狂言師で俳優・野村萬斎(51)、歌舞伎俳優・市川猿之助(41)らが29日、都内で映画『花戦さ』(監督:篠原哲雄/配給:東映)公開直前記者会見を開いた
暴君と化してしまった豊臣秀吉(猿之助)の圧政から町衆を守るため真っ向から秀吉に戦いを挑んだ花僧、初代・池坊専好(萬斎)。一世一代の大勝負で専好が手にしたのは刃(やいば)ではなく、なんと花。その驚くべき秘策などが描かれる。
会見には萬斎、猿之助以外にも中井貴一(55)、佐々木蔵之介(49)、佐藤浩市(56)、高橋克実(56)、山内圭哉(45)、和田正人(37)、森川葵(21)、吉田栄作(48)と豪華10人のキャストに篠原監督(55)も加え、華やかなものに。
萬斎は撮影へ「非常に濃い時間を過ごした思いがあります。専好の10数年を演じましたが、人生の半分を生きることができたような気持ちです。ずいぶん面白おかしく演じさせて頂きましたし、演じる楽しさを知る現場にもなりました」と、手応えを感じたよう。
それは猿之助も同じだったようで、秀吉を演じたことへ「歌舞伎役者としての幅を広げてもらって大変経験豊かな時間を過ごさせて頂きました。仕上がりも本当に美しいですし、観終わった後に清々しい風が吹きました」と、続いた。
萬斎といえば狂言の世界、猿之助といえば歌舞伎の世界の第一人者だが、和田はこの2人をたとえて、「この狂言界と日本映画界の異種格闘技戦のような映画だとおっしゃられたんですけど、僕個人としては、大怪獣頂上決戦で逃げ惑う町民の気持ちが分かりました」と、しみじみ。
そこで司会からも狂言と歌舞伎の共演ということで話が振られると猿之助は、「大変楽しみにしていましたし、口をきくシーンが最初の対決で、僕としてはトスを上げてうまく打って頂こうという気持ちでした。僕のシーンも素晴らしいですけど、猿之助さん演じる秀吉の肉々しさと嫌な奴がチャーミングに見えるのが素晴らしいと思いました」と、称える。
これに猿之助も、「能と歌舞伎って近いようで遠くて、一緒に共演とはありえなかったんです。いまでも同じ作品で勝負するというのはなかなかないですけど、こうして映画で勝負することができました」と、充実した表情を見せた。
見どころについては、猿之助が「大先輩の佐藤浩市さんを踏んづけるという役だったので、心の中では『ごめんなさい』と思いながらで」と、苦笑いを浮かべると、佐藤は、そのシーンへ「猿之助くんに、『もっと踏んで!もっと踏んで!!』と。違う意味に取られかねないですけど」と、ユーモアたっぷりに返し、中井も「佐藤さんがMだというのは長い付き合いで分かっていますけど」と、つなげて笑いを誘った。
さらに、高橋も個人的見どころとして、自身の頭を触りながら、時代劇でかつらをつけるときに頭にかぶる羽二重という道具のことを挙げ「羽二重をすると目がつられ気味になって表情に制限が出るんですが、私には表情の制限がありませんでした。その辺が個人的に見どころです」と、お茶目なPRをして、会場全体を爆笑の渦に引き込んでいた。
映画『花戦さ』は6月3日より全国公開!