッフ・キャスト一同
『メタモルフォーゼの縁側』
○小林啓一監督およびスタッフ・キャスト
『恋は光』
■最優秀男優賞
○佐藤二朗
『さがす』『truth ～姦しき弔いの果て～』『バイオレンスアクション』
○松坂桃李
『流浪の月』
■最優秀女優賞
○倍賞千恵子
『PLAN 75』
○広瀬すず
『流浪の月』
■最優秀新進監督賞
○片山慎三監督
『さがす』
○森井勇佑監督
『こちらあみ子』
■最優秀新進男優賞
○磯村勇斗
『ビリーバーズ』『PLAN 75』『異動辞令は音楽隊！』『さかなのこ』『前科者』『彼女が好きなものは』ほか
○横浜流星
『流浪の月』『アキラとあきら』『嘘喰い』『あなたの番です 劇場版』『DIVOC‐12』
■最優秀新進女優賞
○河合優実
『PLAN 75』『愛なのに』『ちょっと思いだしただけ』『女子高生に殺されたい』『百花』『冬薔薇』ほか
○伊東蒼
『さがす』『恋は光』『MIRRORLIAR FILMS Season3』
※松坂桃李過去記事
・松坂桃李「夢は捨てました」と衝撃の挫折体験披露や李相日監督を唸らせたアドリブとは？多部未華子へは「僕が代わりに謝ります」と律儀に頭を下げる
・松坂桃李 激ヤセ報道当時は多部未華子から「ウエストがゾッとするくらい細くて」も「そのうち分かるだろうなというくらいの感覚」と心情披露！子役からの声に“胸キュン”も
・松坂桃李 広瀬すずとスーツ姿の新社会人の質問にじっくり返答で贈った言葉は？「遠慮なく甘えます」「好きなんだなって」「みなさんと直接やり取りする幸せを感じています」【原稿ロングめ】
※第14回TAMA映画賞別記事
・横浜流星「TAMA映画賞」授賞式で礼儀正しく何度もお辞儀！「大きな挑戦」
・磯村勇斗 TAMA映画賞受賞欠席もP語る「頼もしく思った」エピ
・広瀬すずTAMA映画賞で「絶対に逃げれない」心情披露
隣り合う際にはタッチする佐藤
楽しげな2人