ミュージカル「『憂国のモリアーティ』Op.4-犯人は二人-」(脚本・演出:西森英行)が27日、大阪・新歌舞伎座で開幕。キャストのコメントや舞台写真が公開となった。
原作の『憂国のモリアーティ』は、集英社『ジャンプSQ.』で2016年8月から連載されている、構成/竹内良輔氏、漫画/三好輝氏による人気漫画作品。コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」を原案に、ホームズ最大の宿敵であるモリアーティ教授視点で再構築された物語が描かれている。コミックスは最新18巻(2023年1月)まで刊行されており、発行部数は累計660万部を突破。アニメ、ストレートプレイ、ミュージカルと、「メディアプロジェクト」として、盛り上がりをみせて入ることで知られる。
ストーリーは、上流階級の人間達に支配され差別が蔓延している19世紀末の「大英帝国」を舞台に、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとするモリアーティと、宿敵シャーロック・ホームズの戦いを中心に描かれている。
ミュージカル版は2019年にスタート。脚本・演出は劇団「InnocentSphere」(イノセントスフィア)の西森英行氏、音楽は多数の企業CMを手がけ、演奏家としても多くのアーティストの作品に参加している、ただすけ氏が担当。ピアノとヴァイオリンの生演奏を交えた舞台作品として展開している。
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役の鈴木勝吾、シャーロック・ホームズ役の平野良、アルバート・ジェームズ・モリアーティ役の久保田秀敏、フレッド・ポーロック役の長江崚行、アダム・ホワイトリー役の川原一馬、チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン役の藤田玲へ初日への思いなどを尋ねた。
――モリミュは歌にも定評をいただいていますが、今回の楽曲についての印象、感想、好きな曲を教えてください。
○鈴木:より真を突いた曲、歌詞であるなと感じています。物語が進むにつれて、客観であったものが減ってより主観的に己が感情を表すことが多くなって、それを感情と曲、歌詞を合わせて表現するのが、今までより、より難しくなっているなと個人的に思います。
○平野:ストーリーが進むにつれ自ずと歌に込める想いが大きくなっているので、より深く歌っている感覚です。あと、個人的に言えばシャーロックの歌唱キーが初演と比べて高くなってきています。Op.1からご贔屓にしてくださってる方々は、そこら辺の違いも楽しんでもらいたいです。
○久保田:シリーズ全作共通して難曲揃いなのは変わらないですが、今作はより楽曲の持つ力と役者の身体を通して出る台詞が同調しないと成立できないナンバーが多いように感じます。だからこそ発語一つ一つ、音一つ一つを常に研ぎ澄まし、高次元で昇華させることが自分の中での課題でもありますね。
○長江:ピアノとヴァイオリンの生演奏を舞台上で浴びられる幸せがありました。最初に聴いた時は鳥肌が立って、なんて満たされた空間にいるのだろうかとワクワクした記憶があります。今回からの参加ということで緊張はありますが、自分にできる全力を尽くして作品の一員として頑張りたいです。
○川原:とにかく難しい楽曲が多く、コードから外れている音での表現や、リズムのないところで鳴っている音がたくさんあり、とても苦戦しています。好きな曲は沢山あるので絞れませんが、各キャラクターで特徴のあるメロディや音があるので、聞いていてとても面白いです。
○藤田:やはりこの作品の楽曲は素敵なのは勿論、クラシカルでありながら数学的だなぁと思います。ロジカルにできているので、演者としては追うのが難しいですが、それをいい意味でアクティングで崩せた時に楽曲との共存ができて、お客様に真実味のあるお芝居として届けられるんだと思います。今回好きな曲はホームズの家に交渉に行って歌う「ご挨拶」という曲ですね。ミルヴァートン、ホームズ、ミス・ハドソンの歌とそこにラスキンとワトソンのお芝居が加わり、シーンを紡ぐのがとても気持ちいいです。
――続投キャストの方へ、1年半ぶりとなる公演ですが、気づいたことや変化など教えてください。
○鈴木:ともにゼロから。という感覚が一番です。確かに続投組ではありますが、毎回新作ではあるので、新たに出逢いともに作品を作っていけていると思います。
