バンド『King Gnu』メンバーで俳優・井口理、俳優・馬場ふみか、河合優実が20日、東京・新橋のスペースFS汐留で映画『ひとりぼっちじゃない』(監督:伊藤ちひろ/配給:パルコ)特別試写会イベントを伊藤監督とともに開いた。
『世界の中心で、愛をさけぶ』『スカイ・クロラ』などを手掛けてきた脚本家・伊藤ちひろ氏が10年かけて上梓した小説『ひとりぼっちじゃない』。これを行定勲監督による企画・プロデュースにより、伊藤氏が初監督を務め映画化した作品。不器用でコミュニケーションがうまくとれない歯科医師・ススメ(井口)が、謎の多き女性・宮子(馬場)に恋をしたことから、変わっていく自分、歪み狂っていく日々を描き出した。
ブラウンのシルエットで登場した井口。オファーを受けたときのことへ、「(伊藤)ちひろ監督と出会ったのが、行定監督の忘年会なんです。そこで、自意識過剰気味でいた僕の居方というのを見ていたらしくて」と、伊藤監督が井口を観察していたという。その後、言葉をかわさないまま声がかかったという井口は、「どうして急に、喋ってもいないのに、オファーしてくれたんだろうと思ったんです。でも、主人公のススメに触れて、僕がこれを演じるのは意味があると思って」と、納得な部分があったそうだ。
キャスティングした伊藤監督としては、「『King Gnu』でステージに立って格好いい姿を知っていて、積極的に前に出る感じではない不思議な感じを見て」ということが起用のきっかけだったそう。そんななか撮影に突入し井口は「大丈夫かな……大丈夫かな?と、思っていたんですけど素晴らしい人達に囲まれて、演じ通した結果があるのかなと感じています」と、周囲の助けもありやりきれたそうだ。
本作で映画初主演となる井口だが、そういった状況にプレッシャーを感じた?との問いかけには、「ありますよね。ほかの出演作品と比べて責任の大きさは推し量ることはできないですけど、10年かけて書き上げた小説を映像化しようとこの作品に懸けるちひろ監督の思いやエネルギーを感じて、応えないといけないと思って。だから、不安を解消するためにも頑張ろうと思えました」。
ススメの印象へ井口は「映画では描かれていないですが、原作の冒頭の方で、ススメが出勤のための電車で近くにいた女性が笑うんですけど、自分のことを笑われているんじゃないかというシーンがあるんです。そんな自意識に駆られているススメを見て共感がありました」と、強く思い入れる部分があったという。ついに、井口は「いまここでも自意識に駆られていて耐えられないです(苦笑)」とまで言い出すと、司会から「主演なので耐えてください」と、なんとか残っていた。
さらに撮影エピソードとして、河合は、「とあるシーンの撮影が終わった後に井口さんに腕を掴まれるシーンがあるんです。かなり力を入れて掴まれて、終わった後に見たら手の跡がくっきり付いていて」というほど力を入れたそう。これに井口も「これは覚えています。謝った(苦笑)!河合さんならと思って、本気でやっちゃいました」というと、逆に河合も本気で来てくれたことに喜んでいたとも明かしていた。
井口も撮影中にスタッフの方と「気まずいなと思うシーンがあったんです。ある撮影のときの衣装で乳首が透けてしまっていたんです。そのせいで、撮影し直したわけではないんですけど、美術スタッフの方々がみんなでごはんを食べているときに、僕が遅れ行って、『乳首透けていたよね』と聞こえてきて。僕も、“乳首透けちゃってすいません”って言って入っていって、『いたの!?』って驚かれて」と、楽しげなやりとりを繰り広げたこともあったそうだ。
ほかにも、作品にかけて“ひとりぼっちじゃない”エピソードとして、本作の撮影中マネージャーと車移動している際に、「僕がその日の気分で曲をかけるんですけど、何をしゃべるでもなく、曲を聴いていて。そのときに一人ぼっちじゃないというか。言葉をかわさなくても時間を共有できて、幸せだなと感じるときがあります」と話す。ちなみにどんな曲かへは、「この作品は言葉がある作品でもないし、なんとなーくでクラシックを聴いていました」と明かしてもいた。
そして、井口から「観終わった後に、分からなかったと感じる人もいると思うんです。でも、何か答えを探し続けて観ると、何か答えが残るかもしれないので、ついてきてください」と、メッセージを寄せていた。
映画『ひとりぼっちじゃない』は3月10日より全国公開予定!
※井口理過去記事
・井口理 東京国際映画祭レッドカーペット黒コーデで闊歩
・King Gnu・井口理 「AERA」でホスト務める対談連載「なんでもソーダ割り」スタートへ!最初のゲストは荒木飛呂彦氏で“スタンド”談義からイタリア料理の話まで縦横無尽
・King Gnu初アリーナツアー完走で最新曲「千両役者」をライブ初披露も!常田大希&井口理の掛け合いのオープニング