○平野:今作は特に『市民』にフォーカスが当たっているのでアンサンブルの持つ力が重要になるのですが、見事に圧巻されるパフォーマンスをしてくれています。ホワイトリー、メアリーは主役と言っていいほど素敵に話の中心にいてくれています。そして最大の強敵ミルヴァートンの存在感は、前作の比ではないくらい大きくなっているのでシャーロックとして負けないように頑張ります。
○久保田:今回新キャストの川原一馬くんや山内優花ちゃん、長江崚行は物凄く繊細なモノ作りをされる方々で、稽古からとても刺激をもらっています。続投キャストについては1年半程期間が空きましたが、明らかに一表現者としての知識や技術、熱量が格段に上がっているので、現場では各々の表現に釘付けでした。
○藤田:今回のミルヴァートンの曲は前回よりさらに気持ち悪いメロディーラインになってると思います。マイナーなコードが鳴っている中メジャーな音を出したり、楽曲がオンテンポ(注:リズムに乗っている事)なのに歌がわがままにリット(注:だんだん遅くなる事)したり、そう言う意味では自由な部分も多く、お芝居としての歌い甲斐があります。本番は毎日ちょっとずつ違うんだろうなぁと(笑)久しぶりにモリミュの世界に戻ってきて、勝吾くんのウィリアムの綺麗なハイトーン、良くんのシャーロックのリズミカルで癖になる語り歌が素晴らしい、大好きだなぁと改めて気付かされました。3人で歌える曲はやはりとても嬉しいです。楽しみたいと思いますし、皆様にもこの三者三様な声質と歌い方が混ざり合う部分に注目していただけたら幸いです。
――新キャストの方へ、今回から参加した感想、他のキャストやカンパニーの印象を教えてください。
○長江:「作品を良くしたい」という純粋なこだわりがぶつかり合う、素敵な現場だと思いました。圧倒されることも多々ありますが、それに追いつき、追い越さねばならないと思いながら生きています。少しでも僕がいて良かったと思ってもらえるよう努めます。
○川原:緊張感のある稽古場で、キャストそれぞれが経験豊富な方々が多いので、毎日刺激を貰っています。今作は1人で積み上げていかなければならないシーンが多いので孤独感はありますが、毎日挑ませてもらってます。
――公演を楽しみにしているお客さまへ向けてメッセージを。
○鈴木:モリミュも第4弾となりました。たくさんの応援の下、ここまで続けてくることができました。ありがとうございます。原作のもつ力、モリミュだからこそ、ミュージカルだからこそ、垣間見ることができるそれぞれの想いを感じていただけたら幸いです。
○平野:とうとうOop.4まで来ることができました。みなさまの応援あってのことだと心から感謝しています。Op.1から考えれば、世界は大きく動きいろいろな事がありました。その期間、常に『「モリミュ」』とともにありました。初めての新歌舞伎座、そして帰ってきた銀河劇場で公演できることも本当に嬉しいです。また違う表情を見せてくれる今作をお楽しみに。
○久保田:『モリミュ』シリーズも早くも4作目。いよいよ物語の核心へと一気に加速し始めました。幾重にも重なる歌と芝居のストーリー、大英帝国に渦巻く善と悪、光と闇、希望と未来の物語を存分に味わっていただきたいです。
○長江:4作目となるモリミュ。先輩方が必死に繋いできた作品の糸を僕も紡いでいけるよう頑張ります。そして、この作品で生きられる喜びを一つもこぼさぬよう、全力で楽しんで食らいつきます。よろしくお願いします!
○川原:ウィリアム、シャーロック、ミルヴァートンこの3人にどのような影響を与えるのか。ホワイトリーとしての生き様を全力でお届けします。劇場でお待ちしております。
○藤田:ミルヴァートン、嫌なやつに仕上がっているかと思います。そしてストーリーとしても確実にラストスパートに突入する変換点だと思います。ホワイトリーやメアリーなどの新キャラと共に、この素敵な物語を進める要になれる事をとても光栄に思います。お客様に楽しんでいただけるよう、毎日丁寧に、新鮮に、「嫌悪」と「純粋悪」を届けたいと思います。劇場でお待ちしております。
ミュージカル「『憂国のモリアーティ』Op.4-犯人は二人-」大阪公演は27日から29日まで新歌舞伎座にて、東京公演は2月2日から12日まで天王洲 銀河劇場にて上演予定!
※記事内写真は
(C)竹内良輔・三好 輝/集英社
(C)ミュージカル『憂国のモリアーティ』プロジェクト